第9話 創設 快速師団

前書き

この話は私が忘れていた話で後から作って付け加えた話です。なので後書きのフォロー等の数がその時のものになっています。ご理解のほどお願いします。

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1934年10月3日


 この日、私はFIAT社とアンサルド社に視察に来ていた。この前に行われた武器の更新の件で装甲車と中戦車の開発を依頼した会社で視察をする為だ。


 アンサルド社についた時にまず案内されたのは、先月にドイツから輸出された8.8 cm FlaK 18アハトアハトが徹底的に研究されている場所だった。これはアンサルド社が元々90mm高射砲後の※①Da 90/53を自主的に開発していたのだが、正式に軍に依頼されて研究が始まり、更に8.8cmFlaK18と同等、またはそれ以上の性能で、それなりに安価な高射砲を開発出来れば、必ず軍に正式採用されると当時の社長が考えたからである。その際の私へのお願いであった。


 そして、共同開発されている中戦車について聞き終わったあとのフィアット社で10人程の集団が私の所へ来たのだった。その際、アンナが真っ先に私を護る様に前に立ち、その後に護衛の女性黒シャツ隊員が直ぐ拳銃を構えた。


「何者ですか?」

とアンナが鋭い眼差しを向けながら問う。


「私達は先程ドゥーチェが視察された設計局の中戦車開発の班とは別の班の者です。ドゥーチェにお願いがあります」


「何かな?」


「私達も戦車を造りたいので、直談判に来ました」


「そういうのは社長に言うんじゃないのかな?」


「いいえ、先程社長に直談判しましたが、軍からの依頼がないと造るのを許可しないと言われまして」


「…そうなんだ」


 他に戦車と言ったら重戦車位だし、初めてやるこの人達ができるとは限らないからなぁ、そう言えば史実でp40重戦車はディーゼルエンジンの開発が難航して、試験車両ができるまでの時間がかかったって言われてるから、その間の埋め合わせ中継ぎにはちょうどいいかもしれない。


 もし史実の※②M15中戦車なんかが出来たら、戦車戦力の大半が豆戦車のイタリアが大戦前に連合軍の戦車に対抗可能な戦車を持つことが出来るかもしれないし


「わかった、私から言っておくよ。ただし、現在開発中の中戦車よりも早く完成させてね。もし優秀な戦車であれば軍で採用するかもしれないから、上手く行ったら重戦車の開発を君達に依頼するかもね」


「本当ですか!ありがとうございます」


 その後、彼等が期待以上の戦車を造り上げるとは、この時の私は思っていなかった。



1934年10月5日

「ドゥーチェ、明日の予定ですが機械化旅団の視察が入っています」


「機械化旅団…?確か先月に創設されたばかりの部隊だよね?」


「そうですね」


「その機械化旅団の報告書って、あったりしないかな?」


「少々お待ちください。確認してきます」


「わかった」


 それから30分ほどたった後にアンナが戦争次官を連れて来た。


「なんで、戦争陸軍次官を連れて来たの?」


「いや、戦争陸軍省に確認をとっていたら、何故か戦争陸軍次官が説明に来ると言いまして」


「なるほど」


「すいません。先月にドゥーチェに伝えていなかった事がありまして」


「実は本来ですと機械化師団になる予定だったのですが、我が国の工業力や資金面の問題で師団規模の戦力に達しなかったのですよ」


「そうなんだ…機械化部隊で余ってる部隊とかないの?」


「2個戦車大隊、1個オートバイ大隊などがいますね」


「普通に師団規模まで行けそうだけど?」


「機械化旅団では、それらの枠はもう既に埋まっているので」


「そうなんだ、他の部隊とか作れないの?」


「中途半端な戦力すぎて無理ですね」


「そうなんだ」


 確かイタリアに戦車部隊や歩兵、砲兵部隊挙げ句の果てには騎兵部隊を加えた師団があったような…確か名前は


「…快速師団」


「ドゥーチェ、快速師団とはなんですか?」

と戦争次官が聞いてきた。


「簡単に言うとハイブリッド師団かな、例えば戦車部隊や歩兵部隊に砲兵部隊、騎兵部隊をあわせた部隊だよ。多分それなら、2個師団はいけるんじゃないかな?」


「なるほど…ドゥーチェ、何故騎兵部隊合わせるのでしょうか?速度に合わないと思うのですが?」


「最初はそうだろうけど、その騎兵部隊を優先的に機械化すれば大丈夫だと思うよ」


「そうですか…わかりました。至急、戦争陸軍省に戻って、幹部達と会議をしようと思います」


戦争陸軍次官」


「なんでしょうか?」


「もし創設されるとしたら、司令官の一人を※③プラスカ中将を推薦するよ」

 

 イタリア=ギリシャ戦争では色々非難されることがある人だけど、アルバニア方面軍の前に着任した創設時の第2快速師団を率いた人だから、でも正直言って快速師団の司令官を彼以外に知らないのが原因であるけど


「ドゥーチェ、プラスカ中将は今年にザール地方駐屯軍の司令官になったばかりですが?」


「私の方からプラスカ中将に言っておくよ」


「わかりました」


 戦争陸軍次官が戦争省に戻ってから、その日中に2個快速師団が創設されることが決定された。



1934年10月6日


 スペインのカタルーニャが独立宣言して、即座にスペイン軍によって鎮圧された日に、私は先月に創設されたばかりの機械化旅団を視察しに行った。この機械化旅団は、旅団長就任と同時に准将に昇格した※④ジョヴァンニ・メッセが案内役を務めていた。


「ドゥーチェ、本日はお越しいただきありがとうございました」


「こちらこそ貴重な時間をありがとう」


「全然大丈夫です。私達はドゥーチェが来ることを楽しみにしていたので」


 そう言うとメッセ准将と後ろで整列しているイタリア将兵達は全員が顔がほころんでいた。


「そうですか…では、メッセ准将に質問なのですが、新しく2個快速師団を創設されます。既に司令官の一人は決まっていますが、もう一人がなかなか決まらないのですよ。メッセ准将は誰か推薦する人はいますか?」


「そうですね…第3自動車化師団長の※⑤マリオ・ベルティ中将はどうでしょうか?ベルティ中将は現職も含めて2回、自動車化師団長を歴任しています」


 ベルティ中将は確か第二次世界大戦で第10軍の軍司令官に任命されたけど、熱病を患って本国で休養中にイギリス軍のコンパス作戦で第10軍が壊滅したんだよね。その時のあまりの捕虜の多さを元ネタにしたイタリア軍ジョークがあったくらいだし。でもその前に自動車化師団長をやっていたなんて知らなかったな。


「なるほどね…ありがとう」


「どういたしまして」

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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革しイタリア軍にやる気を出させイタリアを勝利に導く〜を

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補足説明(ウイキペディア参考)

①Da 90/53

実戦での評価はなかったが、同砲を搭載したセモヴェンテ90/53の評価でDa 90/53は8.8 cm高射砲をも凌ぐ傑作と評価され、当時の連合軍の戦車のほぼ全てを撃破可能と言われるほどの高威力と超射程を誇った。

重量   8,950kg(牽引状態)

     6,240kg(戦闘状態)

全長   3.34m

銃身長  4,736mm

口径   90mm

砲尾   水平鎖栓式

反動   液気圧式駐退復座器

砲架   四脚式砲架

仰角   0°~+85°

旋回角  360°

発射速度 19発/分

初速   830m/秒

最大射程 12,000m(対空射撃時)

     17,400m(対地射撃時)


②M15中戦車

正式名称:カルロ・アルマートM15/42。過去に作った中戦車と戦訓を元に開発された。P26/40重戦車の量産ができるようになるまでの一時しのぎで生産された為に90輌と非常に少ない。

重量    15.5t

全長    4.92m

全幅    2.20m

全高    2.40m

要員数   4名(車長、通信手、操縦手、砲手兼装填手)

装甲    前面装甲50mm

      側面装甲42mm

主兵装   47mm / L40戦車砲

      弾薬111発携行

副兵装   8mm ブレダM38車載機関銃、4挺

エンジン  フィアットSPA 15TB M42 4ストロークV型8気筒液冷       ガソリン

懸架・駆動 2組の4輪ボギー、リーフスプリングサスペンション

行動距離  200km

速度    40km/h


③プラスカ中将

ユーゴスラビアとフランスにドイツと駐在武官を歴任して1934年に協商国と国際連盟が管理するドイツのザール地方に駐屯軍する部隊の司令官となり、1938年に第2快速師団『鉄頭公エマヌエーレ・フェリベルト』の師団長に任命された。イタリア=ギリシャ戦争では前線司令官に任命されたが、希土戦争での戦訓からギリシャ軍を侮り、大苦戦したことで開戦してから1ヶ月もたたないうちに解任された。


④ジョヴァンニ・メッセ

第二次世界大戦のヘタリア扱いされるイタリア陸軍の将官の中で優秀な指揮官として評価されている。第一次世界大戦で活躍し、エマヌエーレ3世から副官に任命されている。第二次エチオピア戦争では機械化旅団を率いて活躍し、少将に任命される。その活躍が認められ虎の子の戦車師団長に就任した。第二次世界大戦では、イタリア=ギリシャ戦争で有利に進めるも全体が苦戦していた為にドイツ軍の到着を待った。イタリア・ロシア派遣軍の総指揮官として機甲部隊を持たずに機械化歩兵・騎兵部隊を率いて戦った。北アフリカ戦線ではロンメルが体調を崩して本国に戻っている間、ドイツ・アフリカ軍団をイタリア第1軍に臨時編入しドイツ軍とイタリア軍双方をよくまとめ、ロンメルが残した防衛計画の完成に全力を注いだが、英軍の様々な作戦で脱出も絶望的になり、イタリア本国から許可を貰った後に連合軍に降伏した。イタリア王国最後の元帥就任となった。連合軍に降伏後に南イタリアに渡り参謀総長としてイタリア社会共和国と戦った。


⑤マリオ・ベルティ

解説済み


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