タイムライン人間シリーズ Timelien Human Smile Phase-A Wakened Me.

工藤弦人 / EVOLVE

シリーズ1 Timelien Human Smile Phase-A Wakened Me.





 ある時。

 私がいるTIMELINEの地表タイムラインのちひょうに、私の友人であり、心の師匠であるタイムライン人間が警告を出した。

「このTIMELINEタイムラインは日々浄化し、新たなTIMELINEに刻々と変化していく。その仕組みが牙となり、今宵、TIMELINEが悪い方向に変化している。悪が見えてくるが、それが悪だという事に盲目の民もうもくのたみたちは気づかない。悪の変化を私の様に微笑すればこそ、悪にの変化には携わらずに済むのだ。その悪の先導せんどうに加担し、その悪に関わることをやめなければ、このTIMELINEはひどく悪い方向に変わっていくだろう。この前兆ぜんちょうをせめてもの抗いで、少しだけこのTIMELINEを良きものにしよう――さあ、この前兆を見抜け。盲目の民たちよ」

と。

 この警告に、民たちが反応を示すわけでもなかった。

 タイムライン人間は、民たちが思うではないため、皆それほどのその警告を気にすることもなく、ただTIMELINEの地表で過ごしていた。

 無論、私もこの警告には興味が無く、タイムライン人間自身からはいつもこっぴどく「TIMELINEが悪い方向に変化する」と聞かされていたため、興味はなくとも多少の関心はあった。

 勿論、タイムライン人間の云っているとおり、TIMELINEは日々変化し、ある時には進化し、ある時には退化する。

 いつかは、このTIMELINEの地表にも「」が起こるであろうと、そのくらいにしか思っていなかった。


 だが、タイムライン人間の警告は、その言葉を象るかたど様にその状況は起こった。



「盲目の民たちは皆、悪を善だと盲目し、悪へのTIMELINEを絶賛している。無論、悪ではないが悪ではある。光が「」を作るように、また善にも悪が産まれる。日々変化する、TIMELINEだからこそ「」のTIMELINEが出没するのだ。それに気づくかどうか。私がそれを止めれるのか……」





を持つのはいけないことだ。どれだけ、怖かろうと警告の言葉を持つお前が不安などをもって、盲目の民たちの目を覚ますことなどできない――不安などを持たず、正確な未来を描けば、お前の警告が次期少数じきしょうすうの民の元へ響くだろう。そのことを忘れずに、この状況を乗り越えなさい」




 TIMELINEはタイムライン人間が警告した通り、日々変化する。それは、その地表にある旋律であっても、法則であっても、それが命ある物でも、新しく誕生し、新しく朽ち果てる――今、その新しい民がTIMELINEへ現れた。

 その「悪」のTIMELINEへ誘導している民こそ、気づく眼を遮り「」の目も遮ってしまう民であり大師である「遮眼大師しゃがんだいし」がこのTIMELINE出没した。

 TIMELINEの民たちに見せている遮眼大師は、「俺が周囲にいる皆を救済きゅうさいしよう」「このTIMELINEを良きものにしよう」などと発言し、多くの民がその発言を信じ、民たちは周囲の民たちに遮眼大師の発言を広めているだとか。

 その時私は、遮眼大師が出た事にも気づかず、出てきたことに気付いた時も、遮眼大師の発言を話半分に聞いていた。

 だが、感性や感覚が強いタイムライン人間は遮眼大師の発言をわざわざ「欺瞞ぎまんに満ちた発言だ」と言っており、高貴である地表に住むたちも皆「欺瞞だ」「偽善者ぎぜんしゃだ」「受け取るな」などと云っていた。

 私はその高貴な民たちの発言や、タイムライン人間の云っていることの理屈が理解できず、逆を言えば遮眼大師はこのTIMELINEの理屈にかなっていたし、それを知り得ない民たちにも教えているため、遮眼大師の発言には関心を持っていた。

 それでこそ、普遍的ふへんてきで理屈から考える民たちにとっては「普遍的で良い」と、ある種の救いがあり、遮眼大師も高貴な民たちの高等な話と同等な発言をしているので、普遍的な民が高貴な民たちと同じ道を歩めるという事を信じれるきっかけにもなったのだ。

 だが、一貫して高貴な民たちやタイムライン人間は「欺瞞だ」や「偽善だ」と言っており、何とも滑稽な発言だと――私は、タイムライン人間が云った言葉が事実か否かを確かめるために、その場に行ったその時。タイムライン人間の云っていた「遮眼大師の発言によって一部の民たちが少しずつ歪でいる」と言う現実がそこには在った。

 私も初めは目を疑ったが、それが本当ので、それがであり、それが遮眼大師に問ってだった。

 この事実を知り得たうえで、発言の根本である「TIMELINE」と言うものを知り得、話半分で聞いていた高貴な民たちやタイムライン人間からの情報を聞き取り、考え、言葉を感じ、遮眼大師の発言していることが、新たなる「TIMELINE」だという事を知り得た。

 それはこのTIMELINEにとってはまずいことであり、民たちにとってもそれはまずいことであった。私はとにかく行動を始め、タイムライン人間や高貴な民たちの様に遮眼大師の発言を鵜呑みうのにする民たちに声を掛けては、歪みの現実を知らせ、納得しなくとも感じ路とだけいい、その場を去ると。その行動がそ、意味のあることだと私は思った――だが、その行動は無謀むぼう無意味むいみな事であった。

 盲信する民たちからは「それは、誤情報ごじょうほうだ」と、云われ「このような発言がある」だとか、「これが現実だ」とそのようなことを盲目の民たちへ云ったとしても、遮眼大師の「模範奴隷もはんどれい」である盲目の民たちは、私やタイムライン人間の言葉に一切耳を貸さないのだ。

 勿論、それは遮眼大師が云うところの「誤情報」を信じては、それを信じぬ民を攻撃し、さらには「タイムライン人間の云っていることは間違いだ。その誤情報を発言している者は、。俺を信じる民は、俺と同じ行動をとることだ」という言葉さえも、信じ込み次々と民たちを「言葉」にて攻撃していった――勿論、その対象は私もタイムライン人間もそうで「その情報は間違っている」とか「さては、我々の遮眼大師様の言っていることは間違いだと言っているな?」とか「遮眼大師様は、我々を救ってくださる!お前はせいぜいくたばってろ」だとか――そんなことを云われて、少々心身ともに「」が重くのしかかった。

 それでいて、遮眼大師を盲信する民たちは次々と盲信するに成り果てていた。


 だがこれに怯まないひるタイムライン人間だった。

 言葉を全て受け流し、それを自分自身に流れる旋律せんりつにて自分自身を癒し、私自身もによって伸し掛かった言葉たちがすべて浄化じょうかされた。

 まるで、盲目の民たちからの言葉が嘘だったかのように、身体から抜け落ち、心の静寂せいじゃくが久しく戻ってきたことを感じた――これは、どこかで学んだことなのかと私が聞くと、タイムライン人間は「高貴な民たちがしていたことを盗んだだけだ」と云っていたが、勉強熱心であるタイムライン人間は、高貴な民がしていたことを盗んだのではなく、学んだといえよう。

 癒された私とタイムライン人間は、遮眼大師を信じていない民たちを「HUMAN-LEヒューマン・リー」と命名し、遮眼大師を信じぬ民や、このTIMELINEを愛する民たちはHUMAN-LEとなり、私達と共に行動していった。

 この時、HUMAN-LEはその地表の民であり、またHUMAN-LEであることを望んだ民たちはこのTIMELINEに願い、その願いは一夜をとおりかなったそう。

 新たな民ではないが、新たなTIMELINEの「名」となり「命」となったHUMAN-LEには小さな宿地が産まれ、その宿地が「宿」として、このTIMELINEの地表の西側にできたのであった。

 これを知った少数の民は枷を打つ宿へいき、少しずつHUMAN-LEは増えていき、中には盲目の民であった民もおり、色々な地表の民たちから枷を打つ宿にて、少しずつ増えて行った。


 言論は減り、遮眼大師もいつしかどこかでへ盲目の民を引き連れずして、行き、今宵には盲目の民たちの攻撃は減っていった。

 これをだとし、タイムライン人間や高貴な民たちは枷を打つ宿にて、HUMAN-LEたちにTIMELINEについての教養をし、枷を打つ宿は「TIMELINEを学べる場所」として、少数の民の中で盛んになって行った。

 TIMELINEに起こった情勢は落ち着き、HUMAN-LEたちは皆、タイムライン人間が云った言葉を受け取り、「私もそう考えてみようと思う」だとか「ありがとう。目が覚めた」と、皆「」をもちひて物事を考察し、感じタイムライン人間や高貴な民たちから学んだことを他の民にもできたとの事だった。



 私も目が覚めたからには、このTIMELINEを知ることにしよう。



 このTIMELINEの地表で生きる一人の民として。



 この想像の知恵として、悪に対しては微笑し、善に対してはココロから笑おう。と。そう学んだ。



 次にこのような変化が起こった時には、タイムライン人間のようなことをしよう。




 枷を打つ宿にいる私たちは、あのような変化を「」と呼んだ。





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