医務室
医務室で目を覚ましたロイは、隣のベッドで土足のまま寝そべるアリスを見た。
「やっと起きた」
上体を起こしたアリスはそう言うと、不機嫌なしかめ面をした。
「どーなってんのこの状況。こっちでも噂になってたよ。まさかあの教師が失踪だなんてね。しかも転校生まで来たんだって? チャーリーがコーフンしてた」
アリスは、チャーリーにはさほど興味を示さないかのように自分の髪をクルクルといじり始めた。
「そう」
チッと舌打ちをしたアリスは、自身も仮病を使った患者のように再び寝そべった。
「あんた、わたしに隠し事してない?」
「……」
アリスに問い詰められると、ロイは面倒くさそうに口を開いた。
「例の拷問一族は、チャーリーの父親とは親交がないのかもしれない」
「だから何?」
アリスはいよいよ怪訝な顔になり、ロイを睨みつけた。
「例の転校生、確かカレン・アシュリー。変わった名前だった」
そのような家名はチャーリーが迂闊にも持ってきていたあのリストの中には書かれていなかった。
「ふーん。はずれだったんだね」
アリスは鼻を鳴らして笑った。
「アシュリー家って、軍人一家のはずなんじゃないの?そうじゃないとあんたがわたしにチャーリーと連絡取らせた意味がわからない」
「そうだよ。それで合ってる」
アリスは再び舌打ちすると、続けた。
「まだなんかあるでしょ? 本当にまずいのは教師のほうじゃないの?」
ロイはそっと目を閉じた。
「僕が密告したんだ。警察に。匿名で」
「はぁっ?!」
アリスは呆れ返った。
「やっぱり嘘ついてたんだな」
「もう一発殴る?」
「いや……いい」
「僕はカレンを追ってみるよ。アリスはご自由にどうぞ」
そう言ってロイは、そそくさと医務室を去ってしまった。
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