7小節…モノクロの始まり2-2


お風呂を出て岩盤浴用の服に着替える

休憩所に行くと


きゅ〜ちゃん

「こばしり達はもういるのかな?」


のんちゃん

「向こうに居るよ」


のんちゃんは遠くの方を指さす


きゅ〜ちゃん

「おー!いたー!おーーーい!」


きゅ〜ちゃんは2人の元に入っていく


【ドーン!】


きゅ〜ちゃんはこばしり君に突撃した


こばしり君

「いてーな!ぶち殺すぞ!」


きゅ〜ちゃん

「まあまあ!何の漫画読んでんの?」


こばしり君

「サンピースだよ」


きゅ〜ちゃん

「おー!!今すっごい流行ってるよね!!」


きゅ〜ちゃんはこばしり君と楽しそうに話してる

そんな姿を見るとなかなか間に入れない気がする


紅衣

「ふーん」


こばしり君

「あ、松谷と鬼頭ここ座るか?

俺岩盤浴してくるわ」


紅衣

「それを言うならあたしも行くぞ」


こばしり君

「お前、岩盤浴とかも好きなのか?」


紅衣

「猫とピアノとサウナの次に好きだ」


こばしり君

「そこまでは聞いてねーよ」


きゅ〜ちゃん

「じゃあ!私もー!」


マイク

「それにしてもふーかちゃん、ひとつ聞いていい?」


「ん?」


マイク

「岩盤浴用の服の下ってノーブラなの!?」


「えぇ…ええー!!!」ニャオン


【ボコー!グキー!ボギー!!】


紅衣

「てめぇふーかに変なこと言ったら骨の髄までボロボロにするからな?」バウッ!!


マイク

「カルシウム取らなきゃな!」


4人は岩盤浴に行った


のんちゃんと2人きりになる

そそそそ!そういえばのんちゃんと2人きりって初めてだ!

緊張がストレット状態だよ!


ストレット=緊迫


「ふーかは岩盤浴行かないの?」


のんちゃんから話しかけてくれた


「う、うん!なんかのぼせちゃって」


「わかる〜サウナで頭がポカポカだよね」


私とのんちゃんは休憩所の椅子に座る


「のんちゃんときゅ〜ちゃんは幼なじみだっけ?」


「うん、家も2分くらいで行ける距離だよ」


「すご!通りで仲良しなわけだね」


きゅ〜ちゃんとのんちゃんを見てると本当に仲良いんだなーって思う

常に隣に居て、いつでもどこでもついてきてくれる

そんな2人の仲は切っても切れないんだろうなって


「きゅ〜ちゃんもあんな性格だから友達多そうだよね〜」


私は何気なく聞いてみると


「玖はね、あんな性格だから上手くいかないことも多かったんだよ?」


「え!?そうなの!?」


私は驚いた

だってきゅ〜ちゃんはいつもみんなの中心にいるし


「小学生の頃はあの性格でクラスの人気者だったんだよ

……ただ、中学生になるとあの強引な性格が自己中とか自分勝手っていう風に捉える人も多くてね

そうじゃないんだけどなーって私は思ってるから一緒に居るんだけどね」


「自己中かー私もそうは思わないけどなー」


それでもきゅ〜ちゃんは明るくていい子だと思う


「あながち、自己中なのは間違えじゃないけどね」


「……え?」


のんちゃんは神妙な面持ちで言う


「あの強引な性格は鬱陶しいって思ってる人も少なくないよきっと

ふーかもわかると思うけど、この中で玖を鬱陶しいって思ってる人はいるよ」


「………まさか、こばしり君?」


「そう」


「………………」


仲良はそうに見えたけど、そうじゃなかったんだ

私は人付き合いとかあんまりしたことなかったから気付かなかったのかもしれない

そういえばこばしり君はいつもきゅ〜ちゃんを突き放してるような気がする


「まあ、その話は私からすることじゃないから何も言わないでおくね」


「うん、そうだね」


そんなことを2人で話していた

表じゃなかなか見えない事もあるんだなー


しばらくすると


「うんうん、わかるぞ!ギターもいいよな!」


紅衣がこばしり君と肩を組んでいた

4人とも汗をかいてる

すごいなーまだ汗かけるなんて


「だろ!かっこよくねーか?」


ウキウキしながらこばしり君も話していた


「あたしギターも弾けるから今度教えてあげるよ」


「まじか!!さすがドイツ育ちだな!」


紅衣はなんだかんだでコミュ力高いもんなー


「んじゃあ!こばしり!私がその横で応援してあげるよ!

ファイ!オー!ファイ!オー!」


きゅ〜ちゃんがこばしり君の両肩を持って一緒に走っていく

それは紅衣が組んでた肩を引き離してるようにも思えた


「お前はなんなんだよ、ついてくんな」


「何ってー私が誘ったんだから私の好きにさせてよ」


「いちいちうるせーんだよ

あー天地!マイク!あっち行くぞ」


「え、え!?私!?」


マイク

「はあーこばしりも大変だねー」


私はこばしり君に引っ張られてマイクと一緒にパソコンが使える部屋に入る


「はあーなんか疲れんだよな」


こばしり君はため息を吐きながら愚痴もこぼす


「まあまあ、きゅ〜ちゃんもさ、好かれようと頑張ってんだって」


マイクがそれを宥めようとする


「好かれようと思ってあの行動なら俺は幻滅だわ」


こばしり君は言った


「幻滅なんて言い過ぎだよ」


私はこばしり君の話を遮る


「あ?何がだよ」


「ひ、ひいいい!!」


こばしり君の睨みに私はビビる

…でも、きゅ〜ちゃんは頑張ってるんだ


「きゅ〜ちゃんの気持ちも考えてあげてよ

こばしり君ともっと仲良くなりたいんだよ」


「……お前、処女か?」


「………っ!!!」


マイク

「こばしり、それは言い過ぎだ」


こばしり君

「けっ!!」


そうだよ、私にはわからないよ

人に好かれることも、人を好きになることも

でも、その努力は否定しちゃダメだよ


「きゅ〜ちゃんと向き合ってみてよ

きっと何か変わるよ」


「おめーに何がわかんだよ!

何の事情も知らないで勝手なこと言ってんじゃねー!」


「だって!このままじゃきゅ〜ちゃん可愛そうじゃん!」


「そういう問題じゃねーよ!

俺の気持ちも考えてから言え!」


「こばしり君の気持ちって...何?」


【ガチャ】


ゆっくり私たちが入ってた部屋のドアが開く

中に入ってきたのは


「こばしりー!何してんのー?

向こう行って話そ?」


きゅ〜ちゃんだった

こんな健気なきゅ〜ちゃんを見てるのは私も少し辛かった


「お前な!誘ってくれたのはいいけど

俺にばっかついてくんなって言ってんだろ?

お前は俺のなんなんだよ!」


こばしり君は当たりをいつもより強めに言った

そんなこばしり君を見てきゅ〜ちゃんは


「いつも言ってるでしょ?

こばしりの事、好きなんだから」


「…………え!!!」


こここここ、告白した!?!?!?

きゅ〜ちゃんの急な告白に私は動揺を隠せない

それでもきゅ〜ちゃんは堂々としていた

きゅ〜ちゃんから何かが始まるけど

モノクロの始まりはここからだった

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