第9話 (僕+私)の学校生活

〈前にシークライトの社長が学校に来たって本当だったんだ!〉

〈まあメンバー的に納得よねぇ〉

〈サインくれねーかなぁ...〉

〈もっと遠い存在になっちゃったなぁ〜〉


といった興味や、憧れ、嫉妬の声が学校に入るなり色々と聞こえてくる。それは四人にとっては精神的にかなり来るものであった。


もしかしたらクラスの皆も今までとは違う態度になってしまうのかもしれないと。


となればこの学校に僕らの居場所はない。


『だがこれは、しょうがない事だ...』


と、諦めて教室に向かってると自分を呼ぶ声が聞こえてきた。


「橿原に太宰、そして出雲に伊勢、私の授業を途中で抜け出したんだから、放課後少し手伝いたまえ。じゃっ、また教室でな。」


そう言った生野先生は階段を昇って職員室へと向かっていった。


『やっぱり生野先生は生野先生だな。』


僕ら四人は先生の何気ない一言に随分と気が和らいだ気がした。


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僕らは自分の教室に入った。すると、


「すげーな雅!話聞かせてくれよ!」

「京ちゃんも教えて〜!」

「奏多ハ〇ター生活おつかれぃ!ハハハッ!」

「楓ちゃんが黒スーツは笑えるわ〜アッハッハッ!」


皆僕らと普通に接して話をしようとしてくれた。多分生野先生に予め聞いていたのだろう。学校において自分の教室の居心地がいいと思ったのは初めてだ。


生野先生には本当に感謝しなければならない。


そして僕らは一日の授業を終えて生野先生の元に向かった。


「失礼します。」


僕らは面談室の扉を叩いて扉を開けて中に入る。


目の前には生野先生一人。


「座ってくれ。」

「はい、」


四人は並んでソファに座る。そして最初に生野先生が話し始める。


「まず、ネットの件、大変だったな。橿原、よく柔軟な対応ができたな。さすがだと思う。」

「いえ、自分がその時すべきことをしたまでです。」

「そうか...まあそうだろうな。」


生野先生は雅の回答に頷いて軽く微笑む。そして、


「学校内でもネット内でもいい、何か嫌なことがあったら私に相談するといい。私は、いや、私達二年特A組は君たちの大切な仲間だ。いつでも頼ってくれ。」


この話に四人は驚いた。このインターネットの件で何か言われるとは思ったが、協力を仰ぐ話とは思ってもいなかった。


「実は私たちは昨日、君たちに内緒でクラス皆で君達の投稿した動画の鑑賞会をしたんだ。もう教室内は爆笑の嵐だったよ。特に初っ端に捕まった伊勢には耐えきれなかったよ。今思い出しても笑えるな」


先生は笑いを堪えながら話を続けた。


「太宰が最後のヒントで住所が書いてある電柱が写真に入っていた時も笑ったな。捕まえるときの橿原のゲスの効いた顔と声にも腹を抱えたし、家に帰って太宰と伊勢に早くスーツを着せる女王様みたいな出雲にも我慢できなかったな。とにかく皆大爆笑したよ。」


そして最後にこう言った。


「じつはな、春夏秋冬の花嵐って言う四人のあだ名が学校で回ったのあっただろ?あれはな、特A組がいつからこの四人が有名人になりそうな気がすると思って付けたものなんだ。」


先生の発言に四人は驚く。


「じ、じゃあ...」


奏多が確認するように口を開くが生野先生が先に答える。


「そう。あれは確かに四人の動画チャンネルだが、名前には二年特A組の生徒の思いも詰まっているということだ。」


「なるほど、」

「そうでしたか。」


都と雅は微笑むようにして話に納得した。


「だから我々は君たちの味方だ。高校を卒業して大学に行こうが我々には既にメッセージグループもあるではないか。何かあったら気にすることなくみんなに相談したまえ、私たちは何度も言うが君たちの味方だ。」


先生はそういった後に、「次の動画も楽しみにしてるぞ」と一言いって面談室を出ていった。


僕達はこの言葉に、日常から徐々に切り離れていき孤立してしまうのではないかという不安が籠った心を救われた気がした。


「さあ、帰って課題を終えたら撮影だな。」


僕は明るい声で三人に向かってそう言いながら立ち上がった。


「そうだね。少なくとも22人は僕たちの動画を待ってくれてるわけだからね。」


奏多も続く。


「何撮ろっか〜」


と楓


「ふふっ...」


と笑いながら雅にくっつく京。


四人は並んで学校を出て、家に帰るのであった。


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読んでくださりありがとうございます。


もしこの作品を気に入って下さったら、次回も是非よろしくお願い致します。




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