第35話 諸外国との関係改善と海軍計画

-イタリア:ローマ ヴェネツィア宮殿 世界地図の間-

1936年5月9日


 第二次エチオピア戦争が終わって、しばらくたった後、チャーノ外務大臣が首相室を訪れていた。


「ドゥーチェ、エチオピアとの戦争が終わったのでまずは諸外国との関係を改善しなければなりません。特に今回の戦争を非難した国との関係改善が不可欠です」


「そうだね。英仏とは不可侵条約を結んでいるから、基本的には何も言われないと思うのだけどその他の国々とは関係を改善しなきゃね」


「そうですね。そういえばスペインはどうしますか?」


「まぁ放置でいいよ」


 後数ヶ月もすれば内戦が起きるからね。


「わかりました」


「他には何かない?」


「いえ、特にありません」


「そう...わかった」


「それでは失礼しました」


 退出するチャーノ外務大臣と入れ替わるようにアンナが入ってきた。


「ドゥーチェ、カンピオーニ海軍中将が面会を求めていますがどうなさいますか?」


 カンピオーニって多分第二次世界大戦でイタリア王立海軍を率いた※①イルーゴ・カンピオーニの事なんだろうけど...そんな人がどうしたんだろう...?


「わかった、通して」


「わかりました」


「失礼します。ドゥーチェ、お伝えしたいことがあって参りました」


「どうしたの?」


「はい、ドゥーチェは日本海軍の※②吹雪型駆逐艦をご存じでしょうか?」


 兵器類については色々詳しいから勿論知っているのだけど確か1番艦の就役が1920年代後半だったはず、なんで今になってその話が?


「知ってるよ。重武装な駆逐艦で大型駆逐艦に分類されるものでしょう」


「はい、その通りです。吹雪型駆逐艦の性能は列強各国から見ても非常に驚異的です。その吹雪型の影響で現在諸外国では、主力艦の建艦競争に加えて、駆逐艦の建艦競争も起きております。既に米・英・仏の3ヵ国で大型駆逐艦の建造が始まっており我が国の主な仮想敵国であるフランスに至っては、昨年に※③ル・テリブル級大型駆逐艦を就役させています。我が海軍はそれに対抗できるような駆逐艦はおりません。しかも今後の建造計画にも大型駆逐艦は建造する予定がないようなのです。なのでドゥーチェのお力をお借りしたく来ました」


「そうだね...因みに我が国の駆逐艦とフランスの大型駆逐艦の性能差を教えてくれる?」


「はい、我が国で最新鋭の※④マエストラーレ級は主砲が12cm連装砲2基4門、40mm機関砲が2門、13mm機銃が6基、3連装533mm魚雷発射管2基、機雷と爆雷が合わせて56発です。それに対して、ル・テリブル級は主砲が13.8cm単装砲が5基、37mm連装高角砲が2基、13.2mm連装機銃が2基、55cm3連装魚雷発射管が2基、機雷がおよそ50発程です。更に計画されている次級には13.8cm連装砲4基8門にする可能性があるという報告が上がっています。それと速力もル・テリブル級に軍配が上がります」


 そんなに性能差があったんだ…ていうか、イタリア駆逐艦の主砲って連装砲2基4門にしかなかったの?てっきり3〜4基あるのかと思ってた。でもこれは大戦が始まったら、砲雷撃戦でイギリス王立海軍ロイヤルネイビー相手に勝つのは厳しいだろうねぇ。


「わかった。私から海軍に大型駆逐艦の事についてある程度言っておくよ。幾つか注文をつけると思うけどね」


「わかりました」


「駆逐艦の件で思い出した」


「なんでしょう?」


「防空駆逐艦って、今どうなってる?」


「はい、既存の艦を元に簡素な作りで設計しています。計画では90mm連装高角砲が3基6門、40mm連装機銃4基、20mm連装機銃2基、20mm単装機銃6基、533mm4連装魚雷発射管1基、爆雷50発です。空母に護衛として随伴する為に30ノット以上の速度を出すように計画しています。万が一90mm高角砲の配備が間に合わなかった場合は、陸軍から供与された75mm高角砲を装備する予定です。現在4隻が建造中で16隻が計画されています」


「そう、なら空母の計画は何処まで進んでいるの?」


「はい、計画中のインペロは排水量46000トンで搭載機数が約80機を予定しています。計画段階での速力は31ノット程です。それと今年に設計案がまとまった貨客船ローマとアウグストゥスをそれぞれ※⑤アキラ、ファルコ後に※⑥スパルヴィエロと命名し、今年から空母に改装予定です。それと追加で2隻の客船の改装案も現在議論されています」


「わかった。報告ありがとう」


 この世界では私が空母案を却下していないから、イタリアが早期に空母を建造できる...

これでイギリス王立海軍ロイヤルネイビー相手にある程度戦えるようになったかもしれない。でもまだ改善が必要だけどね。

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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革しイタリア軍にやる気を出させイタリアを勝利に導く〜を

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補足説明(ウィキペディア参考)

①イルーゴ・カンピオーニ

第二次世界大戦中のイタリア王立海軍の艦隊司令官(1939〜1940年)。


②吹雪型駆逐艦

性能

基準排水量 1,680英トン

      公表値 1,700英トン

      公試排水量1,980トン

      満載排水量2,260トン

全長 118.5m

水線長 115.30m(公試)

垂線間長 112.00m

最大幅 10.36m

深さ 6.25m

吃水 公試 3.20mまたは3.192m

満載 3.50m

ボイラー ロ号艦本式缶 4基(III型は空気余熱器付 3基)

主機 艦本式タービン(インパルス型、高圧低圧単式各1)2基

推進器 2軸 x 400rpm

    直径3.200m

    ピッチ3.700m

出力 50,000shp

速力 38ノットまたは37ノット

航続距離

計画:5,000海里/ 14ノット

または 約4,500海里 / 14ノット

1943年9月時(響):1,600海里/ 17ノット

燃料(重油) 475トンまたは500トン

乗員 吹雪竣工時定員 207名

   1943年4月1日付吹雪型定員 219名

兵装 50口径12.7cm連装砲 3基6門

   40mm機銃4艇

   6.5mm機銃2挺(計画)

   7.7mm単装機銃2挺(I型竣工時)

   12.7mm単装機銃2挺(II型、III型竣工時)

   一一式軽機銃2挺

   (61cm)十二年式3連装発射管 3基

   (八年式[24])魚雷18本

   八一式投射機 2基

   装填台 2基

   爆雷18個

   対艦式二号(特)大掃海具

搭載艇 6.5m内火艇1隻

    7.5m内火艇1隻

    7mカッター2隻

    6m通船1隻


③ル・テリブル級大型駆逐艦

公試中に駆逐艦史上最速の45.02ノットを記録(現在でも破られていない)した。

性能

基準排水量 2,569トン

満載排水量 3,400トン

全長 434ft 6in(132.4m)

垂線間長 411ft 6in(125.4m)

最大幅 40ft 6in(12.25m)

吃水 16ft 6in(5.01m)

主缶 ヤーロー・ロワール缶×4基

主機 ラトー式ギアードタービン

出力 74,000馬力

推進器 2軸推進

速力 37ノット(69km/h)

燃料 589トン

航続距離 4,000海里(15ノット)

乗員 210名

兵装

竣工時

      13.8cm単装速射砲×5基

      37mm連装半自動高角砲×2基

      13.2mm連装機銃×2基

      55cm三連装魚雷発射管×3基

      機雷×50発

1943年改装後

13.8cm単装速射砲×4基    

40mm四連装機銃×1基

40mm連装機銃×2基

20mm単装機銃×8基

      55cm三連装魚雷発射管×2基

      爆雷投射機×4基

その他 ペナント・ナンバー-4(戦間期)

             X103(大戦中)

             D611(大戦後)


④マエストラーレ級

性能

基準排水量  1,417トン

常備排水量  2,025トン

満載排水量  2,235トン

全長 106.7m

全幅 10.3m

吃水 4.1m

機関 ギアードタービン3缶2基 2軸推進45,000hp

速力 38ノット

航続距離 4,000海里(12ノット)

乗員 168人

兵装 120mm連装砲 2基4門

   40mm機関砲 2門

   13mm機銃 6基

   3連装533mm魚雷発射管 2基

   爆雷・機雷 56発


⑤アキラ

イタリア王国の降伏までに完成せずに終えた。ドイツ軍に接収後、連合軍のジェノヴァ港侵入を防ぐために、閉塞船として沈められた。1946年に浮揚されてから解体業者に売却され1951年ラ・スペツィアに曳航されて解体された。スパルヴィエロとは姉妹艦だが、アキラは改装されてソーニクロフト式重油専焼水管缶8基とベルッツォ式ギヤード・タービン4基(カピターニ・ロマーニ級2隻分)を搭載している。その事で速力が21ノットから30ノット上がる計画だった。完成後はインペロと共にイタリア王立海軍唯一の機動部隊として連合国軍に立ち向かう。

性能

基準排水量 23,130 トン

満載排水量 27,800 トン

全長 235.5 m

水線長 207.4 m

最大幅 30.1 m

水線幅 29.4 m

飛行甲板 211.6 m×25.2 m

吃水 7.3 m

機関 ソーニクロフト式重油専焼水管缶8基

+ベルッツォ式ギヤード・タービン4基4軸推進

出力 最大151,000shp(計画)

   最大速力 30.0 ノット(計画)

燃料(重油)3,660 トン

航続距離 18ノット/5,500海里(計画)

乗員 1,420 名

兵装 OTO1938 13.5cm(45口径)単装両用砲8基

   6.5cm(64口径)単装高角砲12基

   ブレダM38 20mm(65口径)6連装機関砲22基計82門

搭載機 51機(戦闘機のみ)


⑥スパルヴィエロ

イタリア王国の降伏までに完成せずに終えてドイツ軍に接収後、連合軍のジェノヴァ港侵入を防ぐために、閉塞船として沈められた。大戦後に1947年に浮揚され、1951年除籍となった。アキラとは姉妹艦だが、スパルヴィエロはディーゼルエンジンを搭載している。その為、燃費が良くもし完成していれば、重宝された事だろう。完成後はリビアとのシーレーンの護衛に従事している。

艦種 航空母艦

排水量 常備排水量 30,148トン

全長 202.43 m

全幅 25.24 m

吃水 9.2 m

飛行甲板 全長 180 m

全幅 25.24 m

機関 サヴォイア・MAN 式ディーゼル機関8基4軸推進

最大出力 28,000馬力

最大速力 20.0ノット

航続距離 18ノット/5,500海里

乗員 1,420名

武装 13.5cm(45口径)単装両用砲 8門

   6.5cm(64口径)高角砲 12門

   20mm機関砲 22門

  

搭載機 Re.2001 34機

       又は

      戦闘機 16機

      爆撃機または雷撃機 9機


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