第124話 エンチャント
「『
ズバァ!!!
ライデンの攻撃は今までの威力とはまるで違っている。
俺の衝撃波は全て切り飛ばされていく。
なるほど、やはり……ただの強がりではないらしい。
俺も……少しは本気を出す必要がある。
「『
俺は斬撃に魔法を乗せ、奴の攻撃にぶつけた。
この魔法は魔力が無くなるまで形が変わることはない。
ドゴオオオオオン!!!!!!
俺の攻撃と、奴の攻撃が中間地点でぶつかり合い、お互いを殺し合う。
そして、同時に消えた。
「ふふ、おもしろいな……やはりお前は面白い」
俺も同様にテンションが上がり、つい口調が上ずってしまう。
「ああ! お前さんも最高だ! 動かずに戦うなんて遊んでる場合じゃねぇな!」
「全くだ! はぁ!」
「行くぞ! そりゃぁ!」
俺たちは同時に踏み込み、一瞬で切り結ぶ。
ズズン!
俺達が切り結ぶと同時に舞台にヒビが入り、ただでさえ壊れかけの舞台が更に崩れていく。
そして、それを連続で打ち込み合う。
足を手を頭を胴を目をつま先を、あらゆる部分を狙って攻撃をする。
奴も同様に俺のあらゆる個所を狙って攻撃を繰り出す。
しかし、俺達の実力は拮抗しているのか、どちらも傷つけることはできない。
流石にずっと続けているのは面白くない。
それに俺は最強で、魔剣士だ。
なら、魔法も使っていこう。
「『
奴ごとまとめて凍り付かせようとするけれど、奴はそれを見て力を使う。
「『
俺と奴の間で周囲を凍り付かせようとする力と、燃やし尽くそうとする力がぶつかり合う。
ただし、俺はそれをしながらも奴に切りかかる。
「なに!?」
奴は俺が切りかかってくるとは思っていなかったのか。
慌てて受けた。
その瞬間、炎の勢いが少し落ちる。
「どちらかにしか集中しないのは違っているんじゃないのか? もっと……全力でやるぞ!」
「く……やるじゃねぇかよ!」
氷は奴の周囲を徐々に凍らせて行く。
それに
「まだこんな物じゃないだろう? 見せてみろよ。その力」
「はっはぁ! 最高なこと言ってくれるじゃねぇの! いいぜ! 見せてやるよ! 『
「ほう! 2重!?」
エンチャントは文字通り何かに能力を付与する力だ。
ちなみに、1つ出来れば普通、2つ同時に出来れば優秀、そして3つ同時に出来れば一流と呼ばれている。
奴の剣は今までよりも倍以上の熱気を放ち、俺が作り出した氷を溶かしていく。
そして、動きが鈍くなっていた箇所が溶けたのか、動きのキレが再び上がっていった。
しかも、俺の体を焼いていく。
ビネラの炎など比べ物にならない程の威力だ。
奴は笑いながら叫ぶ。
「そうだ! 次はお前の番だぞ!」
「いいだろう! 食らうがいい! 『
「3つの魔法を同時発動!? 馬鹿か貴様! そんなこと……普通は出来る訳ないだろうが!?」
奴は驚きの表情を浮かべるけれど、俺はできる。
「出来るさ! 最強である俺ならば! 俺が最強であるがゆえに! 俺は……俺に出来ぬ事などない!」
俺の3つの魔法によって奴は全身を切り刻まれる。
どのような魔法かと言うと、氷で相手の動きを
奴が炎の魔法を使っているからこちらは折角なので火属性は使わないでおいた。
奴は全身を切り刻まれながら楽し気に笑う。
「さいっこうだな! お前さんは! いいぜぇ! いいぜぇ!」
「全身傷だらけになっても引かないとは! 流石だ!」
「当然だろう!? こんな楽しいことから逃げるとか正気の
「その通りだ! もっと見せてみろ! 俺が3つ使うなら貴様は4つ、5つ、6つ! いくらでも使って来い!」
「お前さんは本当に最高だぜ! いいぜぇ! いいぜぇ! いくぜぇ! 『
「ほう!」
奴は6つどころか9つも同時にエンチャントを発動した。
一流では済まされない。
桁違いの存在と同義だ。
すごい。
ここまでの力は見たことがないし、それに虚空という能力も検討がつかない。
しかし、俺がやることは変わらない。
俺は奴に向かって剣を振り下ろす。
「ん?」
一瞬の違和感。
強烈な嫌な予感を感じ、振り下ろす手を止めて後ろに飛ぶ。
次の瞬間には俺がいた箇所を奴が剣を振り下ろしていた。
(おかしい。あのままだと、俺の攻撃の方が先に当たっていたはず……それを……受ける? そうか!)
俺はそこにいたり、奴の虚空という能力に検討がつく。
「よく気が付いたな?」
「沼地で会っていただろう? その時に会わなかったら危なかったな」
「ちっ。出てかねー方が良かったか?」
「どうだかな!」
俺は奴の力を探るために剣で切りかかる。
いかに奴に攻撃が通じないとしても、【魔陣】の時の様に距離をとるだけではこちらに勝ち目がない。
「はぁ!」
「はっはぁ! 効かねぇな!」
俺の剣は奴をすり抜け、奴は俺の攻撃を無視してこちらに切りかかってくる。
「っち!」
俺は距離を取り、少し考えてから、魔法を発動させる。
「『
「なんだそいつは!?」
「こいつはな……。こういう物だ!」
俺の半径20m。
その距離を効果範囲に指定し、奴をまとめて取り込んだ。
周囲は薄暗い物がとり囲む。
「ここは……?」
「ここは別の次元。そして、お前……別の次元に体を移していただろう?」
「! お前さん……そんなことも出来るのかよ」
「ああ、お前も出来るだろう?」
「くく……そうだ。だが、これで分かった」
「何がだ?」
「お前が……おれと同格の相手だって事がだよ!」
「同格?」
「そうだ。おれのスキルは……【最高】だ!」
「【最高】……!?」
俺は奴が何を言っているのか理解できなかった。
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