第24話 「質問」それは不安

後ろにはドリンクバー、前には月奏がいる。


「星空くんが歌っている時のスマホの画面表向きに置いてたじゃん。たまたま通知見えちゃってさ…そしたらひなさんから写真送られてて、その写真がここだったんだよ。」


俺はスマホを確認する。確かにひな先輩から写真が送られてきていた。流石に隠しきれないと思ったので、正直に話すことにした。


「トイレから出たらばったり1人カラオケ中のひながいてそのまま連れて行かれてん。その時に撮った写真。嘘ついてごめん。」


「ふーん。まぁ仕方ないか。あの人強引な所あるし、……それで何してたの?」


詰め寄ってきてジト目でみてくる。


「…何もしてません。ただ一曲聞いて写真撮っただけです」


思わず敬語を使ってしまう。


「本当に?」


更に詰め寄ってくる。すいません本当に何もしてないです。


「私は星空先輩に何もしてないですよ」


そこにコップを持ったひながくる。ドリンクを取りにきたようだ。俺は更にややこしい展開になる気がした。


「こんにちは月奏先輩。」


ひなは挨拶をしながらこっちへ向かってくる。


「こんにちはひなさん。何しにここに?」

「ここにきたらドリンク取りにきた以外に何があるんですか?そしたら私の後輩がピンチだったから助け舟を出しただけですよ」

「ふーんそうですか。勝手に私の同期を部屋に連れ込んでいる癖に」

「私のじゃないでしょ。みんなの星空先輩ですよ。」

「それじゃあなたのせあくんでもないですよ」


2人は睨みあっている。ここに他の人がきたら気まずくて戻っていきそうだ。


「とりあえず2人とも落ち着いて。他の人きたら迷惑だから」

「そうですね。それはダメですね。それじゃ私の部屋来ます?」

「そうしようかな。星空くんは先に部屋に戻っておいて、後適当な言い訳もよろしく」

「お、おう」

「それでは先輩また今度」

「お、おう」


俺はとりあえず自分達の部屋に戻る。戻ると蒴と胡桃が一緒にJpopを歌っていた。歌い終わると聞いてくる。


「お帰りせーくん。おそかったね。何してたの?」

「ちょっとトラブルがあってな。月奏は知り合いと話してる」

「そっか。それじゃ時間もそんなないしラストスパート行くよー!」


胡桃が盛り上がっている。けど蒴はグッタリとしている。


「蒴どうした?元気ないな」

「俺、こんな連続で歌うとは思ってなくて……普通に疲れた」

「そうか後は俺に任せろ」

「おう。まかせた…ぜ」

「2人とも何してるの。せーくんは早くマイク持って!一緒に歌うよ」

「よっしゃ!音痴だがやってやるよ」


そう言うと2人でこれから休みなく歌うことになった。今頃向こうの2人は何をしているのだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る