3小節…モノクロの未来

3小節…モノクロの未来



あれから月日が経つ


「え!?紅衣って日本とドイツのハーフなの!?」


「いや、見りゃわかんだろ」


は、初耳


「わかんないよ!今まで紅衣のこと金髪ギャルだと思ってたんだから!」


「誰が金髪ギャルだよ!!」バウッ!!


「その金髪は地毛?」


「んまあ一応ね」


「そう考えるとかっこいい!」ニャオーン


「金髪のイメージ、アレグロ並に変わるな」


アレグロ=快速に


紅衣の知らない事が沢山知れる


「元々あたしドイツに居て、日本に帰ってきたから転校してきたんだぞ」


「え!かっこいい!」


「かっこいいしか言わないなお前」


「何歳からドイツに居たの?」


「小3くらいかな?」


「かっこいい!」


「おい」


小3かー私がピアノを始めたのも小3だったなー

紅衣はその頃からもっと努力を重ねてきたんだろうなー


そしてこの日が訪れる


【ピーンポーン】


私の家のインターホンが鳴る


「ちゃっすー、紅衣?」


『ち、ちゃっす、ほんとにここであってるの?』


「あってるよー今開けるから待ってて」


私は部屋から15メートル先の玄関に行く

玄関の扉を開けると


「ななな、なにこの家!」


驚いてる紅衣の姿があった

今日は紅衣が私の家に遊びに来る日だった


「何って私の家だってば」


「広すぎでしょ…逆に緊張するわ」キュゥーン


「なんで?」


「あんたとんでもないお金持ちの家なのね」


「あはは、らしいね」


私の家は12LDKもある

お父さんはお仕事で居ないからお母さんと妹と私とで住むのに余りすぎてるくらい

その代わりに防音室もあってピアノを弾いても音が外に漏れないようになってる部屋もある


「入って」


「お邪魔します」


紅衣が私の家に入る

友達が家に来るのなんてもちろん初めて

私のテンションも爆上がり!


「ワン!ワン!ワン!ワン!」ペロペロペロ


「うわ!犬!?犬もでか!」


私の飼い犬のテンポもお客さんにテンション爆上がりしてる!

そうだよね、嬉しいよね!私もテンション右肩上がりのクレッシェンド!


クレッシェンド=段々強く


リビングに行くと


「いらっしゃーい」


お母さんが紅衣を迎える

テーブルにはケーキやらタンドリーチキンやら料理がいっぱい並んでる

そう!今日は!!


「メリークリスマス!」


クリスマスです!

クリスマスは家族と過ごしていたけど

今日、紅衣とクリスマスを一緒に過ごす


「紅衣、ケーキ食べてー」ニャオーン


「食べる!!」バウッ!!


紅衣はケーキを一口で食べてた


【♪〜♪〜〜♪〜♪】


ピアノソングも沢山弾いた

紅衣だからこんなに楽しかったんだって思えた


「ねえ、ふーか、あたしやりたいことあるんだ」


「なに?」


「来年の文化祭でピアノ演奏会やろう!」


「……え?」


「2人で!!」


ピアノ演奏会……

……えええー!!!

無理無理!!そんなの無理!

ピアノを人前で弾くなんて無理ー!!

合唱コンクールの時は何ともなかったけど……


『お前がピアノ弾くところなんて誰も見てねーんだよ!』


やっぱ怖いのかな……


「無理です」


学校の先生に言われる

今は学校に居て紅衣が職員室で先生に文化祭でピアノ演奏会を出来るかどうかを聞いていた


「あ、あはは!ほらね!無理だって言ったでしょ!」


「なに嬉しそうなんだよぼけ!」


紅衣に頭をチョップされる


「演奏会とかはやっぱ出来ないんですか?」


紅衣が先生に聞くと


「中学の文化祭だと規模が小さいの

それと体育館はフリーマーケットを開くから使えないのよ」


「けっ!カスみたいな文化祭め!」バウッ!!


「口悪いよ紅衣…」ニャオーン


無理なら無理でしょうがない

私は文化祭で演奏する気はなかったけど!

やるなら紅衣だけ!

私は紅衣のピアノ聞くだけで幸せだから〜〜


【ゴスッ!】


「いて!!」


「なんかムカつく顔してたから」


まあ受験もあるしね〜


「ふーか、あたしと同じ高校受けろ」


「………え!!?」


同じ高校?

同じ高校って

同じ高校ってことーー!?


「く、紅衣!ドイツ居たんでしょ!?

日本の勉強追いついてないでしょ!」


ドイツと日本の勉強違うからね!

私と同じレベルまで到達するのなんて夢のまた夢!

それはエアガンとサブマシンガンくらい違うから!


「ん!」


紅衣はテストを見せてきた

国語89点

数学82点

社会85点

理科79点

英語96点


「参りました!!」


私は紅衣に全力で頭を下げた

私のテスト

国語38点

数学40点

社会42点

理科46点

英語30点


なんで紅衣はこんなにピアノ以外も出来るのー!!!

悔しいような、敵わないと思ってしまうような


そして4月


高校の制服を着た私は朝からピアノを弾く


【♪〜〜♪〜♪〜♪〜】


シューベルトの白鳥の歌

春にはぴったりの曲を弾いて私は思い浮かべた

自分の未来を、輝かしい未来を


「ふーかー紅衣ちゃん来てるよ」


「え!ほ、ほんと!?」


私は急いで家を出る

そうだ、新しい1日をまた1歩


「よっしゃー!行くぞー!ふーか!」


「うわあー!ちょ!危ないよ!」


紅衣と一緒に新しい1歩を!

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