第7話 伊独首脳会談

「ヒトラー総統が私と会談を?」


「はい。先日、チャーノ外務大臣が工業製品と技術者、兵器にユダヤ人労働者の件でドイツに交渉をしに行ったのですが、その時にノイラート外務大臣がヒトラー総統とドゥーチェとの会談の場を設けたいとの事でその会談の場で交渉すると言ってきたそうです」


「なる程…」


 史実にはない交渉をしに行ったんだし、史実にはない事が起きても当然か...


「分かった。日程を調整しておいて」


「分かりました」



-ドイツ:ベルリン-

9月15日11時頃


 会談の為にベルリンに向かい汽車を降りた私を待っていたのは、ドイツの大臣・外交官達に親衛隊、各国の記者団そして、それ等の先頭に立つ深い青い目に黒髪ロングのウェーブがかかった美女だった。


「ムッソリーニ首相、お久しぶりです。わざわざドイツへ起こし下さりありがとうございます」


「ヒトラー総統、このような盛大な歓迎をありがとうございます」

汽車の中でアンナに写真見せてもらわなかったら分かんなかったよ...なんでヒトラーが美女なの?もしかして、第二次世界大戦時の首脳全員が美女・美少女化してたりしてないよね?


 そうして、二人が握手をすると記者団がカメラのシャッターを切りフラッシュが巻き起こった。


「それでは車は用意していますので、会談場所の※①シャルロッテンブルク宮殿へ行きましょうか」


「はい」


 この時はまだ、思っていなかった。移動だけで大変だということに…同じオープンカーに乗った私達はその後、シャルロッテンブルク宮殿迄の道のりを数万人の民衆に歓迎を受け親衛隊と警察に守られながらベンリン市内をまわったのだった。そして、シャルロッテンブルク宮殿についた時に本音が出てしまった。


「車で移動するだけだと思っていたのにあれはパレードじゃないですか…はぁ」


「ふふふ、すいませんね。どうやら大臣達が張り切りすぎてしまったみたいですね」


「こんなにしなくても良かったのに」


「駄目ですよ。私の憧れであり全体主義の創設者たるムッソリーニ首相が我が国に来たのにしっかり歓迎しなければ我が国の品格が疑われます」


「そうですか…」


 そう言えば、ヒトラーはムッソリーニを心酔していたって言うしこの対応なのも当然なのかもしれない。


「ではお疲れかもしれませんが、宮殿の来客室に荷物等を置いて準備が出来ましたら直ぐに会談をはじめようと思っています」


「分かりました。では、昼食も含めて2時間後に会談をはじめましょうか、皆もそれで良いでしょう?」


 そうやって私は後ろで控えているアンナとチャーノ外務大臣、外交官らに確認をとる。


「ドゥーチェがそう言うならそれで良いと思います」

とチャーノ外務大臣が言った事で皆も傾く。


 その後、それぞれ来客室で過ごしたあと会談が始まった。


「では改めまして、ムッソリーニ首相ようこそドイツへ」


「ええ、此方も招待して下さりありがとうございます」


「昼食はどうでしたか?流石に貴国の料理より劣ってはいますが、それでもドイツで最上級の料理を手配していましたので楽しんで頂ましたら幸いです」


「ええ、とても美味しい料理でしたよ」


「では、会談をはじめましょうか?」


「そうですね」


 その後に記者団のフラッシュが巻き起こったが直ぐに親衛隊によって会談の場から記者団を退去させた後に会談が始まった。


 最初に口を開いたのはヒトラー総統だった。


「我が国は概ね貴国からの要件を受け入れようと思います。それと、更新する兵器の件に我が国の原油採掘の技術者とそれに必要な工業製品を追加しようと考えています」


 その言葉を聞いたイタリアの外交官達が安堵の声を出す。


「ありがとうございます」

と感謝の言葉を口にする。


「ただし、対価として採掘される石油の4割又は、北部もしくは西部の石油の利権を貰いたいですね」


 その言葉を聞いた私を含め外交官達の表情が険しくなる。


「それは余りにも対価を求め過ぎかと思いますが?」

と私が言う。


「では此方も言いますが、多数の重工業製品と技術者と武器に加えて恐らくイタリア人と植民地人労働者の事を踏まえると1万人以上のユダヤ人労働者の派遣を貴国は求めているのですから、それが妥当かと思いますが?」


 ヒトラー総統が言い返してくる。その表情は微笑む悪女国家に忠誠を捧げた詐欺師のようであった。


「我が国は元々3割で交渉しに来たのですが、貴国が求めるのならば間を取って3.5割でどうでしょうか?」


「では、それで手を打ちましょう。それと会談が終わった後、個人的にムッソリーニ首相と話がしたいのですが、よろしいですか?」


「ドイツに滞在している間は良いですよ」


「そうですか。では、会談が終わった後で」


 その後、ドイツから輸入する工業製品と兵器の確認とユダヤ人労働者と技術者の派遣規模についての交渉して会談が終わった。そして、他の大臣・外交官達を下がらせた。


「それで、ヒトラー総統。話とはなんですか?」


「ムッソリーニ首相…いえ、転生者同胞さん」


 ヒトラー総統は此方を見透かした様な表情で見つめていた。


「な...!」


「やっぱりそうでしたか」 

と安堵の声をヒトラー総統がだした。


「ヒトラー総統…貴女も転生者なのですか?」


「ええ、そうですよ」


「なんで分かったのですか?」


「それは、少し前に貴女の行動を見た時から転生者ではないかと疑っていましたからね」


「なる程…私が史実と違う動きをしたので気付いたんですね?」


「ええ、なので永ちゃんと相談してかなり前から輸出する兵器を決めていたんですよ。じゃなければ、MG34はまだしも8.8cmFlaK 18※②アハトアハトを輸出なんてしませんよ」


「そうだったんですか…ところで永ちゃんって誰ですか?」


「あゝそれは…いずれ分かると思いますよ。それと永ちゃんからの贈り物です」 


 そう言うとヒトラー総統は机の中から2つの大きな箱を取り出した。


「これはなんですか?」


「開けてみて下さい」


 そうして2つの箱を開けると2つの武器に榴弾に設計図が入ってた。


「※③八九式重擲弾筒と※④四四式騎銃ですか…」


「ええ、イタリアで活躍できそうな武器を選んだそうです。

※⑤カルカノ弾が使用出来る様に改造されていますよ」


「ありがとうございます」


「色々思うところがあると思いますが、そろそろ貴女が帰国する時間が近いのでまた次に会う時に話の続きをしましょう」


「そうですね」


 その後私達は汽車に乗りイタリアに帰国して行った。


「私以外にも転生者が居るのか...」

と不安を抱きながら。

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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革してイタリア軍にやる気をださせイタリアを勝利に導く〜を

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今週は6話で言ったとおり学校行事があるので投稿が出来ません。

なので、来週は8話+大臣達の困惑話の一挙2話投稿にしようと思っています。もしかしたら、大臣達の困惑話が一、二日程遅れての投稿になるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。


①シャルロッテンブルク宮殿

ドイツの首都ベルリン中心部に建てられた豪華な宮殿。

18世紀にフリードリヒ2世の王妃の夏の離宮として建てられた。


②アハトアハト(ウィキペディア参考)

FlaK 18は当時ボフォース社の口径7.5cm高射砲をドイツ軍標準の口径8.8cmに拡大したもので1928年より量産が始まったがヴェルサイユ条約で高射砲等の新規開発が禁じられていた為に本来年式だとFlaK 28になるところをFlaK 18とする命名欺瞞工作をして正式配備した。

全長 5,791mm

砲身長 4,938mm

全高 2,100mm

重量 7,407kg

口径 88mm

旋回角 360度

発射速度 15-20発/分

有効射程 14,810m(対地目標)

7620m(対空目標)

最大射程 11,900m(対空目標)


③八九式重擲弾筒(ウィキペディア参考)

第二次世界大戦時の軽迫撃砲で最も優れていると評価されている。

種類は軽迫撃砲又は擲弾発射器

口径 50mm

銃身長 254mm

全長 610mm

重量 4.7kg

最大射程 八九式榴弾:670m

十年式榴弾、九一式榴弾:200m

有効射程 :八九式榴弾:120m



④四四式騎銃(ウィキペディア参考)

口径 6.5mm

銃身長 419mm

ライフリング 6条右回り

使用弾薬 三八式実包→カルカノ弾

装弾数 5発

作動方式 ボルトアクション式

全長 955mm

起剣時1,309mm(折り畳み式銃剣を伸ばした場合)

重量 3,965g

銃口初速 708m/s

有効射程 500m


⑤カルカノ弾

6.5×52カルカノ・ライフル弾

第一、ニ次世界大戦で使用されたイタリア王立陸軍の正式ライフルのカルカノM1891の弾丸

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