第22話 開戦 第二次エチオピア戦争

-エチオピア:イタリア領エリトリアとの国境地域-

1935年10月3日 午前9時頃


越境してから5時間以上たったが、イタリア軍はエチオピア軍の抵抗を殆ど受けずに進軍してた。何人かの兵士が半日間続いた砲撃の跡につまづいたり、砲の車輪が引っかかったりして動かせなくなるアクシデントが起こったが、想定よりも遥かにエチオピア軍の抵抗がないことに驚いて何かの罠じゃないかと警戒するようになっていた。彼らは知らなかったのだが、イタリア軍が昨日の午後から半日もの間、砲撃し続けたことで国境付近の村や街から大量の人々がアディスアベバ方面へ避難していた。そのことでエチオピア正規軍の殆どがその対応に追われており、国境の守備にあたるのは地方軍閥の兵士しかいなく、その兵士たちも初期の砲撃で壊滅していた。



イタリア:ローマ 国防省 参謀本部

1935年10月3日 午後


宣戦布告してからちょうど24時間が過ぎた頃に国防省の参謀本部に戦争の進捗状況を他の大臣達と聞きに来ていた。


「ドゥーチェ、現在の戦況についてご報告致します」

とバドリオ元帥の副官が言った。


「お願い」


「まず、エチオピア軍の総兵力が40万人を越えたと報告がきました。予測にはなりますが最大70万人になる可能性があると報告があがっています」


「わかった。エリトリア戦線の予備戦力はどれ程あるの?」


「エリトリア戦線の予備戦力は、エリトリア植民地軍所属の1個歩兵師団、徴兵後に編成された1個歩兵師団、3個黒シャツ師団、2週間後に投入予定の4個山岳師団の約9万人がいますね」


「戦況次第では即時投入も可能です」

とバドリオ元帥が付け加える。


まだ1個軍団位の兵力があるのね。


「ありがとう。続けて」


「はい、エリトリア国境並びにオーッサ・スルタン国から越境した我が軍は順調に占領地域を広げています。十日ほどすれば※①アスクムを占領できるかと…ただ」


「なんかあったの?」


「実は行く先々の村や集落で殆どの人が消えていて、まるで賊に襲われたような状態になっているそうです。そのことで治安が悪化しており治安維持にまわす部隊を増やすことになりました」


「わかった。エリトリアにいる1個歩兵師団に治安維持の為の出動命令を出して」


「わかりました」


「ソマリランド戦線の方は何かあった?」


「グラツィアーニ大将が敵の攻勢を退けていますね」


そう言えば、戦時中にグラツィアーニ大将って黒シャツ隊から暗殺未遂事件が起きるんだよね。それが原因で占領した地域で黒シャツ隊に「3日間好きなだけ殺していい」って許可を出したことで戦後に反乱が頻発したから対応しておかないとなぁ。


「そう。各国からのからの反応は?」


それには、外務次官(チャーノ外務大臣が空軍に志願してエチオピアにいる為)が答える。


「国際連盟で緊急会合が開かれたとのことです。また、リベリアでは我が国を非難すると共にエチオピア支援を表明しています。その他の中小国は中米諸国を中心に我が国を非難してますね。列強国ではアメリカ政府は無反応でしたが、アフリカ系アメリカ人が資金調達や義勇兵を集めているそうです」


義勇兵が※②トンプソンを持っていたら鹵獲したいな。


「前から予想されてたことだし、あまり問題はないかな」


「そうですね」


「国内情勢はどうなっているの?」


それには労働大臣が答える。

「軍需工場では弾薬・砲弾等を中心に生産しています。勿論、民需工場も国民の生活が困らないように生産を維持していく予定です」


「ドゥーチェ、私からもいいでしょうか?」

とモーリ内務大臣が手を挙げる。


「いいよ。治安のことかな?」


「はい、特に大きな問題はありません。ただ、軍需工場を警備するカラビニエリの数が増えたので予備役のカラビニエリを動員してもよろしいでしょうか?」


「いいよ」


「ありがとうございます」

 

「他にはないかな?」


そう言うと農林大臣から手が挙がった。

「ドゥーチェよろしいでしょうか?」


「いいよ。配給制のことかな?」


「それもありますが、ドイツからジャガイモを買いわないかと打診を受けました」


このタイミングで渡してきますか…確かにジャガイモは数カ月もあれば生産が可能だから平時だったら購入しなくても問題ないけど今は戦時中だし、これからおこる経済制裁で食料品が不足するから有り難い。ヒトラーめ…このタイミングを狙ったな、絶対に通常価格よりも高めに設定してるでしょう?私でもそうするわ。でも世界大戦になるともっと食料事情が悪くなるから今購入して配給品の中に入れてイタリア人にジャガイモを慣れされせた方がいいかも知れない。失業者に土地を与えてジャガイモ農家にすることで食料増産と失業者対策ができる。一石二鳥以上の価値がそれにはある。今買い取らないと値を吊り上げられて損をしてしまうかもしれない。


「ドイツに購入する旨を伝えて」


「わかりました」


「それと労働大臣と農林大臣はこのことについて話し合うから後で執務室に来てね」


「「わかりました」」

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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革しイタリア軍にやる気を出させイタリアを勝利に導く〜を

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補足説明(ウイキペディア参考)

①アスクム

エチオピア北部にある街。

②トンプソン

正式名称 トンプソン・サブマシンガン

当時の価格を現在価値にすると60万円程(第2次世界大戦の短期間銃の値段が10万円行くか行かないか位※ステンガン等の例外もある)。

禁酒法時代のアメリカでギャングや警察双方で使用された。第二次世界大戦前にアメリカ軍に採用されベトナム戦争まで活躍した。現在でも作られており総生産数は170万挺以上。派生型が多数ある。


種別   短機関銃またはサブマシンガン

口径   11.43mm

銃身長  276mm

使用弾薬 .45ACP弾(11.43×23mm)

装弾数  20発 箱型弾倉

     30発 箱型弾倉

     50発 ドラムマガジン

     100発 ドラムマガジン

全長   860mm(M1928A1)

     810mm(M1A1/M1)

重量   4.9kg(M1928A1)

     4.8kg(M1A1/M1)

     ※からの場合

発射速度 600-1200発/分(各モデルにより異なる)


−追記−

3月13日 誤字と一部の内容の変更を行いました。

同日   一部の内容を変更しました

同日   誤字を訂正しました。

同日   誤字を訂正しました。





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