4小節…モノクロの高校2-2


そして入学式も終わり下校時間となった


「紅衣ー!一緒に帰ろー!」


私はすぐに紅衣を呼んだ

紅衣はゆっくりと振り向いて


「バウッ!!」


「なんで!?」


吠えていた

なんで!?吠えられる場面あった!?


「あたしはこの後バイトの面接なんだ」


「行動力アレグロ!!」


アレグロ=快速に


紅衣は颯爽とどこかに行ってしまった

さて、1人になったし

私もアレグロで帰る!!

きゃああああ!!さっきまで可愛い金髪ハーフ美少女といた地味な女が急に1人になったらどんなこと言われるか!!


『あの子…さっき居た金髪の友達?

やっぱ地味単品だと華がないなー』


ああああああーー!!!目に見えてるー!!!

私の心はピアニッシモー!!!


ピアニッシモ=とても弱く


私は廊下を走って帰ると


【ガンッ!!】


「あ!!」


や、やばい…人とぶつかっちゃった……

私はぶつかった勢いで倒れる


「ごごごごご、ごめんなさい!!」


私はこれでもかと言うくらい必死に謝った

どどどど、どうしよ!慰謝料請求とかされたら!!

しかも!ぶつかった相手は……男の人ー!!

どうしよう!どうしよう!紅衣!助けてー!

男の人……怖いよ


「あははっ大丈夫?」


「……え?」


その男の人は笑っていた

あ、案外優しい人なの?


「手、貸そうか?」


男の人は私に手を差し伸べた


「えええええ!!いいです!大丈夫です!」


「遠慮すんなって」


【ガシッ!】


私の手を勢いよく掴んだ

こ、怖い…あの日のトラウマが…蘇る…


『嘘に決まってるだろ!』


『お前のピアノ弾くところなんか誰も見てねーんだよ!』


岡田先輩を思い出す

あの時みたいな乱暴はされないとわかってても

ちょっと怖かったけど…


「立って」


ぶつかった男の人はまた優しく言った


「……ありがとうございます」


手を掴んだまま私は立ち上がる

優しい人だ…

こんなに優しい人いるんだね

そう思った時だった

男の人は私の手を掴んで離さない


「…あのー」


離してくださいまでは言えない!!

言ったら殺されそうで……


「君さ」ニコニコッ


優しい笑顔で彼はこう言った


「ぶち殺すぞ」ニコニコッ


「…………ひぃ!!!」


私は一気に恐怖に落ちた


「廊下は走らないって小学生の時習わなかったのか??

俺が怪我してイケメンに傷がついたらどうしてくれんだクソアマ!!」


「ぎゃあああああ!!!助けてええ!!!」


私が助けを呼んだ時だった


【ゲシッ!!】


「いたああー!!!」


男の人は急に悶えた

な、なに!?どうしたの!?


「こら!こばしり!女の子怖がらせないの!」


1人の女の子が居た

……この子は

さっき前髪切ってた子だ!

見た感じ男の人に蹴り入れてた


「いってえな!!何すんだよ!ぶち殺すぞ!」


「あんたが脅すようなことするからでしょ!」


「こいつがぶつかってきたんだよ!

俺は悪くねー!」


「悪くなくても脅すな!」


あああああ、なんか揉めてるー!!

私のせいだ私がぶつかったからだ!

どうしよう!どうしよう!


【ガバッ】


「……へ?」


突然私の背後から誰かが抱きついてきた


「心…洗われたい?」


「ぎぃぃぃぃやあああああああああ!!!!!」


「あんたも脅かすなー!!」


もももも、もう、何が何だか……


【1人の冬華__撃沈!!】


「状況を説明するね」


男の人を蹴った女の子が説明してくれるらしい


「ふーかちゃんがぶつかったこの男は小橋凛太郎【こばしりんたろう】

通称こばしり、変態男」


「誰が変態だよ!ぶち殺すぞ!」


こ、こばしり…なるほど


「ふーかちゃんが後ろから抱きつかれたこの女は松谷乃々華【まつやののか】

通称のん、ドS」


「ふーかちゃん柔らかい♡」


のんちゃん…なるほど


「そして!ふーかちゃんを助けたちょーSきゅ〜美少女!その名も!!井ノ原玖【いのはらきゅう】

きゅ〜って呼んで♪」


きゅ〜ちゃん…な、なるほ……


「疲れた…帰りたい」


「自己紹介で疲れるとか超ドきゅ〜!」


紅衣じゃない人が3人も居る…

なんか疲れた…

疲れた……けど

……今は亡き紅衣…見てますか?

私…紅衣以外の人と喋ってるよ!!!

あー!!嬉しいような!楽しいような!


「ハーレルヤ!ハレルヤ!ハレルヤ!」


「何歌ってんだ?気持ちわりぃ」


相変らずこばしり君は紅衣に負けず劣らず口が悪いけど

明日から、紅衣じゃない人と話せることになるかも!?

そうなったら私の人生クレッシェンド!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る