第13話 「約束」それは繋がり
とりあえず1つ聞いていいですか?」
机の向かいに座っている陽奈先輩に質問する。
「どうしたのせあくん?」
「……陽奈先輩って年下だったんですね」
「……そうなんだよ〜。席に戻ろうとしたらせあくんとばったりと目が合ったんだよ。思わず笑いそうになったよ〜」
つい数時間に行われた星宮高校入学式にて新入生代表挨拶をしていたのが、目の前にいる陽奈先輩だった。
「それにしてもすごいですね。あれって確か入試テストの順位1位の人がするんじゃないでしたっけ?」
「そうだよ〜。まぁ私は天才だからね〜。高2の範囲までは予習済みだよ〜。」
「……え?まじっすか」
「まじだよ〜。教科書なんて1回見れば覚えれるよ」
「そう言うのは本の中だけにしてください」
陽奈先輩が笑っているのを見ながら机に置いてあるお茶を飲む。
「それでどうしますかこの関係?」
「なんか、この関係って言う言葉Hじゃない」
「俺は真面目な話をしてるんですよ」
「そんな必死に否定して〜。まさかせあくん本当に私とそんな関係になりたいの?」
陽奈先輩わざと胸を隠す仕草をする。
陽奈先輩は可愛いしスタイルも魅力的だ。ドキドキしたがこんなことで乗せられたら配信者としてダメな気がした。
「からかうのもよしでください。俺帰りますよ」
「ごめんごめん面白くてつい」
片目をつぶり手を合わせて謝ってくる。いちいち仕草が可愛いので大変だ。
「話戻しますよ。先輩が後輩で後輩が先輩だった事件どうしますか?」
「なんか秘密の恋みたいでワクワクするね」
「帰りますよ」
「って言うのは冗談で〜。えっととりあえずせあくんが配信者だって知ってる人はいるの?」
「1人いますね。」
「それじゃ私の事も伝えて置いてよ。それ以外にはとことん隠す方向でいこう〜。約束ね」
「了解です」
陽奈先輩は頬杖をつきながら話し続ける。
「後学校とかは帰り道に話す時は私が敬語。事務所内と事務所の帰りがせあくんが敬語でどう?」
「いいんじゃないですか。面白そうだし」
「それじゃそう言うとことで私とせあくん2人の秘密の関係だね」
「先輩秘密の関係って言葉の方がHじゃないですか?」
「言われてみればそうだね〜。そうだ!指切りげんまんしよーよ」
「え、急ですね。どうしてですか?」
「この約束をより強固なものにしたいからね〜」
「まぁいいですけど」
「やった!それじゃ小指出して〜」
陽奈先輩との小指と俺の小指を、結ぶ。先輩の小指は少し小さくて可愛らしかった。
「せあくん照れてる?まぁ仕方ないよね小指だけだけど手を繋いでるもんね」
「気のせいじゃないですか」
「そうかな〜?」
ニヤついてこっちを見つめてくる。
「まぁそう言うことにしといてあげるよ〜。それじゃいくよせーの」
「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます指切った」
普通なら最後の一言でてを話すのだ、力を入れられて話す事ができなかった。
「どうしたんですか?」
「記念に写真撮ろうと思って」
「いいですけど締まり悪いですね。」
「そうだね〜」
写真撮った後雑談を始めた。
「そういえば私、本名がひなで活動名が陽奈だからね。間違えないでね。」
「なら俺も本名星空で活動名せあだから気をつけてください」
「わかった〜」
「後、1つお願い聞いてもらっていいですか?」
「いいよ。どうしたの〜?」
「ワックスの付け方教えてもらっていいですか?」
「いいよ〜。けど急にどうしたの?クラスに好きな人でもいた?」
「残念ながら前好きな人がいたの小学生の頃ですよ」
「そうか〜。まぁいいよ。けどその前に昼ご飯行かない?私お腹空いて倒れそう」
「そうですね。もう昼過ぎてますね。どこ行きます?」
「駅前のラーメン屋いこう!」
「女の子もラーメン屋行くんですね」
「せあくんは女の子をなんだと思ってるの」
少し歩いて駅前のラーメン屋さんに向かった。
平日の昼過ぎだったので人の通りはそれほど多くなかった。
「ラーメン屋到着〜」
店員さんに案内された席に座る。
「せあくんはこのお店来たことある?」
「初めてです」
「ここはね、あっさり、こってり、夏祭り、3つの味と細麺、太麺、のふたつが選べるよ」
「夏祭りの味ってなんですか?」
「う〜ん何か夏祭りっぽい感じだよ」
「なるほど。わかりません」
「まぁ、食べて見たら?美味しいよ」
「それじゃチャーシューメン夏祭り味にします」
「それじゃ注文するよ。すいませーん」
注文した後たわいのない話をしていたら注文したラーメンが来た。
「陽奈先輩は何頼んだんですか?」
「私は煮卵ラーメンこってり味だよ」
「なかなかヘビーですね」
「私太らない体質なんだよ〜」
スタイル完璧、入試成績1位、太らない体質、なんだろうこの完璧超人。
「それじゃ食べよう〜」
「「いただきます」」
まず、スプーンでスープをすする。夏祭りの味はあっさり<夏祭り<こってりて感じだ。
「せあくんの中チャーシューメン美味しそうだね。一口交換しない?」
「いいですよ」
すると陽奈先輩はラーメンの器ごと渡してくる。
「自分の箸とってくださいよ」
「え、なんでせあくんが食べれないじゃん」
「でも陽奈先輩の箸ですよ」
「でもそれで食べないと味混じるよ」
「ほとんど変わらないですよ」
「私は嫌なの〜」
「……わかりましたよ」
俺もラーメンの器を渡して交換する。そして、俺の使っていた箸をとり、ラーメンをすくい上げそのままゆっくりと小さな口へ運ばれて行く。先程まで俺が使っていた箸があんな美少女の口に入ると思うとなんかドキドキしていた。
「どうしたの食べないの?」
「いえ、いただきます」
さっきまで美少女陽奈先輩の使っていた箸を自分の口へ近づけるそしてそのままラーメンをすする。
「間接キスだね」
不意な一言で顔が赤くなる
「考えないようにしてたのにやめてくださいよ」
「可愛いね」
「本当にやめてください」
周りの目もこっちを見ている気がして恥ずかしい
「周りから見たら私たちの付き合ってるように見えるのかな?」
「まだそういうこと言います?まぁただの先輩後輩ですけど」
「ただの先輩後輩の関係ではないけどね」
陽奈先輩がニヤリと言う。
「「ごちそうさまでした」」
ラーメンを食べ終わりお店を後にした。
「事務所戻りますか」
「え、なんで?」
「ワックス教えてくれるんじゃないんですか?」
「え?今日ワックス持ってきてないよ〜」
「それじゃどうするんですか?」
「今から私と買いにいくよ〜」
駅中を少し歩くと、目的のお店についた。
「私がいつも買い物してるお店でーす」
俺たちが来たのは文房具やコスメ、キャラクター雑貨やインテリアなどの生活雑貨を主に取り扱っている専門店に来た。
「こんなとこ久しぶりに来ました」
「それじゃコスメコーナーにいこう〜」
コスメコーナーに向かい陽奈先輩は何個か商品を選んだ。
「ワックスにはいろいろな種類があってねこれがファイバータイプでこれが……」
「陽奈先輩わからないのでおすすめでお願いします」
なんたらタイプとかうんぬんタイプとか言われても俺は某ゲームのタイプ相性しかわからない。
「それじゃこれだね。初めてのせあくんでも使いやすいよ。私も愛用中」
「それじゃそれにします」
レジへ向かおうとすると陽奈先輩に手を掴まれる。
「私、ちょっと文房具見たい」
「いいですよ。俺も新しい消しゴム欲しいです」
文房具コーナーについたら色々な文房具があった。懐かしいものから最新の文房具まで勢揃いだ。
「せあくん見て懐かしいのある〜。小学生の頃みんな使っていた折り畳み式30cm物差し」
「おー懐かしいみんな持っていたけどすぐ折れるから買ってくらなかったんですよ」
その後懐かしい文房具を見つけてはそれについて話した。文房具の話でこんなに盛り上がったのは初めてだった。
「それじゃお会計行こっか〜」
「そうですね」
俺は消しゴムとワックス、先輩は文房具を何点か購入した。
「それじゃこれからワックスのやり方を教えます。」
「お願いしますと言いたいんですが、どこでするんですか?」
「流石にこんな人がいるところではやりにくね。一旦事務所戻ろっか」
「そうですね」
事務所に戻った後、鏡のある化粧室に向かった。
「それではワックスの付け方を説明するよ〜」
そう言うとノリノリで説明をはじめた。
「これをこうして終わり!」
しかし説明2分ぐらいで終わった。
「たったこれだけですか?」
「これだけだよ〜」
「これなら俺でもできそうです」
「それはよかった。これからも頑張ってね〜」
「教えてもらいありがとうございました」
「どういたしまして。それじゃ帰ろっか」
事務所を出た後自転車置き場へ向かう。
「せあくんってどこに住んでいるの?」
「ショッピングモールの近くですね」
大阪には沢山のショッピングモールがいるが俺が言っているのは紫色のショッピングモールだ。
「もしかして川沿いのあそこ?」
「そうですよ」
「ヘぇ〜偶然だね、私もあそこの近くだよ〜」
「そうなんですね。意外とご近所さんだったんですね」
「ねぇせあくん。2人乗りで帰らない?」
「……聞き間違いかもしれないんでもう一回聞いてもいいですか?」
「2人乗りで帰らない?」
「………え!?」
急なお願いに動揺を隠しきれなかった。
次回 先輩と2人乗り!?
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