第7話 (僕+私)の期末試験と夏休み

さあ、気温も上がり、7月に入り、夏服になり、期末試験。


一学期の終わりを何とか一位で乗り越えたいところではある。


動画投稿を続けながらも勉強は怠らずにやってきた。


大丈夫。いや、まあ元々僕と京は問題ないのだが...


「...大丈夫か?かえさん(楓)」

「大丈夫...なはず!!」


一応同じ家に暮らし始めてから僕と奏多と京で勉強を教えてきたので、前よりは点数が高い...はずだ。


楓さんのことも"かえさん"と呼ぶようになった。


これで今回の試験で下位10位に入ると、かえさんは夏休み補習を受けなければならなくなる。


それは花嵐にとっても困る。


「私心配よ?楓。」

「大丈夫。大丈夫よ。」

「はははっ楓っぽいね。緊張は頑張ってきた証拠だよ。」


奏多がかえさんを励ますようにして緊張をほぐす。


四人はそんないかにも試験前な雰囲気のまま緊張感高まった教室の中に入るのであった。


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「やったーーー!!」

「お、おう...」


大いに喜ぶ楓。それをなんとも言えない反応で雅が返す。


「なになに!!何位だったのかえちゃん!」


大きな声で喜ぶ楓のことが気になったのか、優香が四人の元に近寄ってきた。そして優香はそのまま楓の順位表を見ると...


「あ、そう...なんだ。まあいいんじゃない?」

「何その反応!!そーですよ!!私は馬鹿ですよ!!」

「いやいや、別にそういうつもりで言ったわけじゃ...」


ちょっと詰まった反応をした優香に楓が反抗する。


「そういう優香は何位なの!?」

「私は総合18位。ちょうどかえちゃんの二分の一だね」

「ばかにしなーい!!」


そう。楓の順位は36位。ギリギリ下位10位には入らなかったので喜んでいたのだ。その様子を見て気になったのか、咲也もこっちに来た。


「俺は25位だったなぁ、」

「すごいな。特進の基準は咲也だな。」

「それあんまり嬉しくないな。どうせ雅は一位だろ?」

「まあな。」

「はぇ〜、やっぱりすげーな。」


こんな感じでクラスの皆は自分の順位に一喜一憂。


そのまま成績表も返されて、終業式を終えて夏休みを迎えるのであった。


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高校二年生の夏休み。それは恐らく青春という言葉をそのまま形にしたものだと思う。


青春=高二の夏と言った感じ。


京と共に迎える初めての夏休み。楽しまない訳には行かない。もちろん動画配信も忘れない。最近登録者数が50万人を突破した。最も勢いがある配信者の一組となった。


撮影も楽しいので苦では無い夏休みが待っていることだろう。


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「夏どこか行かないかい?」


突如下校中に奏多がそんな提案をし始める。


勿論僕は大賛成だ。来年僕と京と奏多はまあ内部推薦でそのまま大学に受かるとはいえ、かえさんは恐らく一般受験しなければ受からない。


高校生の内に四人で楽しめるのは今年で最後。ならどこか遠いところに出かけるのもいいだろう。


「そうだな。今年は特に暑いから涼しいところとかがいいだろうな。」

「涼しいところですか...」


涼しいところでかつ観光できるところを皆で考える。


すると僕の所に電話がかかってきた。


僕はみんなに「失礼。」と言って通話のマークをスワイプする。


「雅。夏は暇かしら?」

「まあどこか涼しい所に旅行に行こうかという話にはなっている。」

「そう!!ならいい場所があるのよ!」

「え?どこかあったか?」

「ええ!取っておきの場所があるわ!!」


身に覚えのない雅はそのまま母の話を聞いていたが、とある人の名前を聞いて直ぐに「わかった。そうしよう。」


と、雅は周りに意見も聞かずに決定させた。


「雅、どこになったの?」

「うちの別荘になった。」

「「「別荘!?」」」

「ああ。東北の山の中にある。でも観光とかが避暑として作られた訳では無いからそこまで立派ではない...と思う。」

「思う?どういうことだい雅。」


まず三人は別荘という単語に驚く。そして雅の不確定な言葉に奏多は疑問を覚えた。


「僕も行ったことがないんだ。だが、"ある"という事実は知っている。」

「へえ。」

「奏多」

「ん?」

「牡丹、覚えているか?」

「うん。雅のだね。」

「ああ。」


「「姉!?」」


二人の会話に京と楓が大きく驚く。


「ちょっと待ってくれないかしら雅。姉がいたなんて聞いてないわよ。」

「そうだよ!!みゃー君(雅)」


どういうことかしらと女子二人が雅を問いつめる。ちなみに楓の雅の呼び方はみゃー君だ。都が雅を呼ぶ時にみゃーびと聞こえることからそう言われ始めた。


「そりゃあ言ってないからな。というより正確には従姉妹だ。」

「正確には?」

「ああ。まあそこら辺は後々話す。」


雅は今話すことではないと、この話を後回しにした。


『...この件は本当は二人には黙っていたかったんだかな...でもこれは、母さんが自分の口で事実を言いなさいという事なんだろうな。』


雅は少し憂鬱になり、その雅を見て奏多も『...雅...きっと和子さんだろうな...』


と、電話した主を予想し、雅に同情するのであった。


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読んでくださりありがとうございます。


もしこの作品を気に入って下さったら、次回も是非よろしくお願い致します。










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