第40話 「遠足」それはお近づき⑥
「それじゃ京都観光するぞ〜」
俺たちは宿泊するホテルに荷物を置いた後グループ行動になった。
「それじゃとりあえず目的のお寺へ行こう」
いつもより月奏の声が元気に聞こえた。
「何かそこでしたい事でもあるの?」
「よくぞ聞いてくれたね」
俺が聞くとショルダーバックから手帳らしきものを取り出した。
「じゃじゃーん」
「もしかして御朱印手帳?」
横から胡桃が聞いてくる。
「実は集めてるんだ」
するとページをめくって沢山の御朱印を見せてきた。
「これがね10年に1回限定の御朱印でこれは沖縄行った時の御朱印だよ」
「沢山持ってるんだなと言う事は目的は…」
蒴が聞くと月奏は笑顔で言う。
「御朱印を貰いにいきます。更に今から行くところは10種類以上の御朱印があるんだよ」
「多いな〜全部回るつもり?」
「流石に全部は貰わないよおお土産買えなくなっちゃうよ」
少し残念そうだが、仕方ない。
そして俺たちはそのお寺に向かって歩きだした。しかしお寺まで後少しって所で問題が発生する。
「「この坂キツすぎ〜」」
俺と月奏の体力ない組が悲鳴をあげた。
「だらしないよ2人とも〜」
「後ちょっとだぞ」
胡桃、蒴の元気組はまだまだピンピンしてる
「これ美味しそうじゃない」
「足がもう歩きたくないってさ」
俺たちはなんとか休憩しようと試みた。
「わかったよじゃあ俺たち2人で入る為のチケット並んでいるからすぐ来いよ」
「私達に任せてちょっと休憩しなよ。あ!けど美味しそうな食べ物あっても食べたらダメだよみんなで食べようね」
「「本当にありがとうございます」」
俺たち心から感謝し2人が人混みに紛れるまで見送った。そして急に2人っきりになる。2人だけになったのはとても久しぶりだ。
「月奏、自販機探そう。俺倒れそう」
「そうだね」
俺たちは自販機で飲み物を購入し横にあったベンチに腰を下ろした。
「「生き返る〜」」
乾ききっていた喉が潤い、少し元気になった。
落ち着いたら月奏が真剣そうに話しだした。
「星空くんに1つ大切なお知らせがあります」
「はい。なんでしょうか」
「実は配信者カップのメンバー後1人決まっていません」
俺たちは夏休みにある配信者カップにでる約束をした。しかしHero’s Legendは3人チームの為後1人メンバーを集める必要があった。
「けどまだ時間あるやろ?夏休みだろ」
「メンバーの提出期限後1ヶ月もないんだ」
俺はそこで少し焦る。
「なんでそんなにも早いんだ」
「だって予選あるじゃん」
「……予選?」
「毎回沢山の人が参加するからまず予選に勝ち残らないといけないんだ。まぁ予選は配信禁止だから知らなくても無理ないか」
俺はとても焦る。
「早く決めないとやばいじゃん」
「そうなんだよ。せあくんなんかあてある?」
俺に聞かないでほしい。ほとんどコラボをしたことがない俺に当てがあるはずもない。
俺は黙り込むしかなかった。
月奏は俺の様子から察したようだ。
「ごめん私が悪かったよ。今までずっとぼっちだったもんね」
「喧嘩売ってる?買うよ」
「星空くんごめん調子乗りすぎた」
月奏がベンチから立ち上がり座っている俺を見た。
「もしなんかいい人おったら連絡してね」
「あぁ、追ったらな」
月奏がクスクスと笑うと歩き出した。もう回復したようだ。俺も立ち上がり後を追う。
「それじゃ2人を追いかけよか。行くよせあくん」
「おう」
俺達は2人並んで坂を登り目的のお寺を目指した。
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