第46話 ゲーセンでの死闘

部屋に戻ると電気をつけたまま蒴は布団で、すぅすぅと寝ていた。いびきがうるさいかなと思っていたけが、結構静かに寝るようで意外だった。


俺はお土産を静かに置いて窓側の電気を以外を消し、窓側の椅子に腰をかけた。窓側は綺麗な京都の夜景と星空が見え、とても美しい。


時間は22時過ぎ、夜中までゲームや配信をしている俺にとってこの時間は寝るのにはとても早かった。


少し高い値段で買ったお菓子をつまみながらスマホで時間を潰していたけど時間はなかなか過ぎない。何故ならばしたいゲームができないからだ。普段はパソコンゲームをプレイしている為こういう時は本当にする事がない。


する事もなく無理矢理にでも寝よかなと思った時、スマホに一通の通知が届いた。


月奏)

今、ひま?


                  (星空

         暇すぎて寝ようと思ってた


月奏)

それじゃあ、一階にあった小さなゲーセン行かない?


                  (星空

          行きたいと言いたいけど

             もう就寝時間だぞ

       先生も廊下見回ってるだろうし


月奏)

まぁ、1時間もすれば

先生達も部屋戻るでしょ

たまにはスリルを味わおう!


                  (星空

       お前ってそんなキャラだっけ?


月奏)

久しぶりの遠足(旅行)

だからテンション上がってるかも

よく考えたらやばい?

                   

                  (星空

               とてもヤバい


月奏)

まぁあ、気にしないで

チラッとゲーセン見た時

『ゾンビハンター』見えたよ

       

                  (星空

             マジか、それは話

              変わってくるな


月奏)

それじゃあ、23時に

ゲーセン集合で


                  (星空

                   了解


俺は、お菓子を食べながらゲームの配信を見ながら時間を潰した。そして予定時刻の11時になった。


手に鍵を持ち静かにドアを開け左右を確認する。周りに先生はいないみたいだ。静かにドアを閉め鍵を閉めた。なるべく足音を立てないように歩き少し薄暗い廊下を歩く。


階段を降りてゲーセンへ到着した。ゲーセンと言っても小さなクレーンゲームと太鼓の音ゲー、後シューティングゲームが2種類だ。シューティングゲームの1つが目当ての『ゾンビハンター』だ。


今は『ゾンビハンター2』をよく見かけるのだが『ゾンビハンター』はなかなかお目にかかれない。理由は1つ難しすぎるからだ。


『ゾンビハンター2』は難易度が調整された方なのだが、『ゾンビハンター』は攻略が難しいと言われている。


しかしゲーマーからしたら逆にこっちの方が燃えるのだ。危険を犯してまでもやる価値はある。


「お待たせ〜」


静かな声と同時に背中をトントンと小突かれて振り返る。浴衣姿の月奏だった。


「どう?似合ってる」


見せびらかすようにクルッと1回転して浴衣を自慢してくる。やはり今の月奏は少しテンションが上がっている。


「似合ってるよー」

「星空くん!棒読み〜」

「そんなにはしゃぐなよ。目立ったらバレるかもしれないだろ」

「それもそうだね。それじゃあ早速しよう」


早速俺たちは「ゾンビハンター」の前にやってきた。前のモニターには沢山のゾンビが映っていて、手前の台にゲームでもよく使うAKが2本と100円玉の挿入口がある。1人1回100円なので2人で200円。早速お金を入れる。するとモニターにカウントダウンが表示される。


「ストリーマーの実力見せますか」


月奏はAKを片手で持ち肩にAKの端を乗っける。


「その持ち方なんかめっちゃカッコいい」

「そう?この持ち方やってみたかったんだよね。せあくんもやってみたら?」


言われるがまま俺も同じ事をする。


「なんかカッコつけてるだけですぐに死にそう」

「お?喧嘩なら買うぞ」

「残念、後3秒で始まりま〜す」

「後で覚えとけよ」


すぐ死にそうなセリフを吐きながらAKを構える。


『3・2』


チラッと横をみたら月奏のとても集中している横顔が見えた。


『1・スタート』


ブザーと共にモニターにはゾンビが30体ほど現れる。俺はゾンビの頭に狙いを定め引き金を引く。15秒ほどで全てのゾンビが片付いた。

画面には2/10と表示されすぐWAVE2が始まる。


そのまま順調に第9WAVEまでクリア。しかし本当の地獄はここからだった。まぁ最終WAVEといえばいるでしょうねボスが。


「うわ、このゾンビデカすぎね」

「こういう敵って基本部位破壊系だよね」

「どうする?どこから壊す?」

「まぁ、足からかなその後腕、最後に頭」

「りょーかい!」


俺は月奏と一緒に右足を攻撃する。しかし普通のゾンビもいる為ボスばっかに攻撃するのは不可能だった。仕方なく普通のゾンビに狙いを変更する。


「月奏はボス集中でいいよ雑魚は俺が全部処理する」

「オッケー!私の背中預けたね」

「残念ながら前からしか攻撃来ないけどね」

「うるさい!言いたかったの!」


そのまま普通のゾンビを捌きながら時々ボスに攻撃を加える。


その後足の破壊に成功し、攻撃を腕に変更する


「そのままボス任せたよ」

「任せなさーい」


その後なんとか腕も破壊する。しかし2人とも無傷とはいかず残りの体力は2人とも、4分の1程度、ボスは一旦動かなくなったが普通のゾンビが数で迫り来る


「これ!ずるくない!ボス攻撃できないじゃん」

「とりあえず雑魚を捌ききろう!そうにしないとどっち道死ぬ」


なんとか普通のゾンビを捌ききるとボスのゾンビはなんか雰囲気的に復活しそうだった。しかしよくみたら顎の下が少し光っているように見えた。


「アイツの顎の下光ってない?」

「本当だ、もしかしてあれって・・・」

「「弱点!!」」


顎の下を攻撃するとゾンビがおおきな声を上げて再びダウンする。そしてそのままAKを連射させる。そしてなんとかボスを倒し切った


「やったー倒したよ!!」

「まさか初見で行けるとは!」


俺と月奏はそのままハイタッチをする。そこではしゃぎすぎたらまずい事を思い出す。慌てて振り向くと見覚えある姿が奥から歩いてきてるのが見えた。


「おい月奏、アイツって学年主任の松田じゃね?」

「え?まさか怒ると怖いあの鬼の松田?」

「あだ名は知らないけど恐らくそうだろ、とりあえず隠れるぞ」


そのまましゃがんで物陰に隠れる。しかし何故か『ゾンビハンター』の機械の近くまで来る


「ゾンビハンターか、若い頃よくやったけどクリアするの難しかったんだよな。お!よくみたらクリア画面じゃねーか。」


すると後ろから別の男性が近づいてくる。


「すごいですよね。通り過ぎるときに目に入ったんですけど凄くてつい、立ち見してました」

「これはすみません。夜中に独り言を言ってて、どんな人がやってたんですが?」

「10代ぐらいの男女がやってましたよ」

「そうなんですか。ありがとうございます」

「いえいえ、それではこれで失礼します」


そう言って知らない男性は離れていった。しかしとんでもない事をしてくれた


「やばくない?あの人誰か知らないけど余計な事言ってくれたね」

「本当それ、絶対疑うじゃん」


予想通りゲーセンの中を探し始めた


「もしかしたらウチの生徒なんじゃ?」


「やばないやばないどうしよう?」

「俺が聞きたいよどっかハイドポジない?」

「ゲームじゃないから、てかこっち来てるって」


ゆっくりと鬼の松田がこっちに歩いてきている。このままだとバレてしまう


「まずいまずいまずい」

「ねぇ、あそこなら隠れることできない?」


月奏が小さく陽奈指を刺した先にはが子供が車のゲームがあった。のれんで横からは見えないが前は透明になっていて椅子に座っていても見えてしまう。


「けど前からバレバレじゃん」

「多分、座るから足を置く部分があるはず。だからそこにしゃがんでたらいけるくない?」


少し無謀だが今はそれに賭けるしかないようだ。

腹を括るしかない。


「私が合図するからそれについて来て」


そう言うと月奏が手でカウントダウンを始める


3、2、1


同時にしゃがんだまま足音を立てずに車のゲームに流れ込む。


チラッとのれんの隙間から覗くとちょうど俺たちが元いたところに先生がいた。とてもギリギリだった。


しかしまぁ狭い。三角座りをもっと小さくした感じで座っている。おにぎりの具の気持ちが少し分かった気がする。


しかし、狭いだけならまだいい。それよりも重要な事がある。横には月奏がいるわけだが、狭いので肩と肩が当たっている。呼吸一つ一つが聞こえてくる気がする。


「もうちょいそっちいけない?」


少し薄暗い中、月奏が小声で言う。


「これ以上寄ったらはみでてしまうよ」

「分かった。後、その、恥ずかしいからこっちみないでくれる?」

「・・・ごめん」


沈黙が流れる。俺は、のれんの隙間から周りを確認する。松田先生の姿は確認できない。なんとか凌ぎ切れたようだ。


「月奏、もう出ていいぞ」


ゆっくりと立ち上がる。腰が痛いがバレなくてよかったと本当に思う。


「ごめんせあくん、思ってたよりずっと狭かった」

「まぁ、仕方ないよ。それよりバレなくて本当によかった」

「それな〜!マジで危なかった。後さっき見た私のあの顔、絶対に忘れる事。いいね?」

「・・・なるべく努力します」

「本当に頑張って、めっちゃ恥ずかしい」


ハプニングがあったものの、なんとか無事に終わる事ができそうだ。


「そういえば明日って何するの?」

「せあくん、ちゃんと予定見た?明日はみんな大好きBBQ!」

「マジか!楽しみだな」

「それじゃあ解散しますか。流石に他のゲームする気にはならんな」

「そうだな、それじゃあおやすみ月奏」

「おやすみ、星空くん」


別れた後すぐに自分の部屋に戻った。最後にしゃいだ事で流石に眠気が来たのであすに備えて寝ることにした。

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