私の好きな男性は私の姉が好き。

神石水亞宮類

第1話 私の好きな男性は私の姉が好き。



私の好きな男性は私の姉の事が好きだ!

ずっと前から知っている。

私と彼と姉は、子供の時からずっと仲が良い。

幼馴染だから。

でも姉はそんな彼の気持ちを知らない!

彼が一途にずっと姉の事を好きな事を全く知らないのだ。

そんな彼を私は見ているのが辛くなる。

私じゃない女性を好きな彼。

しかも? “私の実の姉”

他の女性なら、少し感情に変化があったかもしれない。

でも姉だと憎むにも憎めない。

姉は私にとって、【大切な姉】

何でも相談できる姉。

ただ一つ相談できないでいるのは【彼】の事だけ。

彼を私は心から愛している。

そんな私の気持に気づかせてくれたのも姉だった。

姉はいつだって、“私の人生のお手本”で。

何をやっても姉には勝てない私。




・・・彼の事でさえ私は姉に勝てない。










でも? そんな姉が結婚した。

結婚式には、私も彼も呼ばれている。



『お姉ちゃん! 凄くウエディングドレス似合ってるよ。』

『ありがとう藺生ちゃん。』

『おめでとう美生。』

『ありがとう大智!』

『“ふたりはいつ結婚するの?”』

『えぇ!?』

『何言ってんだよ、ねえ? 藺生ちゃん。』

『・・・う、うん。』




私と彼が結婚できる訳がない!

だって! 彼が好きなのはお姉ちゃんなんだから!

お姉ちゃんは何を考えてあんな事を言ったのか?

お姉ちゃんと結婚した男性は、お姉ちゃんと一度もデートを

した事がない男性だった。

いきなり彼から結婚してほしいと言われて結婚したらしい。

私には絶対にできない事だと思った。

0日で結婚なんて! 相手の事も分からず結婚したようなものだ!

直感的にお互いとも、ビビッときたらしい。

それにしても、もう少し考えて結婚を決めてもよかったんじゃないかと

私は思っている。

“スピード離婚”とかにならなければいいのだけど......。

姉は昔から、突拍子がないところがある!

勢いというか? 勘で何でもやってしまいがち。

危なっかしい姉をいつも心配していた彼の顔をたまに思い出す。

彼はいつだって姉を見ていた。

私はそんな彼を見ていただけ。






・・・でも姉が結婚して随分経った時、彼から私に連絡があった。

きっと姉の事で私に話したい事があるんだと思った。

彼はどんな時も姉の事しか見ていないから。

何度私だけを見てほしいと想っても願いは叶わなかった。



『ごめんね、急に呼び出したりなんかして。』

『別にいいよ、どうせ! “お姉ちゃんの事なんでしょ?”』

『いや? “今日は藺生ちゃんに話があるんだ”』

『・・・えぇ!? 私に!?』

『うん!』





そこから彼が私に何を話したかあまり記憶に残っていない。

だって! 彼が私の事が好きとか言ったような気がしているのだけど?

それも夢なのかもしれない。

結婚とか? なんとか、、、付き合ってほしいとか、どういう事!?

本当にこれは現実に起きている事なのか!?

夢じゃないよね?

彼は私に向かって話してるよね?



『僕と結婚前提に付き合ってくれないかな?』

『えぇ!? あ、はい!』

『よ、良かった。』

『・・・・・・』



私の頭の中は既に真っ白になっている。




・・・だけど? 確実に私と彼は付き合いたいと言ってくれた。

しかも!? 【結婚前提だと!?】

これは夢じゃないよね?

夢なら冷めないで! 私は彼を愛している。

私こそ! 彼と結婚したい!

やっと私の夢が叶ったわ。

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私の好きな男性は私の姉が好き。 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

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