第22話 「2人登校」それは疑惑
朝日が水面に反射し桜は散ってまばらに咲いてる。そんな中俺は女の子と2人っきりで学校に登校している。こんなことは俺にとっては非日常だ。
「なぁ月奏。どうして俺と一緒に登校しようと思ったんだ?」
「せあくん、青春したいって言ってたじゃん。自分で言うのもあれだけど容姿には自信あるよ。」
「でも他の人とかに見られたら誤解されるかもよ」
「別にいいよ。他人は他人だよ。私が誰と仲良くしてても私の勝手だよ。更に一緒に優勝目指すのだからお互いのこと知らないとダメじゃん。」
「なるほど。それならなんで昨日あんなコメントをしたんだ?」
すると月奏はゆっくりと目を逸らす。
「う、歌上手いのか気になって……」
「俺は歌が苦手なんだよ!」
「でも何事にも挑戦じゃん」
「それはそうだけど…」
「頑張って!」
片目ウィンクで可愛らしく言ってくる。
そのままゲームの話などをしていると学校へ着き、教室へ向かう。席に着くと胡桃と蒴がいつも通り俺の席へ来る。
「おはよう星空。朝から女の子と登校とはいいご身分だな」
「せーくんいつの間に仲良くなっていたの?」
蒴はニヤニヤしていたが胡桃はすこし不機嫌そうだった。
「たまたま通る道が一緒だったんだよ」
「まぁそういうことにしておくよ」
蒴が仕方無さそうに言ってくる。するとすぐに胡桃が話しかけてくる。
「ねぇねぇせーくん。夜廻様が歌ってみた出すんだよ。楽しみだな〜。」
一瞬ドキッとしたが平然を装い話す。
「そうだな。歌上手いのかな?」
「自分では下手って言ってたけど絶対上手だよ」
「そ、そうか。楽しみだな」
「うん!」
これは本気で練習しないといけない気がした。
それを見ていた蒴が提案してきた。
「それじゃ今日の放課後カラオケに行こう。久しぶりに歌いたいし」
蒴の提案に1番早く食いついたのは月奏だった。
「私賛成!」
「私も!」
それに続いて胡桃も賛成する。
「それじゃ星空はどうする?」
日本人は周りの意見に合わせる事が多いと言うのを何かで見聞きした気がする。しかし俺にそんな勇気はない。
「それじゃ俺も賛成……」
「決まりだな」
放課後になり、近くのカラオケに向かう。
「さて何時間にする?」
蒴がみんなに聞く。放課後なので今は4時30分だ。休日ならフリータイム一択だが、今回は時間もそんなにないので長くて2時間ぐらいだろう。
「2時間ぐらいでいいんじゃない?」
「他に意見は?」
「私賛成」
「私も賛成」
胡桃、月奏も賛成ということで2時間になった。
部屋に入り荷物を置きみんなでドリンクバーを取りに行くことになった。
「みんな何飲む?私コーラ!」
胡桃がコーラのボタンを押す。
「俺もコーラ」
「俺はサイダーかな」
俺と蒴もそれぞれドリンクをコップに注ぐ。
「私はオレンジジュースかな」
炭酸を飲めない月奏はさらっとオレンジジュースをコップへ注ぐ。
「俺ちょっとトイレ行ってくる。蒴ドリンク頼んでいいか?」
「いいぞ」
俺はドリンクを渡し、トイレへ向かう。終えた後トイレから出ると隣の女子トイレから以外な人物が出てきた。
「あれー星空先輩じゃないですか。こんなところで何してるんですか?あ!もしかして歌の練習ですか〜?」
後輩であり先輩の来栖ひながいた。
「友達とカラオケにきただけだよ。決してそう言う訳ではないよ。ひなも友達とカラオケ?」
「私は1人ですね。たまに発声練習しとかないと声出せなくなるんですよねー」
1人でカラオケという高難易度のことをたまにしているという。普通にすごいと思う。
すると閃いたように提案してくる。
「そうだ。よければ私の歌う歌一曲聞いていきます?私結構上手いですよ」
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