第二編 正義か否か
第一章 戦闘準備
騎士団が帰投しようとしていた頃、早馬より得た情報を元に私は敵の戦略を真似ようと私直轄の騎士団、強いていうならば敵地潜入を前提とした特殊部隊のようなものを編成すべく人選に頭を抱えていた。
「……ふむ。やはり戦歴を見てみてもどれだけ小規模なものでも局地戦くらいのようだな」
「はい、我が国の強みは斥候の情報収集能力にありますからね。そのため小規模行軍中の遭遇戦は極めて少ないのです」
メイドのクミンが答える。
「ふむ。しかし直近の戦闘では勝率はあまり良くないようだが?」
「はい、戦局の急激な変化により展開がうまくいっていないようです」
「つまり、今我が戦線は正に筒抜けの状態だというわけか」
「はい。既に帝国の密偵と思われる者も目撃されています」
「ほう、早いな。攻めか、守りか。どちらでも対応できるようにしておかねばな」
「なるほど、それは結構な痛手ね」
応接室に詰める、女帝たる私と側近のクーリー。外ではカラスが群れをなして飛んでいるのか、鳴き声がうるさく響く。
「はい。それにしても彼を瀕死になりながらも負かせるとは、一体何者なのでしょうか」
「さあね。まだ情報が錯綜していて、こちらでも何処かのお坊ちゃんだったってことくらいしか掴めていないのよ」
「そうでありますか。国立の諜報部をもってしても掴めぬとは……」
「その様子だと、本当にそちらでも何も掴めていないようね」
「はい。なんせこちらは数は多くとも所詮烏合の衆ですからな。なかなか当てになりますまい」
「まあ、そうね。ではまた、お互いに何かを掴めたらね」
「はい」
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