第23話 「カラオケ」それは不安
少し暗くて狭いカラオケボックス男女2人きりそんな環境に今俺はいる。緊張するしドキドキもする。しかしその相手は、楽しそうに歌っている。それもとても上手。とにかく上手い。歌番組に出ていてもおかしくない。それが目の前で歌っている。歌い終わると俺の隣に座ってくる。
「どうですかー?上手いでしょ」
「すごい上手いね。流石としか言えない」
「どうです?先輩も一曲歌っていきます?」
「やめとくよ早く戻らないと怪しまれちゃうし」
不意に顔を近づけて聞いてくるのでドキッとして顔が少し赤くなる。するとひなはニヤっと笑う
「先輩何照れてるんですか?ただ顔近づけただけじゃないですか〜?」
「て、照れてないし」
「それじゃ先輩もしかしてHな事考えてます?」
「考えてないよ!」
「そうですか。まぁそう言う事にしておきますよ。先輩も一曲歌っていきます?」
「やめとくよ。遅くなったら怪しまれるし」
「そうなんですか。まぁ、美少女と2人でいました。なんて言えませんよね。」
「そういうこと」
「あ!今私のこと美少女認定した!」
急に大きな声で言ってくる。ここで急に否定しても良くない気がした。
「ひなは誰が見ても美少女に見えるよ」
急な言葉にひなは少し固まり、顔を赤くする。そして誤魔化すように髪を指でクルクルと回す。
「そ、そうですか。ありがとうございます」
顔を近づけて聞いてくる。不意な言葉に戸惑うが流されてはいけない。
「何もしないよ。後、そう言う事は簡単に言うなよ。勘違いする人いるぞ。」
「わかってますって。先輩以外には言いませんよ」
「俺にもダメだよ」
「え、ケチ」
少し不満そうにしている。
「それじゃまたな」
「あ!待ってください」
俺の手を引っ張って引き止める。
「どうした?」
「1枚写真撮りましょう」
「いいよ。写真好きやな」
「写真っていいですよ思い出を切り取って永遠に保存できるんですよ。それなら忘れる事はないし、寂しい時はそれを見て元気になれるんですよ。それじゃとりますよ」
そういうと近くに寄ってくる。
「そうだ折角なんでマイク持ちましょう」
マイクを渡してくる。
「それじゃ取りますよ」
顔と顔が近づく、体も俺の3cm先だ。
スマホの画面が光り写真を撮る。
「今回もいい写真撮れましたよ。」
そういうと写真を見せてくる。
「そうかそれはよかった」
「それじゃ後で送っておきますね」
「ありがとう。それじゃ俺は戻るね。怪しまれたら嫌だし」
「そうですね。それじゃさよなら〜」
「またな」
大きく手を振ってきたので俺も手を振り部屋をあとにする。しかしさっきは危なかった。とても緊張していた。
自分達の部屋へ戻るとみんなが歌う歌を決めているところだった。
「せーくん遅ーい」
「調子悪かったたんだよ」
「星空長い戦いだったな」
「あぁとても長い戦いだったよ」
あんな状況だったのでいつもの調子ではないしとても長く感じた。決して嘘ではない。
「それじゃ歌おう!」
月奏のテンションが少し高い気がする。カラオケが好きなのだろうか。
「それじゃ私が1番目行きまーす。せーくんは歌を選んどいて」
そう言うと俺にタブレットを渡して歌い始めた。有名なJpopだった。更に普通に上手い。最近の子はみんな歌が上手いのだろうか
「それじゃ2番手仲咲蒴行きます!」
蒴は有名なボカロを歌っている。高音や低音が多いのに上手に歌っている。
「3番手いきます!」
テンションの高い月奏が歌う。Jpopだが英語が入っているため少し歌うのが難しい曲なのに上手に歌っている。
「4番手星空いきます」
自信はないがカラオケに来た以上歌うしかない。ポケットに入っているスマホを机に置き立ち上がり前に出る。俺はJpopを選んだ。俺が昔から聞いている歌だ。歌い終わって席に戻る。自分的には良く歌えた気がする。
「せーくん。よ、よかったよ」
「まぁまぁかな」
「……せあくん音程外れているよ」
みんなの微妙な反応に表情に少し落ち込む。本格的に歌ってみたが心配になってきた。スマホをポケットに戻し、コップを持って部屋を出る
「ドリンクを取りに行ってくる」
「あ、私も行くよ」
俺の次に月奏が立ち上がり部屋を後にする。
ドリンクバーに着くと月奏が話しかけてくる。
「ねぇせあくん。トイレ行った後何してたの?」
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