第51話 新衣装と遅刻

新衣装決まって3週間後


「終わった〜‼︎」


21時を過ぎたぐらいに希空の部屋から達成感のある声が聞こえてくる。


部屋を訪れると希空はベットに寝転がっている。


「希空、お疲れ様。これは俺からのプレゼント」


俺は机の上にコンビニで買ってきたスイーツやお菓子を詰めた袋を机の上に置く。


「お?せあ兄気がきくじゃん。それじゃあ、パパッとせあ兄のPC送って中間テストの勉強するよ」

「え?希空、中間テスト近かったんかよ。無理させてごめん。勉強手伝おうか?」

「せあ兄、足手纏いだよ」

「・・・すみません」


俺は妹の勉強も手伝えないみたい。なぜ希空は勉強ができて僕はできないのだろう。まぁ理由は俺がゲームをし過ぎているからだろう。


PCにデータを送ってもらい。俺は希空の部屋を後にした。新たな衣装が完成したのでマネージャーに報告をする事にした。


メッセージを送ると、秒も経たずに既読がついた。


『新しい新衣装できました』

『お!ついにできたか〜!それじゃあいつぐらいに発表する?』

『なるべく早くがいいですね』

『それじゃあ明後日ぐらいにする?』

『分かりました。後1つ質問いいですか?』

『ん?』

『お酒飲んでます?』

『飲んでませーん!』

『絶対飲んでるでしょ!言葉が酔ってる時なんですよ』

『気のせいですよ〜。それじゃあ社長に伝えておきますね』


お酒に弱いマネージャーだが仕事はしっかりしてくれるのでなんやかんや頼りになる。


今日は配信をする予定もなかったので適当にゲームでもする事にした。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


眩しい太陽の光が部屋に入り、それで目を覚ます。ぼやけた目でスマホを取り、時間を見る。

そこには『08:00』と写っている。日付を確認すると『金曜日』だった。


「遅刻だーーー!」


一気に目が覚めて急いで部屋を出る。


「あ!おはようせあ兄。ヤバい!私遅刻だ!」

「安心しろ、俺も遅刻だ」

「せあ兄学校まで送っていって!せあ兄どうせ間に合わないでしょ」

「まぁ、いいけど5分で準備終わらせろよ」

「りょーかい」


2人で家を走り回りなんとか5分で準備を済ませて、家を出る。


「せあ兄早く早く!」


希空は荷物をカゴに乗せて後ろに跨っている。

俺も荷物をカゴに乗せて自転車に跨り、足を回す。


「せあ兄!15分だよ間に合いそう?」

「信号の運が良ければ」

「頼む神様なんとか間に合って」


希空の願いが届いたのか信号は運良く全て青だった。しかし希空を後ろに乗せているのでスピードは出せない。


学校前の角に18分に着いた。なんとか間に合う事ができた。


「せあ兄ありがとう!じゃあいってきまーす」

「おう、いってらっしゃい」


希空は駆け足で校門に向かった。妹が学校に間に合って何よりだ。しかし同時に俺は学校に間に合わない事が確定した。


「遅刻だし、ゆっくり行くか」


どうせ遅刻が確定したので通った事のない道で行く事にした。

始めて通る道を眺めながらゆっくりと自転車を漕ぐ。すると少し先に同じ高校の制服を着た人が見えた。そして見たとこのある後ろ姿があった。


自転車の音が聞こえて前にいた女の子は振り返る?


「あれ?先輩こんな所でなにしてるんですか?とっくに遅刻ですよ」

「そう言うお前だって遅刻だぞひな」

「私は、わざと遅刻してるんですよ!」

「寝坊か?」

「・・・寝坊です」


ひなのカバンを見ると前の遠足にてプレゼントしたクマのキーホルダーが付いていた。


少し遅い朝、遅刻が確定した2人はゆっくりと歩きながら学校を目指した。

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