第49話 いつもの日常と新衣装
2日間に渡る遠足を終えて、いつもの日常に戻った。時刻は19時。台所からは具材をフライパンで炒める音が聞こえて、香ばしい匂いが漂ってくる。
「せあ兄お待たせ!希空特製チャーハン」
「おお!久しぶりのチャーハン。これマジで美味しいんだよな」
手を合わせた後チャーハンをレンゲで掬って食べる。米と卵、更に細切れにされた肉がマッチしてとても美味しい。夢中に食べているとチャーハンはあっという間になくなってしまう。
「ご馳走様。とても美味しかったぞ」
「それはよかった。それでせあ兄、お土産何買って来てくれたの?」
「抹茶バームクーヘンとかのお菓子とフルーツサンド」
「え!?せあ兄がフルーツサンドを買ってくるなんて、意外すぎる」
「観光中に見つけて買ってきた。さっき冷蔵庫に入れておいたから配信の後食べよう」
「せあ兄、今回のお土産は100点!」
「それはよかった。じゃあ配信の準備してくるわ」
「オッケー!配信ファイト〜」
自室に戻り、2日ぶりにパソコンの電源をつける。配信の準備を済ませ、配信を開始する
『配信きちゃー』
『2日ぶりじゃん』
『楽しみ〜』
『こんばんはー』
「こんばんは〜、久しぶりの配信やけど頑張っていきましょ〜。とりあえず、射訓でエイム調整するわ」
いつも通りにゲームをログインして射撃訓練場に入る。2日ぶりのプレイだが、エイムもほとんど問題なく、弾のほとんどが的の中央に向かってが飛んでいく。
『2日ぶりでこれか』
『なんだこれ』
『マジでチート疑いそう』
『ロボットか何かかな』
コメント欄はエイムが凄すぎて、逆に引かれていた。
「おい、そんな引くなよ。それじゃあ試合に行くか」
いつも通り一回カジュアルマッチに入り、その後ランクマッチを何回かプレイした。ランクポイントも結構獲得した。
「今日はこのぐらいで終わっとこかな。これから妹とフルーツサンド食べるから。じゃあまた次の配信で〜」
『お疲れ様でーす』
『次の配信も楽しみにしてまーす』
『乙でーす』
『妹と仲良さそうで何よりです』
配信を終了させて、リビングに戻る。希空は椅子に座りながらいつも通り絵を描いていた。
「配信お疲れ〜」
「それじゃあ、フルーツサンド食べるか」
冷蔵庫からフルーツサンドを取り出し皿に食べたい味を選び食べた。希空の顔は幸せそうだった。
『ピンポーン』
すると家のチャイムが鳴った。確認すると、ドアの前にはマネージャーの姿が映っていた。
僕は玄関に行ってドアを開ける。
「お疲れ様ですせあさん。ちょっとお話ししたい事がありまして」
「わかりました。一旦家入ります?」
「お、お邪魔します」
1つ上に住んでいるマネージャーの空音さんが急に尋ねて来た。何かあったのだろうか。
「あ、せあ兄のマネージャーさんだ。こんばんわ」
「こんばんは、妹さん。その・・・この前は本当にすみませんでした」
「全然気にしてないから大丈夫ですよ」
とりあえずリビングの椅子に座ってもらった。お茶とちょうど買ってきたフルーツサンドを1つ出しておいた。
「それで話って何ですか?」
「そうでした。せあさんは新衣装とか出したりしませんか?」
「新衣装ですか」
V配信者ならではの文化「新衣装」。簡単に説明すると配信で使用しているイラストの衣装を新しくする。配信よって使うイラストを変更したりできるので、配信の幅も広がる訳だ。
「そういえば、今使っているのは誰にデザインしてもらったのですか?配信では秘密と言ってましてけど」
「それは・・・」
俺は横に座っている希空に視線を寄せる。希空は小さく頷いた。言っても大丈夫みたいだ。
「今使っているのは妹に書いてもらいました」
「え?」
まぁ、反応は期待通りだ。仕方ないまさかの妹に書いてもらっていたとは思っていなかっただろう。
「そうですか。妹さんはネットで活動してたりするのですか?」
「SNSにイラストアップしてるだけだよ。これが私のアカウント」
希空は手元にあるタブレットでSNSを開いて空音さんに渡した
「どれどれ・・・。ってノア⁉︎あの有名なノア⁉︎」
びっくりの事実に空音さんの口は開いたまま閉じることを忘れている。
「兄妹揃って大物ですね」
「「いや〜それほどでも」」
いい感じでハモったところで本題に戻る
「せあ兄、新衣装どうする?ちなみに私は結構やる気だよ」
「理由を聞いても?」
「今回は私にイラストを依頼するって事でしょ。お小遣いゲットじゃん」
ニヤニヤしてる。理由が不純だけどやる気があるなら結構な力作になるだろう
「それじゃあ新しい立ち絵作るか。空音さんお金ってどのぐらい出るのですか?」
「社長によると最大10万円みたいです」
「「10万円⁉︎」」
中々のお金に口が空いたままになってしまう。
「受けましょう!いや、受けさせて下さい」
希空のテンションがMAXまで上昇しているのを感じる。
「わかりました。けど、イラスト描いた人は公開しないといけないんですけど大丈夫ですが?」
「大丈夫です‼︎」
希空の目がお金になっている。もう誰も希空を止めれそうにない。
「それではそう社長に伝えておきます。衣装のデザインは2人で話し合って決めて下さい」
そう言うと、フルーツサンドを食べ終えお茶を一口飲むと自分の家に帰っていった。
「せあ兄、せあ兄!どんな服がいい?」
「そうだな、そう言われたらすぐには思いつかないな。希空はなんかあるか?」
「私には1つ考えてたのがあるよ。それはね
『制服』!」
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