第17話 「遭遇」それは必然


その後もいくつかの種目を終え残り2種目となった。50メートル走と20メートルシャトルランだ。最初は50メートル走みたいだ。


「よっしゃ星空50メートル勝負しようぜ」

「はぁ、ちょっと待てよ今の蒴と勝負しても勝てねぇーよ」

「まぁいいだろ俺知ってるぞ。去年お前6秒台だろ」

「はぁなんで知ってるの?」

「なんでって同じクラスだっただろ」

「ちっ見られてたか。しゃーないな走ってやるよ」

「オッシャー!やるからには本気だぞ」


蒴が子供のようにはしゃいでいる。仕方ない俺も久しぶりに本気出しますか。


結果

仲咲 蒴  6秒43

八神 星空 7秒1


「おい星空お前衰えたか?」

「そりゃそうでしょこの1年間何してたと思ってんだ。」

「よし、これから暇な時河川敷走るぞ」

「え〜」

「え〜じゃない。体力をつけることはお前がこの1年間取り組んでいる事にも繋がるだろう負けたんだから記録用紙とってこい」

「へいへーい」


走り終わり疲れてる中係の人に記録用紙をもらいにいく。もらおうとしたら見覚えのある人がいた。


「あれ〜星空先輩じゃないですか〜」


長い赤髪を後ろで束ねている。俺の後輩で事務所の先輩来栖ひなだ。


「記録用紙書いてくれた?」

「はい勿論。先輩7秒1って結構速いんですね。」

「まぁ去年より落ちたけどな」

「と言うことは去年は6秒台だったんですか?」

「そう言うこと。てかはよ記録用紙渡して」

「あ、すいませんこれ記録用紙です。てか先輩男子女子合計4人出回るって陽キャですか?」

「いや、友達と幼馴染と同期だよ」

「同期?てことはこの如月月奏って…」

「そう。椿るのん」

「おーなんか漫画みたいですね。バイト先で知り合った人がまさかのクラスメイト的な」

「まぁそんな感じ。あ、記録用紙ありがとう」

「いえいえ。次の種目なんですか?」

「シャトルランだな」

「そうなんですね。それじゃ一緒に頑張りましょうね星空先輩」

「……おう?」


意味深な言葉を言われ俺はみんなの所へ戻った。 


「せーくんおそーい。何してたの?」


胡桃が大きい声でよんでいる


「ごめんごめん。少し話してた」

「あの可愛い子と?あの子知り合いなの?」

「え〜と…そう。昨日学校で道に迷っていたから道教えてたの。この学校作り独特だし。」

「へー?まぁいいや。とりあえずラスト種目行くよ。るーちゃん」

「う、うん」


胡桃に言われ月奏が引っ張られていく

そして小声で蒴に聞かれる。

「どうだった後輩であり、先輩の子は?」

「どこでもあの人はあの人だなと思ったよ」


体育館につきラスト種目20メートルシャトルランのエリアへ向かう。


スタートラインへたちみんな一列に並ぶ

胡桃、蒴、月奏、俺の順で並んでいるのだが俺の逆隣には見覚えのある人がいる。


「それじゃ一緒に頑張りましょうね。先輩」

「なんでここにいるの?ひな」


俺が名前で呼ぶと隣の月奏の繭が少し動く。


「私あれで仕事終わりだったんできました。」

「それはいいけどなんで俺の隣?」

「やっぱシャトランは話しながらでしょ」

「俺話ながらだと50回いけるかわからんぞ」

「じゃあ50回までしゃべりましょう」


するとひなは結んでいた髪を解きもう一度結び直す。


「私が勝ったらジュース奢ってくださいよ〜」

「いいぞ。それじゃ俺が勝ったらどうする」

「そうですね〜。それじゃ先輩が勝ったらなんでも1つ言うことを聞きますよ」

「…なんでもか?」

「なんでもです」


なんでもということだからなんでもなんだろう。しかしなんでもとは言い過ぎではないだろうか。


そんな話をしていたら10秒前のブザーがなる。


「それじゃ先輩頑張りましょうね。それと私、最高記録95回なんで勝ちはもらいましたよ」

「おい聞いてないぞ。俺に勝ち目ないじゃないか」

「言ってないですもん。私勝てる勝負しかしないので」


直後開始のブザーがなる。そして勝ち目のないシャトルランが始まった。

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