第30話 降下せよ!第1空挺師団『フォルゴーレ』③

-エチオピア帝国:首都 アディスアベバ 宮殿-

1936年5月1日


 宮殿前に居座るFIAT3000軽戦車とフォードFT−B装甲車を突破出来ないでいる空挺部隊は敵戦車部隊の攻撃を耐えていた。彼らは、ある瞬間を待っていた。そして、上空に展開していた偵察機が後方に居る空挺砲兵団に無線で情報を送った。1個空挺工兵大隊が仮設砲兵陣地を建設し、空輸の為に分解されたDa75/18modello34榴弾砲と47mm平射歩兵砲を組み立て、砲撃準備を整えた空挺砲兵団が、その情報を元に砲撃を開始した。


 宮殿前に数十発の砲弾が弾着し、凄まじい振動と砂煙が宮殿を包囲している空挺部隊を襲った。砲撃が収まった後、戦闘機による機銃掃射が続き戦車部隊の薄い上面の装甲を貫通し大半の戦車と装甲車が戦闘不能になった後、空挺部隊は生き残っている戦車と装甲車に肉薄し、戦車部隊を殲滅した。そして宮殿に3個空挺連隊が突入して行った。



-エチオピア帝国:首都 アディスアベバ 駅-

同日

 

 宮殿前と同じく駅で機銃掃射を行った戦闘機であったが、宮殿前とは違い殆どの兵士が駅舎に隠れている状況であった為、屋上と屋根の上に陣取っていた数十名の兵士以外はエチオピア軍に被害がなかった。しかし、機銃掃射の間は駅舎に立てこもるエチオピア軍の迎撃が行われなかった結果、空挺工兵中隊の接近を許し、線路と列車の破壊工作に成功した。


 戦闘機からの機銃掃射が終わり、エチオピア軍が再度侵入を試みる空挺部隊を迎撃しようとした直後、後方の列車から爆発が起こった。その爆発に立てこもるエチオピア軍は迎撃のことも忘れ騒然となった。空挺部隊は立てこもるエチオピア軍が怯んだ隙を見逃さなかった。

 

 空挺部隊はブルーノZB30軽機関銃と八九式重擲弾筒の支援を受けながら駅舎への侵入に成功し、多大な犠牲を出しながらも遂にアディスアベバ唯一の駅を占領した。

 


-エチオピア帝国:首都 アディスアベバ 宮殿-

同日


 宮殿に突入した3個空挺連隊は約1500名の皇帝親衛隊と屋内戦を繰り広げた。その屋内戦で活躍したのがベレッタM1934試作短機関銃(MP40)である。皇帝親衛隊は拳銃とサーベル、旧式のライフルで武装していた為、狭い屋内での戦闘に本銃は非常に活躍したのである。その為、現場の空挺兵達からは、本銃を称賛する評価が多かったのだが、駅に降下した空挺兵達からは、非常に評価が悪かったのである。その訳は、義勇兵が装備していたトンプソン・サブマシンガンに火力・射程・連射性に本銃が劣っていたからである。そのことで、戦争集結後に鹵獲したトンプソン・サブマシンガンが徹底研究され、現場での兵士の声を参考に歩兵用短機関銃として※①ベレッタM1938Aが、空挺兵専用短機関銃として※②アルマゲラOG短機関銃(折畳み式)が史実よりも早く開発された。それともう一つ、宮殿に降下した空挺部隊からの要望で対戦車兵器の開発が各企業に通達が入った。


 話を戻すが、屋内戦を繰り広げていた空挺部隊は地道にも一つ一つ部屋を制圧していき、遂にエチオピア皇帝ハイレ・セラシエ1世とその他の皇族が避難する部屋まで到達した。そして部屋にいたハイレ・セラシエ1世が無条件降伏を宣言したことで、国際法上的には第二次エチオピア戦争が終結したのであるが、この戦いは一部の将兵からは、まだ終わっていなかった。


 何を隠そうバドリオ元帥とグラツィアーニ大将である。彼らはアディスアベバに先に入城しようと戦争が終わったのにも関わらずに強行軍で進撃を続けた。結果を言ってしまえば先にアディスアベバに入城したのはバドリオ元帥率いるエリトリア方面軍である。その2日遅れでソマリランド方面軍がアディスアベバに入城した。その時、先に入城したバドリオ元帥の笑みを生涯忘れないとグラツィアーニ大将は記者に語っている。


 そしてこの作戦は観戦武官達をおおいに驚かせ各国の諜報員が挙ってフォルゴーレ空挺師団を含めイタリア軍の情報収集を開始したのだった。



-イタリア:ローマ ヴェネツィア宮殿 世界地図の間-

同日


山のように積み上げられた書類と格闘していたときに、いつもより強くドアを3回ノックの音が首相室に響いた。

「ドゥーチェ、失礼します。秘書のアンナです。エリトリア方面軍から緊急の報告があって来ました」


「入って」


「緊急の報告って何かな?」


「はい、本日の午前から首都アディスアベバに空挺作戦を行っていたフォルゴーレ空挺師団がエチオピア皇帝ハイレ・セラシエ1世を捕え、エチオピア帝国が無条件降伏を宣言しました」


「そっか…報告ありがとう。勝利宣言をするから、その準備と国王陛下への謁見を打診しておいて」


「わかりました」


「嗚呼それと、エチオピア皇室の方々への身の安全等を保障する様にフォルゴーレ空挺師団に言っておいて」


「わかりました」


 ようやく終わった。史実よりも犠牲は減ったし、フォルゴーレ空挺師団を知られたのは痛いけど、史実のハイレ・セラシエ1世の亡命で起こった亡命政権が無くなったから、まだ良いか。それよりも、2ヶ月後にスペイン内戦が起こるから、余剰に余っている兵器や鹵獲した兵器を反乱軍に引き渡す準備もしておかないと、それと兵士の遠征準備とヒトラー総統から言われたカラビニエリの派遣も準備して置かないとね。財務大臣から暫くは軍縮してくださいって言われてるから、暫くは内政かな。第二次世界大戦が始まるまでに史実よりもイタリアを工業化しないと…


 そう言えば、ヒトラー総統がスペインにも転生者が居るみたいな事を言っていたっけ?だとしたら、誰が転生者か探らないと。

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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革しイタリア軍にやる気を出させイタリアを勝利に導く〜を

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補足説明(ウイキペディア参考)

①ベレッタM1938A

第二次世界大戦中に開発されたイタリアで短機関銃。ベレッタ社のツオレ・マレンゴーニによって開発され、イタリア陸軍に採用され大戦終結までに100万丁程生産された。ベレッタ社独特の上質な仕上げでイタリア降伏までも高品質を維持し続けた。しかし、削り出し加工の為、コストが高く大量生産には向かなかった。おもにイタリア陸軍の空挺部隊・ベルサリエリ・アルピーニ・機械化部隊・自動車化部隊・カラビニエリ・黒シャツ隊などで使用された。イタリア降伏後は武装親衛隊と国防軍にも準正式採用されている。

口径:9mm

銃身長:315mm

使用弾薬:9mm強装弾

装弾数:10・20・30・40発

全長:947mm

重量:3,900g

銃口初速:550m/秒


②アルマゲラOG短機関銃

1942年にイタリアで開発された短機関銃。

重量:3.18 kg

全長:720mm, 470 mm

口径:9x19mmパラベラム弾

作動方式:ブローバック方式

発射速度:500発/分

初速:~480 m/s

最大射程

有効射程 ~150 m

最大射程 200 m

装填方式:10~40発 箱型 複列弾倉


-追記-

5月8日 一部の文を付け足しました。

同日  誤字を修正しました。

同日  一部の言葉を付け足しました。

同日  誤字を修正しました。

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