第303話 解除の試練③
「じょ……上級天使ですって!??? い、い、いったい何が何やら!??」
「あ……あわわわわっ!! ああゆう可愛くないのは専門外でござるよ!!」
新たに登場した天使群。
その中心にいるソロネは、自身の体よりも大きな車輪の中に腰掛け、優雅にこちらを見下ろしている。
天使たちは揃って人形のように表情がない。
それが恐怖を煽り立て、アニオタと誠司はその迫力に縮こまっている。
ヨウツベも怯えていたがカメラだけはしっかりと回していた。
なにせ本物の天使をとらえた世界最初のスクープなのだ。いつの日かこれも伝説の映像となるに違いない。
「
――――ガンガンッ!!!!
偽島が拳銃を撃った。
これも
――――ギャンッ!!!!
「なっ!??」
取り巻きの
――――ガァアァァァァンッ!!!!
間髪入れず元一もライフルを放つが――――ギャギィンッ!!!!
さっきは倒せたはずの一撃が、今度はまるで通用しなかった。
「なんじゃとっ!?」
「座天使ソロネは唯一神たる主の戦車を運ぶ者。防御の象徴とされる。あの車輪から放たれる神気が兵隊の盾となり鉄壁の軍団を作る。だから同じ
背中からだくだく血を流したクロード。
ぐったり倒れ込みながら解説をする。
「そのさっきのにすら負けたお前が偉そうに言うな!!」
「だから喧嘩をしている場合じゃない、来るぞっ!!」
アルテマの言う通り、今度は数も三倍になって襲いかかってくる
――――グアギインッ――――ザシュッ!!!!
「ぐわぁあぁあぁっ!!!!」
まずは六段が迎え撃つが、最初の一体にホーリークロウを弾かれてしまう。
その隙を、続いた二体に突かれてしまい、肩と脇腹の肉を斬られてしまった。
そしてまだまだ襲いかかってくる
集団でトドメを刺そうと剣を突き出してきたところに、
「
――――ドグワァァアアァァァァァァァァァンッ!!!!
特大・
『――――っ!???』
さすがにこれには耐えきれず消滅する
まわりの木々も巻き添えに燃やしてしまったが、手加減などしていられない。
三体を残してあとは全滅した
「くそ、なめるなっ!!」
ガンガンと銃を撃ちまくる偽島だがやはり弾は弾かれてしまう。
切りかかってくる剣を銃の柄で受け、なんとか攻撃を止めるが反撃はできない。ソロネのせいで鉄壁化しているコイツラに対抗する手段はなかった。
アルテマが加勢しようとするが、この位置で
残りの二体は元一と六段がそれぞれ応戦しているが、二人とも偽島と同じく防御に徹するだけ。
――――ギャキンギャキン!!
戦いの音が響く。
アルテマは
「――――なん、だと――くっ!?
鉄壁兵士の物量攻撃。
芸のない手段だが、やられて最も厄介な戦術の一つ。
「だったら――――っ!!!!」
ならば、とアルテマはこっちも問答無用の手段を選ぶ。
「はぁぁああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁっ!!!!」
気合を巡らせる。
赤黒いオーラが全身を包む。
それが輪郭を作り出し、羽の生えた蛇の姿を形作る。
それは
最大限に魔力を注入したせいで主であるアルテマを飲み込もうとしていた。
「ア、アルテマっ!!」
ただならぬ気配に叫ぶ元一だが
このままではかつて堕天の弓に飲み込まれた元一のように、アルテマも
「だ、だめですアルテマさん無茶だっ!!」
「い、いや――――み、見るでござるよっ!!」
肥大化し、彼女を飲み込もうとしていた
誰もがこれ以上は危険と判断した。
しかしアルテマの気合の押し返しされ、今度は逆に小さくなっていった。
「え……あ、そうか、アルテマさん!!」
「うっひょ~~~~~!! これはこれで、でござるぅ!!」
喜ぶアニオタ。
すかさずカメラを合わすヨウツベ。
全力を出したアルテマは、再びあの妖艶な大人の姿に変化していた。
全盛期の力を巡らせたアルテマ。
その反則的な魔力量に、
――――ザッザザザザザザッ!!!!
降りてきた
アルテマたちそれぞれを囲うように布陣する。
この状態では、たとえ最大出力の
さあ、どうする?
とでも言わんばかりにソロネは首を傾けて見せた。
アルテマはクロードに視線を飛ばした。
受けたクロードは、その悪魔的思惑を理解し顔面を引きつらせるが、拒否している暇はない。
「ちょ、まっ!! ――――ターンガイストッ!!」
宙に漂う
クロードはこの後の惨劇にそなえ、慌ててそれを回収した。
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