葉桜、満開。

紀伊航大

俺が鈴木警斗だ!

カチ、カチ、カチ。


つまんねーな。


授業終了までまだ20分ある。

鈴木警斗は諦めて机につっぷした。

秋の陽気が眠気を誘ってくる。


教壇の教師の気だるそうな声で行われている古典の授業をBGMにクラスの4分の1ほどは寝ている。


(俺も寝るかぁ)


警斗が睡眠体勢に入ってしばらくしたころ、キーン、コーン、カーン、コーン。


「じゃあ寝てた奴ら全員次の授業あてるからな。」


教壇の上でそう吐きすて、音を立てて乱暴に扉を閉めた。



次の瞬間、教室は静寂に包まれた・・・。1,2,3。先ほどとはうってかわり教室は騒がしくなった。


「やべぇよ、俺何も聞いてねぇ」「俺も」なんて声が聞こえてくる。


(まじか、俺もやべぇ。困ったときは・・・)


タッ、タッ、タッ。


「虎太朗~」


警斗は隣のクラスの藤虎太朗に話しかけた。

虎太朗は警斗の姿を認めると、右手を挙げて返事した。


「おう、どした警斗?」

「いや、センニンの古典でさー、かくかくしかじかでよー」

「センニンか、そりゃ眠いな。次の古典いつだ?」

「明日の2限」

「ん、明日の朝こっち来いよ」

「?おう、了解。」


(やっぱ持つべきもんは虎太朗だよなぁ)


警斗がそんなことを考えながら教室に戻ると、キョロキョロとしている高身長の人物が目に留まる。


「なにしてんだ、詠太?」


石田詠太、警斗のクラスメートでもあり親友でもある。

手に持っている弁当を軽く持ち上げて、


「探してた、メシいこーぜ」


警斗は手早く荷物をまとめて詠太と教室を出る。

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葉桜、満開。 紀伊航大 @key_koudai

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