第62話 vs守り神
「守り神よ。少しくらい痛いのは我慢してもらうぞ?」
「ガァ~メェ~!!!」
俺が少し挑発をすると、奴は口から大きな水弾を吐き出してくる。
それは当たったらかなりのダメージを負いそうな程の勢いがあった。
「だが、動きが遅いな。はぁ!」
俺はアルマを思い出し、音が鳴らない漆黒のハンマーを『収納』から取り出す。
そして、それを思い切り振りかぶって奴の背中に叩きつけた。
ミシィ!
「ガァ~メェ~???」
奴はザブンと水の中に沈む。
ただし、
まぁ、水に沈むことで少しダメージも軽減できたという事があるのかもしれない。
「だが……もう何発か決めれば動けなくなるだろう」
そうしてから水賊を捕らえに行けばいい。
「我慢しろ守り神。後でしっかりと回復させてやる!」
俺は再びハンマーを振りかぶり、奴の背中に叩きつける為に向かう。
しかし、今度は奴の番だった。
「ガァ~メェ~!!!」
奴は俺が向かっている最中に吠え、手足と頭を甲羅の中に引っ込めた。
「なんの意味がある! はぁ!」
俺は今度はさっきよりも力を込めてハンマー叩きつける。
ガギィン!!!
「何!?」
さっきよりも強い力で叩きつけたのに、ハンマーが弾き返されてしまった。
でも、甲羅に
「まだまだ行くぞ!」
俺はそれからハンマーを何度も何度も振りかぶっては奴の甲羅にたたきつける。
しかし、
ガギィン! ガギィン! ガギィン! ガギィン! ガギィン! ガギィン!
全ての攻撃が奴に弾き返されて、遂に考えもしなかった自体が起きる。
バギ!!!
ハンマーが奴の甲羅の固さに耐えきれず壊れてしまったのだ。
ここに至って俺は奴がやろうとしていたことを
「なるほど、固さを上げてこちらの攻撃手段を奪うつもりだったのか。やるじゃないか」
俺がそう言うと、奴は頭と手足をにゅっと甲羅から出す。
「ガァ~メェ~!!!」
奴はそう吠えて首をグルンと曲げて甲羅の上にいる俺に向かって水弾を放つ。
それらは先ほどよりも数を重視していて、面で埋めてくるような攻撃だった。
俺はそれを受けて立つ。
「効かん!」
俺は素手でその水弾を打ち消して行く。
正面からだろうがこの程度の攻撃で俺には傷一つつくはずがない!
そして、奴の水弾が終わった後に、俺は拳を甲羅に叩きつける。
「こっちの方が効くか!? セイ!」
ミシバギィ!
「「ガァ~メェ~!!!???」
俺の拳が奴の甲羅を凹ませる。
それどころか甲羅に穴が開いたようだった。
「もっと行くぞ!」
俺はそれから拳で奴の甲羅をこれでもかと連打する。
ドドドドドドドドドドン!!!
俺の拳は奴の甲羅を破壊し、拳で殴った部分はその下の肉が見えていた。
「ガァ~メェ~!!!???」
奴は叫び逃げるように湖の中に沈んでいく。
「仕方ない。少し離れるか」
俺は奴から離れて飛び立ち、奴の次の行動を観察する。
「あれは……何をしている?」
奴が沈んだ周囲で、水が渦を巻いているのだ。
水を吸い込んでいるとでも言うのだろうか?
折角なので少し待っていると、奴が起き上がった。
「ガァ~メェ~!!!」
「なんだそれは!?」
奴の体は水を吸い込んだからか、さっきよりも1,5倍程
「ガァ~メェ~!!!」
奴は膨れ上がった体を更に大きくさせ、俺に向かってブレスを吐いてくる。
「!?」
シュパアアアアアア!!!
俺は間一髪でそれを避ける。
奴のブレスは細い1本のロープの様な物だ。
それが縦に放たれ、その線上を全て切り裂いた。
湖は割れ、かなり離れた所にいた水賊の船団も当たった船は綺麗に引き裂かれている。
「なるほど、それだけ大きくしたのを圧縮して放つことによって威力を上げているのか。守り神の名前も伊達じゃないな」
「ガァ~メェ~!!!」
俺がそう言っている間も、奴は先ほどと同じように溜めて、俺に向かって放つ。
しかし、俺は最強を名乗る男。
一度目は警戒したけれど、この程度乗り越えなければならない。
剣を構え、奴のブレスのタイミングに合わせて振り抜いた。
ス……ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!
奴のブレスと俺の居合がぶつかり、大きな波が生まれる程の衝撃が発生した。
「ガァ~メェ~???」
奴は驚きで動きが止まっている。
俺はその隙をついて奴の顔に接近し、拳を放つ。
ドゴォ!
「ガァメェ???」
「まだまだこんなもんじゃないぞ」
俺は奴の頭に向かって連打を放ち、奴が気を失うまで殴り続けた。
奴も伊達で亀の守り神をやっている訳ではないらしい。
かれこれ5分くらいはボコり続けていた。
しかも、その間も前足で攻撃をして来たり、水弾を放ってきたりとかなりの抵抗をして来た。
だが、それでも俺には通用しない。
奴はプカァと湖に浮かんだ。
「よし。死んではいないし……。後は……あいつ等だな」
俺の狙いは、残っている敵の水賊達に移った。
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