14小節…モノクロの平和
14小節…モノクロの平和
天地冬華side
紅衣の話を全部聞いた
本当に色んなことがあったんだね
前は詳しく聞いたわけじゃなかった
でも、詳しく聞けば聞くほど紅衣の思いは伝わる
「ふーかのピアノに救われたんだ!」
紅衣はそう言って私を抱きしめる強さをぎゅっと強めた
紅衣にそう言われた瞬間、私は心の奥底から湧き出る感情が出てくる
私は紅衣のピアノが好きだった
でも、紅衣も同じ気持ちで居てくれたのが嬉しい
私なんかのピアノでそう思ってくれるのが嬉しい
「私、お母さんに言われたの
人の心はモノクロであるべきだって」
「モノクロ?」
「うん、何色にも染まる白と何色にも染まらない黒
人の意見を素直に受け入れる白と
自分の意志を強く持つ心の黒があれば素敵な人になれるって」
「そうなのか?」
「うん、だからね、紅衣に救われたって言って貰えた時、やっぱり私も確信した
紅衣となら頑張れる、紅衣とならなんでも乗り越えられるよ」
「……ふーか…」
「文化祭のピアノ演奏会、出よ!」
「……うん!!」
私と紅衣は文化祭でピアノを弾くことになった
紅衣との絆はフォルテッシモのように固く結ばれた
フォルテッシモ=凄く強く
そして夏休みに入り、みんなと色んなところに出かけた
海とか、花火大会とか、お祭りとか
夏の思い出もこんなに充実したの初めて!
あー!気分はクレッシェンド!
クレッシェンド=段々強く
夏休みも終わり、文化祭の話が出てくる
中学の時は即却下されたピアノ演奏会も
「はい、じゃあ当日頑張ってね」
体育館の使用許可が出た
「うううぅぅーふーか、
やっと文化祭で体育館というものが借りれたぞ」
紅衣は感傷に浸っているようだった
意外と紅衣って泣き虫なんだね
そして教室の中では
クラスの出し物を決めていた
マイクは残念ながら他のクラスだからこのクラスと一緒じゃないけど
あとの4人もいるし楽しい文化祭になりそう!
私たちの文化祭は洋菓子屋さんをやるらしい
お菓子を作ってお茶も出すみたい
女子も男子も軽いコスプレをしてやるみたいだから刺さる人には刺さるかも!
きゅ〜ちゃん
「コスプレかーみんな何が似合うだろうなー」
のんちゃん
「紅衣なんかは男装が似合うんじゃない?
ほら、ここを結んで前髪垂らすと」
のんちゃんは手際よく紅衣の髪をセットした
のんちゃん
「ほら!」
私
「おー!!」
かかか、かっこいい!!
かっこいいけど
私
「ちっちゃくて可愛い!」
紅衣
「なんで変わってないとこ褒めてんだよ!!」
他の人はどうだろ?
紅衣
「きゅ〜なんかはバニーガールでいいんじゃねーの?
寂しくて死んでそうだし」
きゅ〜ちゃん
「うるさーい!バニーガールとか露出高すぎ!」
のんちゃん
「いいと思うわぁ〜」ハァハァ
賑やかだ、平和だ、これが学校だ
「えええーー!!小橋君お菓子作れるの!?」
クラスの女の子が何やらこばしり君に群がっている
「ああ、実家がケーキ屋だからな
シュークリームとかなら出来るぞ?」
難易度高すぎでしょ!!!
ほんと何者なの!?
「じゃあー!こばしり洋菓子屋のリーダーだな!
コスプレはメイド!」
「勝手に決めてんじゃねーよ!」
きゅ〜ちゃんがこばしり君をいじってる
この2人もすっかり仲が良くなったなー
文化祭の準備も着々と進む
そしてピアノの練習も
「下手くそー!なんで楽譜通りに弾かないんだよ!」
「かかか、感性だよ!」
「お前の感性が本家超えれるわけねーだろ!
ほら、8小節から」
紅衣のピアノ指導は厳しい…けど
「ピアノってたのしいね!」
「当たり前だ!楽しんでからがピアノなんだから」
文化祭の準備が1番楽しいまである!
だから当日、私が1番楽しくなれるって思ってる
楽しみだ!本当に楽しみだ!
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