第2話 義姉の先制攻撃、効果はバツグンだ!
結論から言おう。
どうにも私が知っている『レディ・ルイーズ』の物語とは違う気がする。
まず義母。
この人は常識的だった。なんでも母が亡くなってすぐに父が二人のところにやってきて『お前と再婚するから荷物をまとめてこの日に来い』って強引に話を決めちゃったんだってさ!
元々愛人として囲われているのも生活苦であったし、体の弱かった母を慮って祖父があてがったらしく、要するに職業愛人をしてくれていたというわけである。
(おじいさま、何してんの? 初耳なんですけど?)
まあ私の母が体が弱く、私のことを生んでから更に弱くなってしまったのである意味お父様をコントロールするためだったのかもしれないけど……。
で。なぜ義母も大人しく愛人になったのかというと、彼女は実は結婚した過去があるのだ。
その時の夫との間に生まれたのがカサブランカで、夫を事故で亡くし赤子を片手に路傍に迷っていたんだそうだ。
娘と共に暮らせるならば愛人になります、とまあそういう経緯。
今回のことも義母からして見れば『たまにしか来ない男を相手にしていれば生活も安泰だし、実の娘が独り立ちしたら役割を辞して田舎にでも引っ越そうと思っていたらアパートも解約されてここに来る以外方法がなくなっていた』というわけである!
(頭痛い……)
で、問題のカサブランカ。
何故か私に対し、好感度MAXである。なんで?
その理由は義母が物心ついた頃から自分が愛人であること、父親は別の人であること、本邸にいる奥様と娘さん(つまり、私ね)に対して申し訳ないと思っているがこれは生活のためであること。
本邸にいる二人を羨んだり憎んだりするのはお門違いだから自分の幸せを大事にしなさい、と……それを聞いていたから、父に対して『愛人作るおっさん』というイメージがあったらしい。
「いつかアンタに会ったらこんなおっさんのせいで苦労してるねって慰めてあげよって思ったんだよねえ! これからはあたしたちが家族だからさ、なんでもぶっちゃけていーからシクヨロ!」
「あ……ありがとう、ございます……?」
何故かカサブランカがギャルっぽい。しかも若干というか結構古いタイプのギャル……? ガングロとか、そこまではいかないけど。
なんでギャルっぽいのかは謎だが、いい人らしい……?
「あ、この喋り方~? ウケるっしょ、一時酒場とかで流行ったらしくてえ、真似してたら抜けなくなっちった。マジウケるし。あ、お茶あざっす」
「カサブランカ、もう少しきちんとした喋り方をしないとご迷惑が」
「えーマジで? あーしン中でMAX守ってるつもりだったんだけど!」
「全然だめです」
「マジでー? 令嬢ってやつになっちゃったしドレス着るのものマジだるいんだけど、それもしなきゃだめ?」
おそらく自宅から着てきたのであろうパンツスタイルを見下ろして、カサブランカがキャラキャラと笑う。
貴族の家に来た女性とは思えない姿に父は満足そうだけど、執事はもう卒倒しそうだ。
「でもさーどうせあたし、愛人の娘で血の繋がりもないし。侯爵の娘も何もなくない? なら使用人でもいいから働かせてもらえたらサイコーじゃん、ってかそのつもりだし! ってことでよくなくなくない?」
シクヨロ~そう言った彼女だけど、私たちは唖然とするばかりだ。
あるのかないのかどっちなのか、私はそんなことを考えながらハッとする。
えっ、色々ツッコみ所満載なんですけど!?
どうしたらいいのよ、これ!!
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