第34話 「意外」それは大胆

右横に3年生の先輩、左横に1年生の後輩更にどっちも美人、美少女、これが俗に言う両手に花と言うやつなのだろう。


「ひなさんは、星空くんとどのような関係で?」


本読みながら小冬音先輩が質問する。

俺以外の人がいる時は少し態度が変わっている。


「そうですね。まぁただの先輩後輩の関係ではないですね」


ページをめくろうとしていた小冬音先輩の手が止まる。


「それではその関係について教えてくれるかしら?」

「それはいえません。誰にも言えない秘密なので」


ひなが笑顔で返す。まぁ「実はV配信者でひなが事務所の先輩です」なんて言える訳がない。


「まぁいいわ。とりあえずただならぬ関係と言う事ね。」

「あ!Hな関係ではないので大丈夫ですよ」

「わかっているわ。もしそんな関係だったら星空くんと友達止めるところだもの。」


俺を挟んで、そんな話をされると流石に気まずくなる。俺は椅子から立ち上がって本を取りに行こうとすると2人に片手ずつ手を取られる。


「あら、どこに行くのかしら?」

「先輩構ってあげますから座っててくださいね」

「……はい」


俺はそのままゆっくりと座る。俺には本を取りに行く資格もないようだ。


「逆に聞くんですけど、白雪先輩と星空先輩ってどんな関係なんですか?」


小冬音先輩は本を読むのを止めて考える


「………私たちは……星空くん、私達ってどんな関係?」


まさかの振りが来た。少し傷つきながらも考える。


「そうですね、図書室で会う先輩と後輩ですかね?てか1年も図書室で会ってるのに何も思いつかなかったんですか?」

「嘘よ。星空くんに一応聞いておきたかっただけ。それより私達って友達じゃないの?1年間も付き合いがあるのに?」

「じゃあさっきそれを言ってくださいよ!先輩って実はめんどくさい性格してます?」

「あら、今頃気づいたの」


2人で少し盛り上がっていたら、後ろから少し不満そうなひなが話す。


「2人はとても仲良しなんですね。もしかしてこの図書室で変なことしてないですよね」


「してねーよ」


俺は否定するが小冬音先輩は違った。顔を少し赤くして固まっている。


「あれれ?白雪先輩どうしたんですか」

「なんでもないわよ」

「流石にこれじゃごまかせないですよ」

「小冬音先輩何したんですか?」


固まっていた口が動き出す


「星空くんが図書室に来て、すぐ寝てしまった時あったわよね。あの時、君の手を勝手に繋いだのと、ほっぺをツンツンしたりしたのよ。ごめんなさい」


少しの静寂が流れる。

そして恐らくひなとは思ったのだろう。「可愛い〜」と。


「まぁそのぐらいなら大丈夫ですよ。星空先輩はそれぐらいじゃなんとも思わないですよ」

「そ、そうですよ。大丈夫です。」


まぁもし起きていたら恥ずかしかったと思う。

そして、小冬音先輩がそんな行動をするとは思っていなかった。意外に大胆なところもあるようだ。


「白雪先輩って意外と可愛いところあるんですね。それじゃそろそろチャイムなるんで失礼します。」


そう言うとひなは図書室を出て行った。

そしてまた2人になり沈黙が流れる。

すると小冬音先輩が話す。


「本当にごめんなさい。これからはしないから」


本当に反省しているようだ。これくらいのことでしっかり謝ってくるのだから。根が真面目なのだろう。


「ほっぺ触るぐらいならいいですよ。まぁ事前に言ってもらえれば。後早くいつものテンションに戻ってください。話にくいです。」


「本当に?ありがとう。これからはちゃんと言うわ。」


小冬音先輩の顔に笑顔が戻ってくる。昼休みが終わるチャイムがなる。後5分で5時間目の授業が始まってしまう。


「ねぇ、このままここで5時間目の授業サボっていく?今なら50分私の太もも貸してあげるわよ。勿論素足も可よ」


急な提案にびっくりし、顔を少し赤くしてしまう。


「小冬音先輩、真面目なんですからダメでしょう。膝枕はまたの機会に取っておきます」

「冗談よ。それじゃまたの機会に膝枕してあげるわよ」


2人は図書室を出ると鍵を閉め、そのまま各々教室へ戻った。

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