第2話 (僕+私)の中間試験と危機

季節は5月の中旬。街の木々も深緑色の葉っぱを茂らせて、まだまだ涼しい風にサラサラと音を立てている。


そう、穏やかな日々が続いている...訳では無い。これは学生にとっては鬼門である定期考査の前触れなのである。今日から中間試験が行われる。


普通の高校もそうだが、新城下高生にとってこれは特に重要な試験なのである。


実は新城下高校は超難関私立大学である日本高等政策大学の付属校なのだ。特進科は特進科内の20%がそこに内部推薦で入学できる。


その枠を勝ち取るためには普段の定期考査で常に上位20%を取らなければ受からない。


この試験になればいくら仲のいい特A組だってクラスメイト全員が敵だ。


僕は必死に勉強して今その戦場に向かっていた。


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今私は戦場に向かっている。それは超難関私大である日本高等政策大学への切符を勝ち取るため。今日のために私は隣の席の誘惑(雅は普通に授業受けている)に負けずに授業を真面目に受けてきた。


何としても上位20%を、取らなければ...私の未来予想図が崩れてしまう。


私は目の下にクマを作りながら、新城下高校へと向かうのであった。


------------三日後-------------


「ほほ〜まあまあかな。」

「何よその反応。どうだったのよ。」

「さぁ〜」


京が雅の点数と順位を気にしてくるが、雅はその順位と点数を京に教えない。


「私が見せたら見せてくれるのかしら」

「まあ見せられたら見せてあげよう。」

「言ったわね...」


京がそういうと、バッと点数表を見せてきた。

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二年特A組 出席番号1 出雲 京

合計得点 842点/1000点 Av.84.2

クラス順位2位

特進科順位2位

総評 S

内部推薦 99%

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「まぁ!こんなもんよ!」


と京は誇らしげに胸を張って自慢する。それに対する雅の反応はと言うと、


「お〜流石というかなんというか...」

「何よその反応。凄いでしょ?ほら、早くあなたも見せなさい。」

「あぁ...」


雅は京に順位表を奪われて間抜けな声を出す。しかし...


「だっ...騙したわね!」

「別に騙してなんか無いんだけどなぁ〜」

「キィーッ!!悔しいわ!悔しすぎるわよ!」


雅の順位表には、


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二年特A組 出席番号6 橿原 雅

合計得点 921点/1000点 Av.92.1

クラス順位1位

特進科順位1位

総評 S

内部推薦 99%

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「ま、こんなもんだろ」

「くぅぅう...悔しすぎるわよ...」

「まあ、ドンマイということだ。」


雅は京の肩にポンッと手を置いた。


「んー!次は負けないわよ!」

「おう是非そうしてくれ。」


と反抗する京に余裕の態度で接する。


「所で奏多、お前はどうなんだ。」

「あ〜、まあ普通だね。」


「ハハッ」と笑いながら順位表を雅と京に見せる。


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二年特A組 出席番号16 太宰 奏多

合計得点 700点/1000点 Av.70.0

クラス順位7位

特進科順位13位

総評 A

内部推薦 75%

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「良いじゃないか、内部推薦圏内を維持してるじゃないか。」

「まあね。でも問題は...」


奏多はチラッと楓の方を見る。


楓はその視線に気がつくとビクッとして視線を外した。そして、そのまま逃げようとするが、それを京は許さない。


「どこに行くのかしら?みんなの点数を見たのだから楓も見せるべきよ?」

「い、いや〜なんの事かなぁ〜ははは...あぁっ!!」


京は楓が持っていた順位表を奪い取ってそれを見た。


「か...楓...これは...」

「違うんです!違うんです!」

「何が違うのかしら?」

「いえ...その...」


点数を見た京がクラス内に冷気を漂わせる。


「なんだ?何点だったんだ?」


京は無言で順位表を雅に渡した。それを見た雅は、


「わぁ〜お...」


と、声を漏らした。隣で奏多は苦笑いをしている。その楓の点数とは...


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二年特A組 出席番号2 伊勢 楓

合計得点 342点/1000点 Av.34.2

クラス順位24位

特進科順位47位

総評 D

内部推薦 10%

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「うわぁぁぁああ!!」


楓は京でなく、奏多にしがみつく。なぜ京では無いかと言うとそれは簡単。京が単純に怖いからだ。


「奏多〜勉強教えてよ〜」

「そうだね。勉強しないとね、楓。」


この後楓除く三人で話し合った結果、勉強しないとまずい楓のために、明日から四人で三日に一回は誰かの家で勉強会をすることになった。


その初日である明日は雅の家だ。


雅は『今日部屋の片付けしないとな...』と思うと同時に『...京が家に来るやん...しかも初めて...』と、心がソワソワし始めたのであった。


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読んでくださりありがとうございます。


もしこの作品を気に入ってくださったら、次回も是非よろしくお願い致します。



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