第21話 「謝罪」それは罰ゲーム
「皆さんこんばんは夜廻せあです」
俺はいつも通りに配信を始める。しかしいつもと違って緊張している。なぜかというと
『謝罪配信きた〜!』
『楽しみだー!』
『せあくんの謝る姿初めてだ!』
昨日、配信するはずだったのに寝過ごしたせいで初の謝罪配信だからだ。
「えーと、とりあえず説明させて頂きます。とりあえず最近忙しくて、バタバタしてまして、
家帰って配信準備してたら寝てしました。まぁこんなの言い訳にしか聞こえないね」
俺は大きく息を吸った
「この度はすいませんでした。これからはないように気をつけます」
『最近頑張ってるからしゃーない』
『許すよ〜』
『人間そういう時もあるよ』
「リスナーのみんなありがとう」
みんな許してくれたと思ったら1つのコメントが飛んでくる。見覚えのあるアイコンと名前だ。椿るのんだった。
『罰ゲームぐらいあってもいいんじゃない』
地獄の一言だった。その一言でコメント欄は加速していく。
『るのんちゃんだー』
『今ミラー配信してるね』
『本当だ!』
『罰ゲームぐらいあってもいいかも』
『罰ゲーム期待』
「おいるのん何言ってんだ。罰ゲームする流れになってんぞ!」
『けど、寝てしまった君が悪いよ』
「それはそうだけど……罰ゲームするか」
この流れで反対するのは配信者として良くないと思ったので渋々覚悟をきめた。
「それはそうとして、何しよか?」
『罰ゲームきた〜』
『何しよかな〜』
コメント欄は大盛り上がりだ。止まることを知らないのか沢山のコメントが流れる
『歌ってみた出して!』
「歌ってみた」すでにリリースされている曲や、ボーカロイド曲をカバーすること。歌が上手いその1つの投稿で人気が増えたりする。
るのんのコメントでコメント欄が一瞬止まる。そしてすごい勢いで流れだす。
『それありー』
『るのんさんないすー』
『せあくんの歌ってみた聞いてみたい〜』
『せあくん歌上手いの?』
「おい何言ってんだ。俺が歌ってみた投稿したらファン減るって。俺すごく音痴だよ。人生でカラオケ行ったの片手で数えれるぞ」
必死で抵抗するがコメント欄はゆるしてくれなかった。
「わかったよ。投稿すればいいんでしょ。曲は俺が決めるから文句言うなよ。よしやる事終わったしHero’s Legendやるぞ!」
ヤケクソになった俺はそのままHero’s Legendで無双し配信を終了した。
「せあ兄おつかれ。歌ってみた頑張ってね」
「それを言うな。本当に俺音痴なんだよ。そういえば希空って歌上手いの?」
「普通じゃないかな友達付き合いでたまに行くけど80点後半ぐらいかな」
「それは上手い部類です。我が妹ながら完璧かよ」
「まぁ私できる女なので」
希空が自慢気に言ってくる。
「はいはい。それじゃお休み」
「お休み〜せあ兄」
次の日いつも通り時間に家を出ていつも通り河川敷の道を通る。昨日座っていたベンチが見たと思ったら、そこに見覚えのあるミルキーゴールドのロングヘアが見えた。目が合うと大きく手を振ってくる。月奏だ。俺はベンチの近くへ向かう。
「おはよう月奏。どうしたんだ?」
「おはようせあくん。ねぇ、」
ベンチに座ったまま少し俺を見上げながら言う。
「一緒に登校しない?」
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