第35話 「遠足」それはお近づき①

「それじゃ3日後の遠足の班決めを始めまーす」


先生の一言でクラス人たちは各々数人のグループに別れていく。星宮高校毎年4月恒例の一泊二日の遠足だ。普通に考えれば一泊二日って遠足なのか?と言う疑問が湧いてくるのだが、教師陣が遠足と言ってるのだから遠足なんだろう。更にこの遠足の面白い所は全学年同じ所へ行くと言うことだ。今回は京都に行くようだ。


席に座っているといつも通り、胡桃と蒴が集まってくる。


「ねぇねぇどこいく?私美味しいの食べたい」 


胡桃がいつも通りの元気な声で言う。


「私は観光スポット巡りしたいかな」

「お、それもあり」

「それじゃ観光スポット巡りしながら食べ歩きするか」

「ナイスアイデアせーくん!」

「いいんじゃない」

「私も賛成」


当日の予定も決まり班分けの紙も先生に提出した。席に戻ってくると胡桃がある提案をした。


「ねぇねぇ今日みんなで買い物行かない?折角の遠足だし、新しい服とか欲しくない?」

「いいんじゃない?私も服見たい」

「星空俺たちも服買いにいくか」

「いいよ。俺外用の服少ないから助かる」

「それじゃ放課後ショッピングモールへレッツゴー!」


今日の授業を終え、みんなでショッピングモールへ向かった。


「今日買った服、遠足当日までのお楽しみにしない。男子と女子どっちがオシャレにカッコよく可愛く着こなせるか勝負!」


ショッピングモールへ着くといきなりの勝負を持ちかけられる。


「いいだろう。その勝負受けてたつ。いくぞ星空」

「お願いします先生」

「おう任せとけ」


俺のファッションセンスは控えめに言っても死んでいる。出かける時は毎回妹にチェックしてもらわないといけないレベルでやばい。


「それじゃ1時間後にここ集合ね。行くよ。るーちゃん」

「うん」


俺たちはそのまま服屋さんへ行った。


「いいか服ってのはな……」


そう言うと色々な服を取っては説明を始める


「〜って感じかな。わかったか?」

「わかった。全部お前に任せる」

「だろうと思ったよ」


店の中を散策して、何着か服を選ぶとカゴに入れ会計を済ます。集合場所に戻ってくると。胡桃と月奏が待っていた。


「悪い少し遅れた」

「いいよいいよ。遠足が楽しみだね」

「だな」

「そういえばこの戦いに景品はあるの?」

「それはね考えてありますそれは当日のお楽しみだね」


自信満々に胡桃が答える。その後は適当に雑談した後解散した。


「ただいま〜」

「お帰りせあ兄。どっか行ってたの?」

「服買いに行ってた」


すると希空が2、3歩後ろへ下がる。


「大丈夫?私と一緒に行かないで変な服買ってない?」

「友達と一緒だったから大丈夫だよ」


荷物を置きリビングのソファーに座る。お茶を淹れてきてくれた希空が隣に座る。


「なんで急に服なんか買いに行ったの?」

「遠足があるんだよ」

「もしかしてあの1泊2日遠足?」

「そうだけど」


すると急に顔を近づけてきて聞いてくる。


「せあ兄明日の放課後時間ある?」

「あるけど…」

「よし、それじゃ明日私と服買いに行こう!」

「え?今買ってきたじゃん」

「だって1着しか買ってないでしょ。1日目、2日目2着いるじゃん。もしかしてせあ兄家にある服で行くつもり?流石に買いに行かないとまずいよ」

「え、今持ってる服気に入ってるのに」

「着すぎてヨレヨレなってるよ。とにかく明日行くよ!」

「……了解」

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