第36話 「遠足」それはお近づき②
今日の授業が終わり、いつものメンバーで校門へ向かう。すると校門の方が少し騒がしかった。
「あの子すごい可愛いな中学生?」
「あのブレザー近くの中学校じゃなかった?」
「おいお前少し話かけてこいよ」
「いやいや無理だろ。てか校門前で待ってるんだから人待ってるんじゃね?」
「こんな可愛い彼女いる人が羨ましすぎる〜」
「なんだなんだ?」
蒴が校門の方を見ようとするが、人が多くて見えない。校門へ近づくとその正体がわかった。
そこにいたのは希空だった。両手でバックを持ち、校門に持たれている。するとこっちを見た希空と目が合う。そして、こっちを向いて手を振ってくる。やめてくれ、周りの人の視線が全部こっちを向いてるんだよ。
「あの子せーくんに向かって手振ってない?もしかして彼女?」
「あれれ?星空いつの間にあんな可愛い子を捕まえてるの?」
胡桃と蒴がニヤニヤしながら聞いてくる。月奏からはジト〜と疑うような視線が飛んでくる。
俺は少しため息を吐くと希空の方へ歩いて行く。希空の前に着くと振り返って話す。
「紹介するよ。俺の妹の希空」
「お兄ちゃんの友達ですか?初めまして妹の希空です。よろしくお願いします。」
希空の笑顔は周りにいる人たちも魅了しそうだ。
すると蒴が俺の首に手を回してくる。
「おいおい、お前の妹こんなに可愛いなんて知らなかったぞ」
「だって言ってないからな」
「写真でしか見たことなかったけど、めっちゃ可愛いじゃん」
続いて胡桃が言う。
「まぁ自慢の妹ですから」
「それで希空ちゃんはどうしてここに?」
月奏が希空に質問する。
「今日はお兄ちゃんと買い物に行くので待っていました」
「仲良しだな」
「まぁ仲良しですから」
「それじゃ邪魔しちゃいけないね。それじゃまた明日ねせーくん」
みんなと別れた後2人で昨日訪れたショッピングモールへ向かう。
「ふぅ〜疲れた〜」
さっきとは違っていつも通りの希空になる。
「お疲れ様。学校とかいつも大変だな」
「そうそういつも大変だよ。たまには労ってよね」
「それじゃなんか食べて帰るか」
「私、海鮮丼食べたーい」
「中々高いのを選んだな」
「いつもご飯作っていて、今日も服選びも手伝ってあげるでしょ」
「はいはい」
ショッピングモールに着き、マップを確認する。
「どこ買うの?」
「それじゃここへ行こうかな」
希空が指をさした所へ向かう。そこは古着屋さんだった。
「こんな所でいいのか?」
「わかってないねせあ兄。例えば……これ!これ見て」
希空が手に取ったのはジーパンだった。
「これ何円だと思う?」
「3000円ぐらい?」
希空はタグをこっちへ見せてくる。
「650円でーす」
「安すぎだろ」
俺が思っていたよりとても安かった。全てがとても安いってわけではないが他の店よりも安かった。
「それじゃ色々服を漁ろう!」
希空が俺に似合いそうな服を何着か選んで全てカゴに入れる。合計で約1万円ぐらいの買い物をした。沢山の服を買うことができた。
「それじゃ次は私の買い物付き合って」
そう言うと俺の手を引っ張っていく。少し恥ずかしいが希空がいつも以上に楽しそうなので、言うことはない。連れて行かれた先は本屋さんだった。そしてカゴを持たされる。
「それじゃついてきて〜」
そう言うと駆け足で角を曲がり本棚に向かう。
ついていくと、希空の両手の上には本が積まれている。するとその本を全てカゴに入れる。
カゴの重さがずしっとふえる。
「おい何冊買うつもりだ?」
「最近本屋さん来てなかったから買えてないのが多いんだよ。気になっている本もあるし」
すると隣の棚に移動する。そしてまた、沢山の本がカゴに入れる。少年漫画から少女漫画まで色々な部類の本が入っている。
「私、次ライトノベル取ってくるね。重かったらここで待っといて」
「ここで待っとくよ。さすがに重い」
希空は、店の奥にあるライトノベルゾーンに向かった。少し待っていたら、後ろから肩をトントンと優しく叩かれる。
「本買いにきたんですか?せあ先輩?あれ、先輩って少女漫画とか読むんですね。あ!別に私は気にしないですよ。好きに読んでください。」
「おい、これは俺のじゃないぞ。希空のだぞ。
ひなも本を買いにきたのか?」
「私は遠足の服を買いにきたついでに少し雑誌を見にきました。そしたら先輩がいたんですよ〜」
「俺も服を買ってて、その後この通り荷物持ちしてるよ」
「まぁお兄ちゃんなんで妹には優しくしないとダメですよ。」
「なるべくしてるよ」
「仲良しで羨ましいですよ。私は1人っ子なので、兄弟で買い物できないんですよ」
「1人っ子だったんだな。少し以外だ。そういえば、紙袋何個も持ってるけど、どんな服買ったんだ?」
ひなの右手に1つ、左手に2つの紙袋を持っている。
「気になりますか?まぁそれは本番のお楽しみですよ。そういえば、1日目の夕方、時間ありますか?確か自由時間ありましたよね?」
「確かにあったな、おそらく暇してると思うよ。」
そう言うと、ひなが笑顔になり、顔を少し近づけてくる。
「それはよかったです。それじゃ一緒にお土産見ません?」
「いいよ。お土産のセンスないし、手伝ってもらうよ。」
「任せて下さいよ〜。お土産マスターのひなちゃんに」
その後少し雑誌しているとライトノベルを抱えた希空が戻ってくる。
「せあ兄手伝って……落としそう」
「持ってきすぎだろ」
いつ下に落ちるか分からない本を上から何冊か取ってカゴに入れる。
「ふぅ〜危なかった。ありがとうせあ兄」
「次からは量考えろよ」
希空が持っていた本を床に置いてあったカゴに入れる。希空は顔を上げて周りを確認する。そしたら違和感に気づく。俺の横にもう1人いることに
「あー!ひなお姉ちゃん久しぶり〜」
「希空ちゃん久しぶり、星空先輩と買い物?」
「そうだよ。って何で先輩読み?」
「私高校1年生なんだ。同じ高校の先輩だからね。」
「え〜〜!そうなんだ」
久しぶりの再会でテンションが上がっている2人、荷物持ち1人、カゴの中には大量の漫画やライトノベル周りから見たら不思議な光景になった。
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