inverter-終末を告げる者-
浅川瀬流
第1話 初陣
人に表と裏があるように、世界にも表と裏がある。
都内某所のビルに、裏世界
四人は段取りを確認したあと早速社用車に乗り込み、都心から離れて森林へと向かう。
その
「じゃあ、俺と
短髪の青年、
彼と同期の葉月は、新入隊員二人を交互に見ると、緊張を
「訓練通りやれば大丈夫だよ」
その言葉に、新人の
部屋に立てかけてある武器の中から、優は
「「
声を発すると、優と葉月のブレスレットが赤く光り、床がぐにゃりと
その場に残された咲良と理津は息を
「あたしたちも行こう」
咲良はストレッチをしながら、緊張で
理津も手にした
「「
二人の声に反応して床が歪む。スーッと体が吸い込まれていった。
――目を開けると、転移した場所は教会だった。ステンドグラスの窓はカラフルに輝きを
咲良と理津は、恐る恐る教会の外へ一歩出る。するとそこには別世界が広がっていた。オレンジや赤の屋根、等間隔に家々が並んでいる。統一感のあるその美しい街並みに、まるで海外旅行に来た気分だと二人は思った。
けれども人はおらず、不穏な空気が
「無事来られたね」
葉月の優しい声かけに、新人たちは我に返り、
「ほら、ゴーグル」
優がゴーグルを手渡すと、ありがとうございますと言って、二人はそれを装着した。そうして見ると、あれほど美しかった街並みが一気に黒く
「この黒いモヤが人間の負の感情だ。これが集まって
落ち着いた様子で新人に説明をする優。余裕を感じさせるその姿に、咲良と理津は尊敬のまなざしを向ける。
「そろそろだよ」
西の方角をちらりと見やり、葉月が声をあげた。四人はそれぞれ武器を
<ぐぅああああああ>
それを目にした咲良と理津は、思わず「キモイ……」と呟き、後ずさる。
「ははは、確かに気持ち悪いよね。だからさっさとやっつけちゃおう」
葉月は二人を振り返って笑った。
「行くぞ」
優が先行して駆け出す。斧を振りかぶって触手の一本を切った。攻撃を受けて暴れるダストは、残りの触手をブンブンと振り回している。
葉月は少し離れた場所から弓を構え、放たれた矢はダストの目に命中した。
「はあぁぁぁ!」
二人に続いて、槍を持った理津もダストに襲いかかる。が、体に槍が刺さったものの、暴れ回るダストの触手が理津の体に直撃し、そのまま地面に打ち付けられた。
「うっ!」
「理津くん大丈夫!?」
葉月がそばに駆け寄り、体を起こす。二人を守るように優は前に立ちはだかった。
咲良は震える足を両手で叩き、
「やあぁぁぁ!」
振りかざした鎌によって三本の触手が切り飛んだ。<ぎぃああああああ>と
咲良に気を取られていてダストに
「葉月!」
「わかってるよ」
静かに呟かれた言葉とともに、パンッと矢が放たれた。それはダストの中心にある核を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます