第6話 進展②

寝ないと決心したものの、何もやることはないんだけど…。

何しようか、またメモに書いたことでも考えるか…。

…いや、どうも気が乗らない。

というか急に面倒くさくなってきてしまった…先程の好奇心はどこへ行ってしまったのだろうか…。


僕ってこんな性格だったっけ…?

いつもの日常を繰り返していた昨日までの僕とはまるで別人だ。昨日までの僕ならもっと明るくて何も考えないで楽しく日常を送っていたけど今はなんだか暗くなったような気がする。

なんていうかネガティブになったというか。

やっぱり僕はおかしくなってしまったのか…。いやむしろ今までがおかしかったのか?

…なんだかあの夢を見てから本当の自分を少しずつ取り戻していってる感じがする。

本当の僕はもっと…何だっけ…?

…考えるのも面倒くさくなってきた。

やっぱり寝ちゃおうかな。やることもないし。


僕の中にあった好奇心はグラついてもう崩壊寸前だった。

ベッドに横たわろうとしたその瞬間…

「起きろ!炎我!」

…!?

どこからか怒鳴り声が聞こえてきた。

この声、もしかしてS!?

なんで…寝てないのに声が…?

ていうか本当にS?

いつもより迫力があるような、というかうるさい。でもいつも朝会うときよりも聞き馴染みのある声だ。

…心臓がバクバクしている。

これはもしかしてなにかを変えるチャンスかもしれない!声が聞こえ無くなる前にとりあえず叫んでみる。

「起きてるよ!!」

S?の声だけが上から聞こえる。そういえば夢の中でも上から聞こえてきたような…。

それにえんが…って僕の名前?


僕は何がどうなっているのかよくわからないまま呆然とベッドの上に座っている。

「ねえ!もしかしてSなの?」

僕は上に向かって大きく声を発する。

発した後で、すぐしまったと思った。Sと言うのは適当に考えたあいつ仮名だからだ。


すると、

「お前の名前は霜野崎炎我だ!思い出せ!」

と返ってきた…。というか僕がSと呼んだことには全く反応していないような…。

しものさきえんが…それが僕の名前?いや…俺の…?


「待ってろよ!今思い出させてやるから!」

思い出させる…?

…何を…どうやって?

よくわからないけど状況が進展しそうだ。

そんなことを考えてるうちに周りが眩しくなり、自分の身体が白い光に包まれた…。

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