第什漆話 警部補益田絢子
益田絢子警部補は、父親である
父親は所轄の刑事部で巡査部長だった。優秀な実績を持つも謙虚さが勝り、昇進を望まず現場主義の人間だった。残念な事に、若くして凶悪な殺人犯の逮捕時に殉職してしまった。
犯人の手首と自分の手首に手錠をかけ、他の捜査員に応援の連絡を取った時、刃渡り六センチのナイフで胸部と腹部を数一〇回刺され意識を失った。
その後、犯人が益田巡査部長の手首を切断しようとしてる時、応援に来た数名の警察官が犯人を取り押さえ、手首の切断を免れた。
その時に益田巡査部長と組んで捜査をすることが多かった、相棒的存在である本庁の横井警部補も駆け付けていた。
横井は犯人を自分の拳が折れるまで、顔が変形するまで、意識がなくなるまで、殴り続けた。バキバキ音を立てていた。
これは、紛れもなく、怒りの感情が噴出した過剰攻撃であった。その後の横井警部補の逮捕時の行為が問題となり、半年間の謹慎処分を課せられることになった。
凄まじい逮捕劇の後、益田巡査部長と犯人の男は共に救急搬送された。
益田巡査部長のみ出血多量で死亡した。絢子が二一歳、大学三年生の時だった。
絢子は、父親の仕事振りは尊敬していた。事件の捜査が始まると、自分よりも歳下ながら、階級が上で捜査一課の横井定幸警部補と協力し合っていた。時々横井が家に来て晩酌を共にした。それを見る絢子の目には、二人が名コンビに映った。
しかしながら、時折、傷を負って帰宅する父親を心配せざるを得なかった。致命的な負傷を負って欲しくなかった。それは、献身的な妻であり母親の
しかし、その心配はただ自分を不安にするだけで、有ってはならない事態を迎えたのだ。
「奥さん、お嬢さん、益田巡査部長は殉職されました、犯人逮捕時に」
予測しないタイミングで横井警部補が益田の自宅に訪れた。両手に包帯を巻いて、大粒で大量の涙を目から鼻から流してた。
「ご、ご主人様を迎えに行きましょう、ご準備願います」
横井の隣りに立つ制服警官が絢子と橙子にそういい、深々とお辞儀し、涙を地面にぽとぽと垂らし、その姿勢を取り続けた。
「はい、ご苦労様です、わざわざ私たちを迎えに来て下さってありがとうございます、少しお待ち下さい」
橙子は、横井達と違い、凛とした姿勢で、覚悟が出来てたかのようにそう言うと、私の手を取り奥に入った。
「絢子、頑張ったお父さん、迎えに行こう、着替えるね、あなたも恥ずかしくない格好に着替えるのよ」
橙子は、絢子に目を合わせられなかった。
「うん、分かった」
絢子は震える唇を、声まで震えないように力の入った小さめの声で答えた。怖さに押し潰されそうだった。
病院に到着し、霊安室に入ると、益田紘明は顔に白い布を被されていた。その布を開き顔を見ると、穏やか表情をしてた。
絢子は泣き崩れた。少し遅れて橙子が泣を流した。何の言葉も発しない。ただただ、涙を流すばかりだった。
「この人は、犯人を逮捕して、手錠をかけて安心したのよ、きっと、最後まで仕事を真っ当できたのね、お疲れ様でした、絢子、誇りを持って、お父さんを連れて帰るよ、涙は拭きなさい」
橙子は翔子に発破をかけた。
「ありがとうございました」
傍に居た横井警部補はそういい、制服警官と共に、再び深く一礼した。
「奥様、急な事、たいへんお悔やみ申し上げます、葬儀社の滝元と申します、この後は、ご自宅で、お通夜されますか、それとも弊社の施設をお使いされますか」
優しく穏やかに聞いてきた。
「はい、自宅で」
橙子に迷いはなかった。
霊柩車で益田紘明の棺は自宅へ運ばれ、絢子と橙子は葬儀社の滝元の車で後を走った。
自宅に着くと、葬儀社の社員達がお通夜の準備をし始めた。
程なくして、紘明の勤務する警察署の署長が駆け付けた。
「奥様、お嬢様、益田巡査部長の活躍で今回の事件は解決出来ました、しかしながら、非常に残念でなりません、また、お二人には、とても申し訳なく思っております、すみませんでした、私は、いわゆる、キャリア組でありまして、益田巡査部長には、刑事という仕事を沢山学ばせて頂きました、心から感謝致しております、突然な事ではありましたが、お二人は深くお悲しみかと存じますが、私達は、益田紘明巡査部長の思いを継いで日々精進して参ります、誠に、ご愁傷様です」
涙のスジを何本も頬に流していて、署長は紘明への感謝の意を示した。
絢子は、改めて、父親の偉大さを痛感した。そして、自分自身は被害者のみならず、その家族、友人等まで心傷を負わすような犯罪の予防、早期解決を念頭に置いた警察官になることを誓った。
時な流れ、絢子が警視庁捜査一課に勤務し始めた数年後、ある男女の死体が古びたアパートの一室で発見された。その現場の見た目は、男が自殺し、女が後追い自殺をしたような現場であった。
「定さん、凄い自殺の仕方ね、男の方」
絢子はこれまでに経験のない修羅場を目にしたように感じた。
「何だか、わざわざこんな手の込んだロープの使い方しなくてもいいのにな」
それは、外開きの勝手口のドアノブにロープを巻きつけ固定し、一メートル半程そこから離れた場所にある洋服箪笥、高さ一二〇センチ、横幅九五センチ、奥行き四〇センチのサイズの箪笥にそのロープを上から回して、勝手口とは反対側の箪笥の側面に背中を付けて首を吊っていた。
「この女も勇気あるよ、自分でしっかり頸動脈をナイフで切ってるよ」
横井警部補は二人の遺体を目を丸くして観察した。。
「不自然な感じはするけど、よっぽど男の死にショックを受けたのかしら」
絢子は横井警部補の見立てに従った。
捜査を進めていくと、男の死亡推定時刻が昨夜の二〇時から二三時の間で、女はその日の一〇から一三時の間だったことが分かった。
そして、男の死亡した時間帯には、これといった目撃証言はなかったが、一五時頃にその男が小学校低学年くらいの男の子と手を繋いで部屋に入って行った目撃証言はあった。
また、今朝は九時頃に、女が小学校低学年くらいの昨日とは別の男の子を連れて、部屋に入って行き、数分後に直ぐにその子と一緒に出て来たが、再び部屋に入って行った。二、三分後には女が連れてきた男の子が独りで部屋から出て行ったとの目撃証言が、その二人の遺体が発見された部屋の真向かいにあるアパートの住民からあった。
その男女は、運転免許証を持っていたため、身元は直ぐに分かった。そして、夫婦関係ではないこと。女には会社員の夫と中学生、小学生の二人の息子がいること。自宅の所在地が直ぐに分かった。
すなわち、二人は不倫関係だった可能性があり、男の遺書はなかったものの、自殺し、その亡骸を見た女が後追い自殺したと、推測された。それぞれの遺体には、争った形跡は微塵もなかった。
よって、先ずは、女の夫に、女が死亡した事を報告しつつ、事情を聞きに向かった。
自宅へ電話を入れたが誰もいなかった。そこに着くと、テレビの前で、男の子が独りポツンと座ってた。
夫の会社に連絡を取り、署に来てもらい身元確認をさせる事にした。
「妻です、こいつまだこの男と浮気してたんですね、罰当りだ」
死亡した女、正田久美子の夫、大輔は涙すら流さなかった。
「不倫関係にあったんですね、いつ頃からですか」
横井警部補が大輔に聞いた。
「もう一〇年以上も前ですよ、そして、子供ができて、久美子にとっては次男ですね、うちで引き取ったのですが、私には愛情が持てなくて虐待しそうでならなかったから、久美子も嫌になってたみたいで、昨日の朝、その坊主を金山が連れてったんですけどね、その餓鬼は今朝早く戻ってきてたので、久美子にどうにかしろと言いました、私が知る限りのことはこんなもんです」
大輔は冷ややかだった。
「長男の蒼一郎君は、学校をさぼりがちみたいで、次男の睦基君は不登校ですね、二人のご子息の学校に問い合わせたのですが、家庭内も上手く行ってなかったのですか」
絢子が聞いた。
「何でそこまで聞くんですか、私は女房と金山とのことには関わってませんから、あのメス豚は専業主婦だ、それと、俺が養ってやってたんだ、睦基が生まれて、俺とあの女の関係は破綻したんだよ、蒼一郎のために離婚しなかったんだ、子育てをあの女に任すしかないだろうがぁ、俺は外で稼いでるんだぁっ。」
大輔は声を荒げて怒鳴った。
「まぁまぁ、落ち着いて下さい、では、旦那さんは、子供達を無視してた訳ですね、これも虐待になります、そう捉えて構いませんか」
横井警部補は大輔の怒りに影響されて強い口調になってしまった。
「睦基は俺の子じゃないんだ、そりゃ、俺には責任ないだろう、認知もしてねぇよ、金山が認知してたはずだ、蒼一郎はちゃんと話をしたし、小さい頃は遊んでやってたさ、虐待にならねぇだろう、喰わせるために、あの糞餓鬼の分も稼いでたんだよ」
益々大輔は激怒した。
「一応、虐待になります、それと、久美子さんの死因は、頸動脈をナイフで自ら切ったための出血多量でした、しかし、身体中には殴られて出来た内出血が多数ありました、これは生前についた傷と判明してます、これはどういうことですか、家庭内暴力と捉えておかしくないと思うのですが」
絢子は穏やかな口調で話した。
「俺の血を継いでくれてるのは蒼一郎だけだ、俺は真面目に働いてる、蒼一郎のことを考えると、あの女に手を挙げてしまうことだってあるさ、刑事さんたちも俺の立場で考えてみろよ、こんちきしょうぉ」
大輔は冷静になれないでいた。
「はい、しかし、客観的には、これは久美子さんへの暴行と睦基君への虐待があったことになります、正田さん、あなたを罪に問おうなんては考えてはいません、睦基君の今後を考えてるんです、あなたの下にいた方がいいのか、それとも、児童養護施設で生活させた方がいいかを判断したいわけです、私たちは、睦基君を児童相談所に引き渡したいと考えてます、宜しいですか」
絢子は分かりやすく、睦基の将来のためだけを考えて提案した。
「その方がありがてぇや、あの馬鹿女、心中したわけだからな、俺は糞餓鬼を育てようなんて考えられないぜ」
大輔はその提案に安堵を覚えたようだった。
その後、警察署に連れて来てた久美子の次男、睦基に話を聞いた。
「こんにちは、睦基君ですね、正田睦基君ね、私は益田絢子です、聞きたいことがあるの、教えてくれるかしら」
絢子は優しい声で話しだした。
「はい、正田睦基です」
睦基は表情を変えずに答えた。
「宜しくね、おじさんは、横井定幸です」
横井警部補は笑顔を交えた。
「この腕の青痣はどうしたんですか」
絢子は聞いた。
「分かりません」
睦基は無表情のままであるがはっきり答えた。
「他にも痣があるのかしら、身体見ても良いですか」
絢子は心配そうな表情を見せた。
「はい」
睦基は全く表情を変えない。何かが抜け落ちたかのように。
絢子は、睦基のシャツの襟元を引っ張って胸や背中を見た。そして、両手を持ち確かめるように手の甲と掌を見た。シャツの中の皮膚には傷や痣はなかったものの、両手の甲と掌はとも傷だらけだった。
「身体には痣はないですね、でも、両手に傷が沢山有りますけど、これはどうしたんですか」
絢子は睦基の目をしっかり見つめた。
「分かりません」
決して睦基は表情を変えなかった。まるで、ロボットのように。人としての生気を感じられない。
「じゃあ、両腕と両手、写真撮らせてもらえますか」
横井警部補は懸命に優しい表情を作った。
「はい」
横井警部補は数回カメラのシャッターを切った。
「睦基君、何故ここに来たか分かりますか」
絢子は聞いた。
「分かりません」
睦基にこれ以上質問する事が心苦しくなる程、感情を表現できずにいるように絢子は感じた。
「絢ちゃん、相談所の新川さん呼ぼうか」
横井警部補は悲しい表情に変わった。
「そうですね、私、この子と一緒に居ますので、定さん連絡お願いします」
その後は、絢子と睦基の間には会話がなくなった。絢子が『お腹空いてるかな』と、ジュースとお菓子を出しても無反応で、何も手を付けなかった。瞬きも少なく、ただ目を開いてるだけだった。
「正田睦基君ですか、私のところにも以前、学校から相談があった子ですね、一年生の二学期から登校しない事が増えてきたということで、ご両親はほぼ育児放棄で、食事もちゃんとしたものを与えてられなかったと思います、小学三年生にしてはだいぶ小柄ですよね、後、この子のお兄さんの蒼一郎君は素行が悪くて、その子からも虐められてた疑いがありますね、我々は半年に一回くらいしか、この子の安否確認は出来ずで、申し訳ないです」
児童相談所のベテラン相談員の
「以前からそんな事があったんですか、どうでしょう、新川さん養護施設が適してるかと」
絢子はそういい、横井は心中事件の経緯と仮の父親の発言等を新川相談員に説明した。
すると、養護施設へ入所させる方向で進めて行くことが決まった。
これが、一二年後再会し、益田絢子警部補の六人衆となる正田睦基との初めての出会いであった。また、この出会いがきっかけで、『一般社団法人益田防犯研究所』を立ち上げる事になるのだ。
時は経ち、正田睦基との最初の出会いから、更に、三年が過ぎた一五年後、絢子の防犯研究所は大盛況で多忙となった。職員を増員させなければならなかった。
「睦基君、加藤、今度、私達の仲間になってくれる
絢子は、防犯研究所のトレーニングルームで警察官の頃から協力者であった睦基と加藤
「美人三姉妹ですねぇ。益田さん、やるじゃないですか、俺、やる気三倍アップですよ」
加藤はおちゃらけた。
「あなたが睦基君ですか。絢さんから聞いてますよ、六変幻するようですね、強そうだ、今は、丈さんですか、お手柔らかにお願いしますね」
加藤をスルーして姫子が交代していた丈に話しかけた。
「どうも、今は睦基です、僕はそんなに強くないですよ、こちらこそお手柔らかに」
姫子に答えた。
「かなり強いわよ、ムッちゃん、隣りのおじちゃんなんか目じゃないわね」
サキはいった。
「私は歌音さんとレイさんに早くお会いしたいです」
美里は姫子とサキに比べ控えめだった。
「申し訳ない、今は、俺か佐助にしか代われないんだ、歌音やレイと代わる場合は着替えないとさ」
丈に代わった。
「げっ、丈、また腕や脚、太くなったな、でも、俺だって沖縄で修行して来たから、腕は上げたぜ、八卦掌で勝負だ」
加藤は丈の成長にビビりながらも見栄をはった。
「しみーずぅ、あなたは身の程知らずね、でも、
サキは人懐っこさを見せた。
加藤は早速、丈に組手を挑んだ。しかし、丈の強さをその三姉妹に見せたくないと思い、睦基と代わった。
「加藤君、いつでもいいよ」
以前とは違い、加藤の構えは変わってた。
八卦掌は中国武術の一派で、太極拳と形意拳とともに内家拳を代表する武術である。
易経の八卦思想に基づいた技術理論から、拳よりも掌を多く使い、一見、舞踊の動作に見えるのが特徴的である。
また、他にも歩法に特徴があり、敵を中心に追いやり、円を描くような脚捌きで相手の力の流れも利用して攻撃していくといった神秘的な武術である。
したがって、加藤の構えは、掌を開き鳩尾くらいの高さまで腕を広げて、肩を落とし力を抜いて、左脚は膝を曲げ重心を低くし、右脚は膝が伸び、前に置いた状態である。
組手が始まると、加藤は睦基を中心に置こうとするも、睦基はそれを避け、加藤の攻撃を受ける隙を与えなかった。逆に、八卦掌の程派を使い加藤をバッタバッタ投げたのである。
「参りました、睦基、いつの間に、やっぱり、丈のセンスとレイちゃんの戦略なのか」
加藤は、驚きを隠せなかった。
「加藤君が沖縄で修行するっていってたから、一文字さんが沖縄にある中国武術や琉球古武道、沖縄伝統空手の道場やそれぞれの武術の理論的背景、鍛錬方法を全部調べたんだ、本がだせるくらい、あらゆる情報を分かり易く整理してくれた、丈とレイが中心になって研究したんだよ、丁度、本場で学んで来た加藤君と手合わせ出来て良かったよ、僕も勉強になった、ありがとう」
睦基には余裕があった。しかし、謙虚さを示した。
「しょうがねぇか、睦基達を超えられない、ありがたいよ、俺はさぼれないな、少しでも気を抜くと置いてかれそうだ、俺は加藤志水として精進する、ありがとう睦基」
加藤は予想以上に睦基に圧倒され撃沈したが、沖縄で上手く進められた修行に慢心を持たず、日々磨きをかけていくことを思い出した。沖縄で出会った師、
「凄過ぎる。絢さん、私たち、必要なの、睦基君たちがいれば無敵じゃない」
姫子は冷静だった。
「何いってんの、必要よ、睦基はお医者さんだから、ここは副業なのよ」
絢子は即答した。
「ほんとなんだ、お医者さんもしてるんだ」
サキは肩を竦めて、目を輝かせた。
確かに加藤は格闘技の腕を上げていた。実践を積めばもっと強くなる伸び代も蓄えてきた。しかしながら睦基は、六人の人格が、六人の身体を持てるようになって、感覚知覚、運動表出力が更に高まり、判断や予測する能力も向上した。おかしないい方だが、空を飛べないスーパーマンである。加藤が歯が立たないのは当然だ。
「初めまして、歌音です、姫子さん、美里さん、サキさん、宜しくお願いしますね」
着替えてきて、歌音に代わり三姉妹に挨拶をした。
「格好良いです、歌音さん、サキです、テンション上がるぅ」
歌音の腕に抱きつき、サキは身体を密着させた。
「コラコラ、サキ、初対面なんだから、馴れ馴れしいわよ」
美里が注意した。
「大丈夫、気にしないで」
レイに代わっていた。
「わっ、胸、大きくなった、レイさんですか、声が変わったと思ったら、一瞬なんですね」
サキは驚いた。
「いや、一〇秒、二〇秒くらいはかかるわ」
「後は、一文字さんと佐助君だけね、絢さんのいった通り。正直、半信半疑だったけど、人間の身体ってまだまだ解らないことだらけよね、ほんと、パラダイムシフトしなきゃ」
姫子は冷静さ保てないでいた。
こうして、益田絢子は常識を覆えす人材に恵まれ、研究所の運営を発展させることができた。しかし、ここはカモフラージュのための施設で、警察官の頃から睦基と加藤に協力してもらい、警察が手を出しにくい犯罪者を葬る裏稼業が絢子の一番の目的である。それが充実出来る事に喜びと期待を抱いてた。
一方、六人格を持ち、それぞれの人格に合った身体に変化できるようになった正田睦基は、医師と益田、加藤との裏稼業の二足のわらじからのプレッシャーが和らいだことに安堵した。
同時に神路三姉妹の脅威を感じ取っていた。自分達が教えて行く役割りを担わないとならないことを自覚した。
そして、益田絢子の恐ろしさも再認識させられた。
続 次回、第什捌話 神路三姉妹の覚醒
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