第26話 「ゲーセン」それは闘い

私、来栖ひなは如月月奏と話して1つ気になっている事がある。


「絶対星空くんのことを意識してるじゃん」


所属先の同期ってだけでなく、クラスメイトだったらなんか運命的な事考えてしまうだろうか。これからのあの2人を見ていたらとても面白い気がする。そんな事を考えていたら、胸がキュッと縮まる感覚がある。


「私、星空くんと月奏が仲良くなるのを嫌がっている?」


これはいわゆる嫉妬言うやつなのだろうか。今まで嫉妬なんてしたことなかったから新鮮だけど、嬉しくはなかった。


「もしかして私星空くんのこと意識しちゃってる?……いや私達配信者なんだからそんなことしたら配信者失格だよ〜」


けどやはり、同じクラスで距離が近い月奏を羨ましいと思う私がいた。


「私も星空くんと同じ年に生まれたかったな」


私は気を紛らわせるためにまた歌いだした。


俺、八神星空は月奏が帰ってくるまでの間の約40分永遠に蒴と一緒に歌っていた。ずっと歌っていたおかげで、音程の取り方が上手くなった気がする。しかし歌いすぎて頭が痛い。

月奏が帰ってくると、丁度終了の時間だったので部屋を後にする。


「ごめんね。最後私いなくて」

「大丈夫だよー。さーくんとせーくんがずっと歌ってくれてたから」

「おかげで疲れたし、喉が痛い。」

「頭も痛いからちょっと休憩したい」 


月奏はまだ元気そうで、胡桃が元気が有り余っているようだ。


「それなら、ゲーセンで遊ぼう!」

「「おい胡桃、話聞いてた?」」


胡桃の急な提案に俺と蒴が少し驚く。

少しベンチで休憩した後、結局ゲームセンターに行くことになった。着くとメダルゲームしてる人やクレンゲームしている人。音ゲーやレースゲーしてる人様々だった。


「これみんなで勝負しよ!最下位の人ここのゲームで払った400円払ってもらうよ!」


見ると、有名な音ゲーだった。上から落ちてくるノーツをタイミングよいところでボタンを押すという単純なゲームだ。しかし俺はこのゲームを何回かプレイした事がある。つまり負ける事はない。


「いいよ、勝負しよか」

「お?やる気だねせーくん」

「ゲームは俺の分野だからね」

そういうと月奏の眉が少し動く

「私も頑張るね」

「流石に胡桃には勝てるか」

「さーくん!?かかってこいやー」


ゲーム機4台縦並びに一つずつ座る。俺は1番端だった。


「1人一曲ずつ選んで4曲勝負ね。採点基準はミスの数。同率最下位が同率の場合は延長戦

それじゃ、行ってみよう!」


そして蒴、胡桃はカラオケでも歌った曲を選択する。全員難易度はexpertだった。結果は俺と月奏が1回ずつ勝った。その後俺はスマホの音ゲーの最高難易度の曲を選んだ。expertはクリアさえ難しいと言われている。俺はそれを最高難易度をフルコンしている。


蒴と胡桃は難しいとは知らないのでそのままexpertを選択する。俺は最高難易度のmasterを選んだが月奏もmasterを選択していた。

隣に座っている月奏がニヤリと笑う。


「私も音ゲー得意なんだ」


知らなかった。まさか月奏も音ゲーが上手いとは……始まったらすぐに沢山のノーツが並んで落ちてくる。それを1つ1つ丁寧に捌いていく。その後ノーツが階段のように落ちてくる。それも丁寧に捌いていく。そのまま最後まで難しい譜面を捌いてフルコンする。隣を見ると月奏もフルコンだった。


「…やるな」

「まぁこれぐらい余裕だよ」


余裕の笑みを浮かべながら月奏は最後の4曲目を選択する。選択したのはこの音ゲーで1番難しいと言われている曲だった。expertをクリアできるだけで凄いと言われるほどだ。それを月奏は躊躇う事なくmasterを選択する。

俺は正直迷った。流石にexpertを選択しようと思ったが月奏がこっちを見て笑っているのを見てmasterを選択する。


「私、フルコンするよ」


月奏がそういうと返事をする暇なく曲が始まる

始まると最初からノーツだらけの地獄だった。

終わる頃までその勢いは止まらず15ミスになってしまう。月奏の画面を見てみるとフルコンボと表示されている。音ゲー得意とかではなくて、ガチ勢だ。


「化け物かよ」

「女の子に化け物は失礼だよ」


更に隣の蒴と胡桃を確認してみる。


「蒴、胡桃、何ミスした?」

「私、合計186ミス」

「俺、合計197ミス。てか初心者には手加減しろよ」

「hard選べばよかったじゃん」

「プライドが許さなかったんだよ」


そういうと財布から百円玉を2枚取り出す。


「お前と月奏の分。渡しといて」


月奏にお金を渡しに行く


「ありがとう。また今度勝負しようね」

「遠慮しとくよ」


俺は笑顔で返事した。

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