第33話 「図書室」それは静寂

昼休み、俺は今1人で廊下を歩いている。最近はいつものメンバーで喋っていることが多いが、今日はみんな用事があるみたいだ。


廊下を歩いて学校の端にある図書室へ向かっている。図書室の立地が悪いため、図書室にはほとんど人が来ない。しかし、本の品揃えは完璧だ。沢山のライトノベルや漫画などが置いてある。この事がもっと沢山の人が知ったら図書室へ来る人は多少増える思う。


図書室に着きドアを開けると、カウンターに人が座っていた。整っている顔、肩より少し下ぐらいまで伸びている黒髪、丸眼鏡の中に見える綺麗な瞳でこっちを見てくる。


「あら、星空くんじゃない。いらっしゃい」

「こんにちは小冬音ことね先輩」


白雪小冬音しらゆきことね

3年生で、図書委員会の委員長。成績優秀で、学校ではあまり目立っていなが、俺から見た小冬音先輩は美人だ。


小冬音先輩の手元にはとても難しいそうな本がある。


「なに読んでいるんですか?」

「『地球温暖化がらこのまま進むと、世界はどうなるのか』って本を読んでいるのよ」

「……先輩、本のジャケット外して下さい」


少し間が空くと、小冬音先輩は静かに本のジャケットを外す。ジャケットが外れ、中から出てきたのは、全く内容の違うライトノベルだった。


「私は難しい本を読んでいるで周りには通っているから仕方ないのよ。まぁ、まだあなたにしかバレてないけどね」


小さく笑みを浮かべると、小冬音先輩は1つ奥の椅子へ移動し、手の仕草で座っていいよと言ってくる。


俺は椅子に座ると持参した本を取り出す。


「そういえば、最近何してたの?1年生の頃はほぼ毎日来てくれてたのに、私少し寂しかったのよ」

「急にデレるのやめてもらっていいですか?最近は友達とご飯食べたり、話したりしてたので、行く暇なかったんですよ」

すると驚いた顔でこっちを見てくる。

「せ、せあくんも陽のものに……私を置いていくなんて……ひどい」

「話したぐらいで陽にはなれませんよ!」


こんなにノリがいいのに教室ではとても静からしい。


本を読み始めると2人とも静かになる。本を読んでくると、ついあくびが出てしまう。最近は色々な事があって、外に出る機会も多いし、配信では夜遅くまで起きているため、睡眠時間が短い。


「あら眠たいの?」

「まぁ、そうですね」

「別に寝てもいいわよ。ついでに膝も貸してあげる」

「そうですかありがとうございます。それでは……??へぇっ!膝まくら?!」


急な言葉に高い声が出る。


「あら、もしかして私じゃ不満?あ!もしかしてスカートの上からじゃなくて、素足がよかった?」


そう言うと膝まであったスカートを短くして、綺麗な太ももを見せてくる。


「スカートの上からで大丈夫です!」

「あら残念。それじゃどうぞ」

スカートを元に戻すと、ポンポンと太ももを叩く

「さぁいらっしゃい」


俺はエサに釣られた猫のように小冬音先輩に近づいていく。倒れかかろとした瞬間にドアが開く。俺はすぐに倒れかかっていた体を起こす。


「あれ、星空先輩?ここで何してるんですか?」

「ひなこそこんな所に用事?」

「疲れたので、静かな所来たかったんですよ。先輩は図書委員会じゃなかったですよね?」

「暇だったから、来たんだよ。ここは品揃えがいいからね」

「なるほど、それで隣の方は?」

「図書委員会の委員長、白雪小冬音さん。」

「よろしくお願いします。白雪先輩」


小冬音先輩は小さく会釈したらまた本を読み出した。

ひなは椅子を持ってくると俺の隣に椅子を置いて座る。


昼休み誰もいない図書室。両手に花と言う。情報量の多い事態になってしまった。

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