6小節…モノクロの何
6小節…モノクロの何
高校入学から1ヶ月が経った頃
「えー!2人は美容師さんになるの!?」
私はきゅ〜ちゃんとのんちゃんに言った
「そう!かっこいいじゃんか!」
きゅ〜ちゃんは腕を大きく広げる
「のんの家族が美容師でさ
のんの家なんだけどかっこいいっていうかさ」
「のんちゃんも親御さんのお仕事継ぐんだね!」
のんちゃんに聞くと
「女の子を可愛くしたいから…はぁはぁ」
なんか怪しいオーラを纏ってた
のんちゃんは相変わらずだしね
「おーい!こばしりー!あんたも髪セットしてあげよっか?」
きゅ〜ちゃんはこばしり君の元に駆け寄る
「俺に近づくな!ぶち殺すぞ!」
「硬いこと言わないで〜ほらほらー」
そんな2人を見て
「仲良いね、2人とも」
私がのんちゃんに聞く
「うん、あの二人は中学の頃もあんな感じだったんだよ」
「そっか〜」
そしてこのタイミングで来るだろうなと思ってたことがある
紅衣
「2人付き合ってんのか?」
ノンデリカシー!紅衣!!!
聞かないでおいたのにほんと紅衣は何でも言っちゃうんだから!
のんちゃんは答える
「付き合ってないよ」
「そ、そうなんだ〜!」
「早く付き合え!イライラする!」
「ノンデリカシー!!」
紅衣ったら!
そしてある日の日曜日
私はピアノの楽譜を買いに楽器屋さんに行った
沢山の楽譜が並んでてここはパラダイスである
音符や記号を見るだけで心が踊ってしまう
はあ〜幸せマックス!ニヤニヤが止まりません!
「何1人で笑ってんだ?」
「ひゃあああああああああーーー!!!!!!」
後ろから声が聞こえた
ここここ、この声は…
「ここここ、こばしり君?」
「よう、何脅えてんだよ、ぶち殺すぞ?」
なんで楽器屋さんにこばしり君がいるのー!?
まままま、まさかピアノ!?
「ななな、なんでここに!?」
「ギターだよ、買おうかなって思って」
「ギターか」
さすがに男の子はピアノ弾かないか
「お前は何してんだよ?」
「が、楽譜を!見に来ました!」
「楽譜?ピアノのか?お前弾けんの?」
「ひ、弾けるよ!下手だけど」
私はお試しで弾けるピアノで少し曲を弾いた
どう!?一応弾けるんだよ!
「おー!!こんな冴えないやつでもピアノ弾けるならギター余裕かもな!」
「ははっ」イラッ
私がどんだけ努力を重ねたことか!!
確かに私は冴えないけどね!ピアノが好きだけでここまでやってこれたの!
むむむ!ちょっとムカついてきた!
「こばしり君、あそこでもギター弾けるみたいだから試しに弾いてみない!?」
「おう、いいぞ」
ギターの所へ行く
「コードはここ押えて、ここ押えてこうだって」
【ジャーン!!】
私は弾けた!普段ピアノで指の動き慣れてるからね!
音楽は一筋縄ではいかないよ!!
「じゃあこばしり君やってみて」
【ジャーン!!ジャカジャカジャガ!
ジャーン!!ジャッジャッジャジャーン!】
め、めちゃくちゃ上手くね??
「ううう、上手いね!れれれ、練習したの?」
「触ったことない」
【ボカーン!!!】
私は頭が爆発した
なんで!!ギター触ったことの無い人がこんなに上手に弾けるわけないよね!?
「おもしれーな、ギター」
「…………」
楽しそうにギターを弾くこばしり君
こんな顔するんだ
音楽が好きな人に悪い人はいないと思ってる
だから、こばしり君は悪い人じゃないように見える
「何見てんだよ、ぶち殺すぞ?クソガキ」
「前言撤回です」
口が悪いなー全く
紅衣といいこばしり君といい
「お前はなんでピアノやってんだ?」
こばしり君が聞く
私がピアノを弾く理由…
「お父さんがピアノ弾いてたのもあるんだけどね
小学生の頃、近所の家でピアノの音が聞こえたの」
「ほう」
「そのピアノは本当に聞いててすごくてね
踊るように、羽ばたくように音が動いて見えたの!
多分プロのピアニストさんじゃないかな?
あんなに心が揺れるピアノは聞いた事ないよ」
「お前、意外とまともなんだな」
「意外ってなに!?」
失礼な人だね
「まあ、俺はお前みたいにバカ丸出しでも
好きな事に真っ直ぐになってるやつ嫌いじゃねーぞ」
「………」ドキッ
嫌いじゃ…ない?
男の人というと岡田先輩を思い出すけど
こばしり君は口が悪い中でもちょっと優しさを感じた
なんだろう、この感情
「じゃあな、冴えないお前でも、好きだけで上手くなれるの教えてくれてありがとな!」
「どどど!どういたしました!!」
なんで緊張してんの!?
こばしり君は楽器屋さんを出ていく
ギター買うのかな?
ピアノとギターのセッションとかもあるし
………え!?何考えてんだろ!
おかしいおかしい!こんなのおかしい!
帰ってピアノ弾かないと!!
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