第39話 「遠足」それはお近づき⑤

とりあえず覚えたのは同じ種類の牌を3つ揃えるか、2、3、4の様に連続してる牌を揃えるのを4つと同じ種類の牌を二つ揃えると上がれると言う事と么九牌ヤオチュウハイ全てと么九牌の雀頭ジャントウを揃える「国士無双」の形だけだ。なぜ「国士無双」を覚えたかと言うと名前がカッコよかったからだ。


「それじゃ始めるよー」


胡桃の声と同時にゲームがスタートしスマホの画面に自分の牌がくばられる。見たところ「国士無双」を揃えるのは難しそうだった。そのままスタートしたが中々いい牌も来ず、そのまま終盤にも連れ込んだ。俺が牌を捨てたらすぐに横から声が聞こえてくる。


「よっしゃ!ロン」


俺が捨てた牌で上がられてしまったようだ。


「星空捨てる牌は考えろよ〜」


煽るように言ってくる。


「ミスって捨ててしまったんだよ」


取り繕って言うが心の中では……


「どれ捨てるのがいいかとかわかんねーんだよー」


って叫んでいた。

その後も全然上がれなく、最終局になってしまった。自分の持ち点もギリギリで4位、3位とも8000点以上も離れている。1位との差は役40000点も離れていた。


「あれ〜せーくんもしかして麻雀初心者?」


1位の胡桃があおってくる。


「手牌が悪いんだよ!」


すみません本当は初心者です!


「星空くん頑張らないと荷物持ちだよ」


2位の月奏も心配に見せかけた煽りをかましてくる。


「安心して3位にはなるよ」


すみません3位になれる自信すら全くありません!


「まぁ最下位は星空かな」


3位の蒴も余裕そうに話してくる。


「絶対あがって抜いてやる!」


すみません。調子乗ってすみません。


最終局のオーラスが始まった。

手牌が配られるとそこで奇跡は起こった。

非常に手牌がよく後3つ揃えば「国士無双」が完成する手牌だった。最後の最後で見せる所を見ると俺の配信者気質が出たのかもしれない。

その後2枚揃い後1枚で上がれる状態になったが後1枚が中々でずに流局まで後3手というところまで来た。全員後1枚で上がれるという所だった。とても熱い戦いだ。そして俺のターンが来て牌が配られる。確認するとそこには最後の欲しい牌があり画面に「ロン」のアイコンが表示される。


「ロン!国士無双!」


俺は少し大きな声を上げて言う。


「せーくんすご〜」

「国士無双なんて初めてみたよ」

「あー星空!やめてくれ〜」


点数は32000点で月奏を超えて2位になった。


「それじゃ今日1日荷物持ちよろしくね」

「くそ〜!」


隣で蒴は悔しそうな顔を浮かべていた。

外を見てみると看板に「京都」と書かれていた。もう少しで目的地に到着だ。


最終結果


1位 胡桃  40600点

2位 星空  30500点

3位 月奏  28000点

4位 蒴   8000点

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