第28話 降下せよ!第1空挺師団『フォルゴーレ』①
-イタリア:ローマ ヴェネツィア宮殿 世界地図の間-
1936年4月20日
「ドゥーチェ、エリトリア方面軍並びにソマリランド方面軍が攻勢を再開しました」
「わかった。バドリオ元帥とグラツィアーニ大将に激励を送っておいて」
「わかりました」
-エチオピア帝国:イタリア軍占領下 エリトリア方面軍仮設飛行場-
1936年4月30日
この数週間の戦線が停滞している間に建設された仮設飛行場には数百機の輸送機と爆撃機、それに加えて戦闘機と攻撃機が明日に行われる作戦の為に整備点検と物資の搭載作業が行われていた。その仮設飛行場の一角にある司令部に陸空軍の司令官と佐官達が集まっていた。全員が集まったところで、エリトリア方面軍の作戦参謀から作戦内容が伝えれた。
「では、作戦の最終確認をいたします。まず最初に首都アディスアベバにある航空隊基地を爆撃します。その過程で対空陣地の破壊並びに航空戦力を撃破した後、本命の第1空挺師団『フォルゴーレ』を乗せた輸送機群が第1目標である宮殿から少し離れた所に3個空挺連隊、1個空挺砲兵団並びに1個空挺工兵大隊を空挺投下し、エチオピア皇帝を捕らえます」
その言葉にこれを担当する将校たちは色めきだった。
「次に第2目標であるアディスアベバ唯一の駅に皇帝を逃がす為に使用すると思われる列車が停車しているのが確認されています。ここに2個空挺連隊と1個工兵中隊を空挺投下し、空挺連隊の戦闘中に工兵中隊がその列車と線路に破壊工作を行います。空挺連隊がそのまま占領出来れば良いですが、出来なかった場合の保険です」
その言葉に後ろに控えていた将校の一人が反論する。
「は?私達が失敗すると言いたいのか!」
「おい、よせ」
と彼の上官が将校を宥めさせる。それに関係なく作戦参謀は話を続ける。
「最後に第3目標の陸軍航空隊基地を攻撃します。ここには皇帝専用機があり、万が一逃れた場合ここに来る可能性があるからです。これには、1個空挺強襲連隊をあてます。爆撃を行った後ですので、占領は容易かと思います。以上が今作戦の内容です。何か質問のある方はいらっしゃいますか?」
その時、一人の将校から手が上がった。
「どうぞ」
「一つ質問なのですが、アディスアベバにいる展開するエチオピア軍の兵力はどの程度なのでしょうか?」
「我々の予測では皇帝親衛隊が約千名、正規軍が数千名、義勇軍が約二百名未満と出されています。ですが正規軍の一部は既に規律を失い首都で略奪行為をしている者もいると報告が上がっています」
「ありがとうございます」
「他に質問のある方はいらっしゃいますか?」
「いないですね。では明日の午前7時より作戦を開始します」
-エチオピア帝国:首都 アディスアベバ-
1936年5月1日午前7時頃
イタリア軍が近づくにつれ混乱が続くアディスアベバに早朝、多数のプロペラ音が響き渡った。人々が上空を見上げると数十機の※①アンサルドA.300爆撃機と護衛するリビア植民地軍所属の※②FIAT CR.20『アッソ』戦闘機並びにイタリア本国から派遣された※③FIAT CR.30戦闘機と※④FIAT CR.32戦闘機が編隊を組んでエチオピア陸軍航空隊基地の方向へ向かって行った。
イタリア軍爆撃機の襲来に数機の戦闘機が迎撃に上がり、対空陣地では※⑤エリコン20mm機関砲がイタリア軍機に向けて対空射撃をするが、それが目印となって後方に控えていた※⑥ブレダBa.64対地攻撃機が544kg爆弾を頭上に投下し、対空陣地を一つ残らず破壊した。一方、迎撃に上がった戦闘機だが、数倍のイタリア軍戦闘機に為す術もなく全機撃墜された。
その後、航空隊基地への爆撃を終わらせた数十機のイタリア軍機と入れ替わる様に3つに別れた合計数百機のSM.79スペルヴィエーロ輸送機がアディスアベバ上空に現れた。それぞれの目標に近づいた後に数百機の輸送機から空挺投下が始まり、アディスアベバの3箇所に空挺兵が舞い降りた。空挺兵は投下した直後にブローニング・ハイパワーを構え、慌てて出撃してきたエチオピア軍と交戦になった。
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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革しイタリア軍にやる気を出させイタリアを勝利に導く〜を
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補足説明(ウイキペディア参考)
①アンサルドA300
アンサルドA.300 は1920年から 1929 年にかけてトリノのアンサルド社によって製造されたイタリアの汎用複葉機。
乗組員: 2 名
全長: 8.75 m
全幅: 11.24 m
全高: 2.97 m
翼面積: 39.5 m²
自重: 1,200 kg
正規全備重量: 1,700 kg
発動機: 1 × Fiat A.12bis ピストン エンジン、170 kW
最高速度: 200 km/h
持久力: 3時間30分
実用上昇限界: 5,500 m
上昇率: 2.5 m/s
武装:2 × 固定式前方発射 .303ビッカース機関銃
②FIAT CR.20「アッソ」
フィアットCR.20 は、1920 年代から1930 年代にかけて使用されたイタリアの複葉戦闘機です。
乗員: 1名
全長: 6.7 m
全幅: 9.8 m
全高: 2.75 m
翼面積: 25.65 m²
自重: 980 kg
正規全備重量: 1,400 kg
発動機: 1 × Fiat A.20 V-12 水冷ピストンエンジン、331 kW
プロペラ: 2 ブレード固定ピッチ プロペラ
最高速度: 270 km/h
航続距離: 750 km
持久力: 3 時間
実用上昇限界: 7,500 m
高度までの時間: 13 分 37 秒で 5,400 m
武装: 2 × 7.7 mm 機関銃
③FIAT CR30
フィアットCR.30 は、1930 年代のイタリアの単座複葉戦闘機で、セレスティーノ ロサテッリが設計してフィアットが製造しました。
乗組員: 1人
全長: 7.88 m
全幅: 10.50 m
全高: 2.78 m
翼面積: 27.05 m
自重: 1,345 kg
正規全備重量: 1,895 kg
発動機: 1 ×フィアット A.30 RA 12 気筒 Vee ピストン エンジン、447 kW (600 馬力)
最高速度: 351 km/h
航続距離: 850 km
実用上昇限界: 8,350 m
武装:2 × Breda-SAFAT 7.7 mm 機関銃
④FIAT CR32
1933年に初飛行後に採用され1935年に軍に引き渡された。頑丈な設計と操縦士やすさが人気の複葉戦闘機。
全長: 7.47 m
全幅: 9.5 m
翼面積: 22.1 m²
自重: 1,455 kg
正規全備重量: 1,975 kg
発動機: 1 ×フィアット A.30 RAbis V-12 液冷ピストン エンジン、447 kW
最高速度: 360 km/h
航続距離: 781 km
実用上昇限界: 8,800 m
上昇率: 9 m/s
武装: 2 × 7.7 mm
または 2×12.7 mm Breda-SAFAT 機関銃
爆装時:最大 100 kg
⑤エリコンKA20mm機関砲
スイスのエリコン社製の機関砲
204-GK (KAA)
使用弾薬 20×128mm弾
砲身長 1,700 mm (85口径)
砲口初速 1,050 m/秒
発射速度 1,000発/秒
重量 70 kg
⑥ブレダBa.64
1930年代に王立航空隊が使用した単発単葉地上攻撃機。
乗員: 2 名
全長: 9.72 m
全幅: 12.1 m
全高: 3.14 m
翼面積: 23.5 m²
自重:2,030 kg
正規全備重量: 3,034 kg
発動機: 1 × Alfa Romeo 125 RC35空冷ラジアルピストンエンジン、485 kW
プロペラ: 3 ブレード可変ピッチ プロペラ
最高速度: 350 km/h
航続距離: 900 km
実用上昇限界: 7,000 m
武装:2 × 12.7 mm Breda-SAFAT機関銃
3 × 7.7 mm Breda-SAFAT 機関銃
爆装時:544kg 1発
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