15小節…モノクロの文化祭
15小節…モノクロの文化祭1-3
文化祭当日
「ここここここここここここ!!!こににちは!」
「違う!!もっと声張れ!!」
「ここここここここ!!!こにににには!」
「どういう噛み方したらそうなんだよ!!」
私はこばしり君にチラシ配りのやり方を教わっていた
こばしり君は結局リーダーを務めることになり
なんだかんだで1番気合いが入ってるらしい
「お前の集客で当店の売上がかかってんだぞ」
「当店って言ってるし!自分の店みたいに言ってるし!店長みたいだし!」
「うるせーー!!!だったらホールで接客してみろ!!」
「すみません!!出来ません!!」
私は元々和服で接客をする予定だったけど
お茶は零すし接客は出来ないしお金貰い忘れるし
踏んだり蹴ったりだよ〜
ちなみにこばしり君はちゃっかりとメイド服を着ている
「おおおおい!!何してんだこいつ!!」
教室の中はまたこばしり君の声がする
リーダーは叫んでばっかで大変そうですなー
「このピアノばか2人は出禁だ!!」
こばしり君がつまみ出した人物は紅衣だった
「あれ?どうしたの?」
何も悪いことをしてなさそうな紅衣が追い出されたのはなんだろ?
「ケーキワンホール分つまみ食いしてたらこのザマだ」
「もはやつまみ食いじゃないよ」
紅衣、私の家に来た時も一口でケーキ食べてたもんね
甘いもの好きなのかな?
紅衣のコスプレは男装の予定だったけど男よりは可愛らしい方がいいというのんちゃんの意見でチャイナドレスを着ている
ドイツなのか日本なのかチャイナなのかごちゃごちゃしてるね
でも紅衣が来てくれてよかった!
私一人じゃ絶対出来ないから
「紅衣とならチラシ配り出来るかもしれない」
「おおー!じゃあやってみろ」
落ち着いてる
やっぱ紅衣となら安心するんだ
今なら…出来る!
「こここここここここ!!!!こにににににににに!がががががが!!」
「ええええー!壊れた!?」
ダメでした!
【コミュ障の敗北!!】
紅衣にお手本を見せてもらおう
「こんにちはー洋菓子屋でーす」
うーわ、目が怖いじゃん
笑って欲しい、紅衣には一生笑顔でいて欲しい
でも人が寄ってくるのは紅衣が可愛いからー!!
入学式思い出す!
でも、このパターンだと紅衣吠えるよね?
「君可愛いねー!」
「チャイナドレスの下ってパンツなの?」
「ラインやってる?交換しよ?」
「バウッ!!」
あー!言わんこっちゃない!
言わんこっちゃないし私じゃどうにも出来ない
「紅衣!とりあえず声掛けられたら笑顔だよ」
「あぁん!?お前に笑顔どうこう言われたかねーな!」
「ごもっともです!」
でもこれだとホールクビにされたのにチラシ配りも出来ないんじゃもっと怒られちゃうよ
何かいい方法ないかな…
……そうだ!
「紅衣、洋菓子屋は正直二の次でいいよね?
私たちさ、明日のピアノ演奏会の宣伝しようよ!」
文化祭は2日に渡って行われる
だから今日はクラスの洋菓子屋さんメインだけど
明日のことも考えればきっとお客さんを呼ぼうと思える
「紅衣、どう?」
紅衣の顔を覗かせると
「そうだな!!明日に向けてだな!!」
満面の笑みを浮かべていた
それそれ!それでチラシ配ればみんなイチコロだよ!
「おねがいしまーす!」ニコニコ
「ああ!可愛い!洋菓子屋行きます!」
「はい!明日は14時からピアノ演奏会もあるので是非聞きに来てください!
お願いします!」ニコニコ
「甘いもの好きなんですよー!行きます!」
「はい!明日は14時からピアノ演奏会もあるので是非聞きに来てください!」
会話する気ないけど笑顔の紅衣かわいすぎ!
その後も紅衣の笑顔でお客さんを呼び込んで
私の出る幕は無いままめちゃくちゃお店は繁盛した
そして休憩時間になる
「あ、のんちゃん」
私は廊下でのんちゃんと会う
「あら、ふーか、あなたもセットする?」
のんちゃんは個人的にヘアセットのお店を開いてるらしい
凄すぎ!
「わ、私はほら、さっきもやってもらったし大丈夫だよ」
和服を着る時にのんちゃんにセットしてもらったんだった
「それもそうね、似合ってる、可愛い、食べちゃいたい、その和服脱がしていい?」
「落ち着こ?」
紅衣はというと
食べ物屋さんを制覇したいと教室を駆け回っていた気がする
きゅ〜ちゃんは占いで恋愛運を占って貰ってる
マイクは女の子ナンパしてるし
みんな個人的に動いてるのも個性があっていいね
そういえば
私は洋菓子屋の教室を見に行く
そこには
「こばしり君?今休憩でしょ?
なにしてるの?」
黙々とお菓子を作ってるこばしり君が居た
「何って、お菓子作ってんだろ」
「見ればわかるよ!休憩中なのにお菓子作ってて大丈夫なの?
みんな自由にしてるよ?」
「ああ、いいんだ、とりあえず作ってるだけだから」
「見ててもいい?」
「あ、ああ!いいぞ」
朝からずっと作りっぱなしだけどほんとによくやるなー
ケーキとかタルトとかは作り置きしてるやつを出してるけど
それも朝からこばしり君が家で作ったやつだし
今もシュークリームを焼いてる
「これ誰用のやつなの?」
私は素朴な疑問をぶつけた
「クラスのやつらの分だよ
あいつらの接客で店が賑わうもんだ」
「私何も出来なくてごめんなさい!」
「元々お前には期待してねーわ」
「そそそ、そんなー」
私は何も出来ないんだなー
これって…高校卒業して大学行って就職した時
ものすごくマイナスポイントなんじゃない!?
あああああ!!どうしよ!不安になったきたあああ!
「こ、こばしり君!私に何か出来ることない?
なんでもいいよ、なんでもする!」
私はせかせかとこばしりに訴えかける
「特にやることねーぞ?」
「ええええー!!そんな……」
「んーそうだなー」
こばしり君は視線を上に向けて何かを考える
そうだよ!何か見つけて!
「俺と他の店周らないか?」
「………え?」
他のお店?
周るってこばしり君と?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます