第3話 誕生日パーティーと伊墺首脳会談

 リッチョーネの別荘に着く前のこと


 私は、滞在先の※①チェゼーナから、列車でリッチョーネに移動途中に思い出したことがあった。(そう言えば、史実でドルフース家をリッチョーネの別荘に招待したのは、ムッソリーニの妻のラケーレ・グイーディ・ムッソリーニだった筈だけど、この世界ではムッソリーニが女だから、どうなっているんだろう?)

 

 そう疑問に思った私は、反対側に座っているアンナに話しかけた。


「アンナに聞きたいことがあるんだけど」


「はい、なんでしょうか?」


「今回ドルフース家を招待したのは、ラケーレだよね?」


「はい、そうですよ。そう言えば、ラケーレさんが子供達を連れてくると言っていました」


 ラケーレは、居るのか…この世界ではムッソリーニが女だから男なのかな?話を聞く限り子供がいるみたいだし聞いてみるか。


「アンナ、ラケーレって男だよね?」


「何を言っているんですか?ラケーレさんは女性ですよ。忘れたんですか?」


「え...?」


 今アンナはなんて言った?ラケーレが女性?まさか、転生前のムッソリーニって同性愛者?そうして、話を聞いていくうちに、この世界のムッソリーニが同性愛者で、史実と変わらずの女たらしであることがわかった。ムッソリーニは女になっても女たらしなのかと、呆れた私は悪くない。因みに子供は養子らしいが、話を聞く限り生誕と性別そして名前も性格も同じだったので、恐らく変わっていないと思う。そうして、リッチョーネに着き今に至る。


 7月29日にオーストリア首相であるエンゲルベルト・ドルフースがリッチョーネの別荘に到着したところを私達は別荘前で出迎えた。


「ムッソリーニ首相お久しぶりですね。この前は、私を助けて頂きありがとうございます」


 そうして、車から出てきたドルフースは、151cmと史実と同じで小柄な体格だった。※因みにムッソリーニは169cm


「いえいえ、友人として当然のことをしたまでですよ」


「それと、ラケーレさん。今回は、ドルフース家をご招待して頂きまして誠にありがとうございます」


「いえいえ、今日は記念日ですから、来て頂きありがとうございます」


記念日?今日なんかムッソリーニ関係でなんかあったけ?


「友人として当然のことですよ。それと、車で来る途中に広場でサッカーをやっている子供達がいましたよ。先月のワールドカップでイタリアが優勝したからか、前回来た時よりも子供達に活気がありましたよ」


「そうでしたか」


 そう言えば、この年にムッソリーニは、イタリアでワールドカップをやっていたなと思いつつ。それを真似したヒトラーが1936年にベルリンオリンピックをやっていた事を思い出した。


「さあさあ、何時までも外で話しておらずに家に入りましょう」


 そう言ってドルフース首相を別荘に招き入れ応接室に入り席に座った。ラケーレとドルフース夫人は、子供達の面倒を見るとかで応接室から出ていっていた。


「ムッソリーニ首相」


「はい、なんでしょう?」


「本日は、何の日かご存知でしょうか?」


「すいません。最近忙しく今日は何の日でしょうか?」


「そうですか…、まぁ、見れば思い出しますよ」


 そうして、後ろに居る秘書に何かを指示し、応接室のドアを開られた。直後にチーズケーキを持ったラケーレと大小のプレゼントを持った5人の子供達※②とドルフース夫人と2人の子供が応接室に入って来た。それで私は思い出した。そう言えばムッソリーニって前世の私と同じ7月29日生まれだったと


「「「「「「お誕生日おめでとう!」」」」」」


「いやぁ、すっかり忘れてたよ。ありがとう」

そうして、何故かドルフース首相との会談前に私の誕生日パーティーが開かれた。それが、午後2時まで続いた後にドルフース首相との会談の場が設けられた。


「私の誕生日を祝っていただいてありがとうございます」


「いやいや、こちらはムッソリーニ首相に命を救われたのですからむしろ当然のことですよ。それにラケーレさんから、お願いされていたので、友人として元々祝うつもりでしたから」


「そうでしたか」


「それにしても、今年で51歳になるのにその美貌を保っているのは凄いですね。何か秘訣でもあるのですか?」


「秘訣は何もありませんよ」


 そこのところは、私も知りたいくらいだ。そうして、雑談が終わった時に、ドルフース首相から本題に入った。


「ムッソリーニ首相は、先の暗殺未遂事件の裏にドイツにあると思っていますか?」


「ええ、何しろオーストリアは、ドイツ系が多数を占めており、何よりヒトラー首相の産まれ故郷ですから、併合を目論んでいるのでしょう。そして、オーストリア・ナチスが壊滅した際に党員増強までの間、活動を無期限停止にしましたからね」


「やはり、そうですか…はぁ」


 ドルフース首相は深いため息を出す。


「ドルフース首相」


「なんでしょう?」


 ここで私は昨日考えた。オーストリアを生き残らせる方法を話す。


「確か貴方は、オーストリアの独立派が掲げていたハプスブルク家の復位に賛同していましたよね?」


「ええ、サヴォイア家との合同も検討したぐらいですからね」


「そして、共産主義は嫌いですよね?」


「ええ、そうです」


「そして、ナチスに危機感を抱いている」


「命を狙われた上に祖国オーストリアの併合を目論んでいますからね」


「実は、貴方と全く同じ考えの人が隣国ハンガリーにいるんですよね」


そこでドルフース首相は数十秒考えた後何かを察した様に答えた。

「まさか、…※③ホルティ摂政ですか…?」


「ええ、彼は共産嫌いでナチスに危機感を持ち、ハプスブルク家の復位を望んでいる。ドルフース首相、我が国が支援しますから二重帝国を再建させませんか?」


 ドルフース首相は鳩が豆鉄砲を食らった様に固まっていた。

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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革しイタリア軍にやる気をださせイタリアを勝利に導く〜を

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なお、※←これにつきましては、補足説明として下の様に致します。

※①チェゼーナ:エミリア=ロマーニャ州、フォルリ=チェゼーナ県の県都の一つ。

※②5人の子供達(史実でラケーレとの間に産まれた子供達):産まれから順にエッダ・ムッソリーニ(チャーノ)(生誕1910年9月1日(女))。

ヴィットーリオ・ムッソリーニ(生誕1916年9月21日(男))。

ブルーノ・ムッソリーニ(生誕1918年4月22日(男))。

ロマーノ・ムッソリーニ(生誕1927年9月26日(男))

アンナ・マリア・ムッソリーニ(生誕1929年9月3日(女))

※③ホルティ摂政:ヴィテーズ・ナジバーニャイ・ホルティ・ミクローシュ通称ホルティ・ミクローシュは、国王不在のハンガリー王国の摂政を務めている。


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