第10話 「初コラボ」それは経験②
「S側2人いる。そのうち1人は、アーマー破壊してる」
「オッケー。裏取りするから、詰めすぎないでよ」
「了解」
るのんは相手の後ろに周る。
「裏取りできたよ。3・2・1で詰めるよ。
3・2・1」
前から俺、後ろからるのんで敵2人を挟む。
「1人倒したよ。後1人そっち行ったよ」
「了解」
るのんの射線を切るために飛び出してきた敵をAKで狙う。
「倒したよ」
「ナイスー」
『何この流れるような連携』
『今日初めましてだよね?』
『これが元最高ランクか…』
「せあくん上手いね」
「るのんだって裏取りの判断早かったよ」
「えへへ…ありがとう」
画面には部隊数は2部隊と表示されている。俺たちの分も入っているので、敵部隊は後1つだ。
移動していたら、家の中から足音が聞こえてくる。
「最後の部隊は家の中みたい。
「わかった〜」
るのんが
「2階に1人、一階に1人だよ。」
「了解。2階にグレネード投げて牽制するからその間に1階の敵を倒そう」
「それじゃ一旦1階の扉の前いるね」
俺は持っているグレネードを全て2階に投げる。
「投げた。反対のドアから入る」
同時にドアを開け、一階の敵を挟んで倒す。
すると遅れて2階の敵が降りてきた。
「せあくん後ろの階段に敵」
「了解」
俺はキャラコンを駆使して弾を避け、ショトガンを2発打ち込む。俺の投げたグレネードで多少ダメージを受けてたみたいで、それで倒れた。
画面にはchampionと出た。
「「GG」」
「るのん、状況判断的確すぎだろ」
「せあくんだって後ろから撃たれた弾を全て避けるってどんなキャラコン?」
「みんなが知っているのと同じだよ。少し工夫はしてるけど」
「どんな?」
「撃ち合っている時ってどうしても焦っちゃうから、キー入力が速くなるんだよ。そうなるとキャラコンが小さくなって当てやすいんだよ。その時に落ち着いてゆっくりとキー入力したら、大きくキャラコンすることができるよ」
「へぇ〜。私も今度やろっと。」
『熟年夫婦のようなコンビネーションw』
『僕もキャラコン練習しよ』
『普通にキャラコンは当てづらいってww』
そのまま沢山のマッチに行った。勿論全ての試合でchampionを取ることは出来ない。9回目のchampionを取った時は、午前2時を回っていた。俺とるのんはもう限界だった
「よ…よしあと1勝。」
「せあくん。この試合で勝って寝よう」
「るのんそれはフラグって言うんだよ」
マッチが始まってボックスや家の中を漁るが不運なことに武器を手に入れられず負けてしまう。次のマッチに行くがそこでもすぐに負けてしまう。敵の名前を見ると、さっき倒された人と同じ名前だった。さらに次のマッチに行くが同様に負けてしまう。今回もまた同じ名前だ。
「ねぇ、せあくんこの人は意地でも私たちを寝かしたくないよだね」
「これが噂のゴースティングってやつか初めてされたよ」
「そう私はたまにあるよ〜。これはめんどくさいね」
ゴースティング、の配信をみながらプレイして、配信者達と同じところに降りたり、常に場所を把握しながらプレイすること。今はこれも立派なBAN対象になっている。
おそらくゴースティングしている人は、るのんか俺の配信を見ているだろう。なのでゴースティングしている人に警告する。
「よしそれじゃあ次の試合来たらお前BANするぞ。来たら意地でもで倒す」
「私達に喧嘩売ったことを後悔させてあげるよ」
次のマッチでもやはりあいつは現れた。俺は武器を探している最中に撃たれたがキャラコンを駆使して弾を避け、るのんと合流する。あいつが詰めてきた所を一緒に攻撃する。相手は手出しすることなく倒れる。
「なんか目覚めたな」
「そうだね。このままチャンピオンとろうね」
勢いに乗った俺達は見えた敵を全て倒して、
championを取った。るのんが12キル俺が13キルだ。
「ナイス〜」
「ゴースティングも倒せたしキルも沢山できたね。いい終わり方!」
「ゴースティングしてきた人はどうする?通報しとく?」
「まぁせあくんがしたいならしてもいいけど、その人のお陰で目が覚めてchampion取れた可能性も少しはあるかもしれないから、今回は許してあげよかな〜みたいな」
「それじゃそうしよう。けど次はないかな」「それじゃそろそろ終わろか」
「あ、ちょっと待って私最後にやりたいことがある!」
「なにするのるのん?」
「一緒に私の終わりの挨拶しない?」
「え、俺もあれやるの?」
「大丈夫だって。いくよ、せーの」
「「それでは次の配信で会いましょうバイるのん」」
そのまま配信は終了した。
『なにそれ尊い』
『私も言う!バイるのん!』
『2人が推しになった!』
配信を切った後るのんから話しかけてきた。
「それじゃお疲れ様私もう寝るね。お休み〜」
「お休み」
電話を切る直前にるのんが言葉を残していった。
「かわいかったよ」
眠そうな声で囁く様に言われたドキッとしてしまう。
「最後にそれを言うのはずるいよ」
この時の俺はなんとも言えない気持ちになっていた。
リビングにいこうとしたら、希空の部屋のドアの隙間から電気が付いているのを確認できた。
部屋を覗くと液タブと向かい合っている希空がいた。
「希空、まだ絵を描いていたのか」
「この液タブ凄く書きやすいよ。流石は私が買っただけはあるよ〜」
「半分俺だけどな」
椅子から立ち上がると腰を90度曲げた。
「その件につきましては誠にありがとうございました」
「はいはい」
「お礼ではないけど、せあ兄のイラスト描いたよ」
「おーそれは嬉しいな。見せて」
確認するとそこには陽奈先輩にパシられている俺のイラストだった。
「希空、一応このイラスト題名とかある?」
「あるよ。先輩にパシられる後輩」
「そのままだな」
「これを投稿すればいいねがたくさんだ〜」
優しく希空の頭をチョップすると部屋の扉の方へ向かう。
「好きにしな。おれはもう寝るぞ」
「うん。私も投稿したら寝る〜。お休みせあ兄〜」
「おう。お休み希空」
歯磨きをした後自分の部屋に戻って眠る。
日が眩しくて目が覚めた。部屋の作り的に朝日は入ってこないはずだ。しかしまぶしい。
それもそのはず、時計を確認するとを昼の12時を回っている。
リビングに行っても希空の姿はなかった。顔を洗って希空の部屋に行くと案の定ベットで寝ていた。
久しぶりに希空の寝顔を、見たきがする。改めて見てもやはり可愛い。妹に可愛いと言うのは変だか可愛いのだ。
とりあえず起こそうと肩を揺すった。しかし中々起きない。更に俺の手を握られてしまった。
「もう、離さない〜」
寝言でそう言うと、すぅ〜すぅ〜とまた寝息をしだした。どんな夢を見ているのだろう。
「え、これどうしよう」
悩んだ結果少しこのままでいることにした。しかし2分後に俺の意識はなかった。
私、八神希空が起きようとしたら、少し夕日がまぶしそうなせあ兄がベットに顔を伏せて寝ている。さらに不思議なことに私の手を握っている。
「え、なにこの状況」
私は寝起きが弱く、悩んだ結果わからなかったのでとりあえずせあ兄の寝顔を写真を撮ることした。
「せあ兄の寝顔可愛いな〜。そうだツーショットも撮ろうっと」
私はせあ兄の横に行って一緒に写真を取った。
ツーショットを取った後シャッター音でせあ兄が起きた。
「あ、おはよう希空」
「おはようせあ兄。なんで私の手を握っていたの?」
せあ兄はふにゃふにゃした声で答えた。
「希空を起こそうとしたら手を握られたからとりあえずここに居ろうと思ったら寝てしまってた」
「それじゃこれは希空がやったの?」
「……そうだね」
私の体温が上がるのを感じる。
(へぇ〜これを私がやったのか。え?私が?恥ずかしいんだけど〜)
心の中で私は叫んだ。
「それじゃ私顔洗ってくるから」
私は早足で洗面所へ向かった。鏡の前に、立つと顔はほんのり赤くなっている。
「バレてないよね。まぁせあ兄も起きてすぐは、ぼんやりしてるし大丈夫かな」
俺、八神星空がリビングに行くと希空が菓子パンを出してくれていた。食べているとふと疑問に思ったことがあった。
「今日って何日?」
希空はスマホを出して確認する。
「えっとね今日は4月7日だね。……7日?」
「希空明日って確か……」
「「入学式だ!」」
希空の通っている中学校、俺の通っている高校では入学式の後に始業式を行う流れだ。さらに入学式には新入生ではない生徒も出席しないといけない。明日学校に行かないといけないということは1つまずいことがある。
「……希空宿題してる?」
「……してない。せあ兄は?」
「……してない」
俺と希空はダラダラと汗が出てくる。
「今日の配信は休みで徹夜で宿題かな」
「きっと今からすれば間に合うよ?だってまだ夕方の5時だよ」
「17時に朝ご飯って生活習慣終わってるな」
「……そうだね」
そして俺達は死に物狂いで宿題をやった。お互いに頬をつねり合ったり、足を蹴り合ってなんとか起きつつ宿題を終わらせた。気づけば次の日の朝6時だ。
「6時か、1時間だけ寝かせて…」
伏せて寝ようとしたら希空からデコピンが飛んでくる。
「今寝たら絶対1時間以上寝るよ。つまり学校に間に合わず遅刻だよ。私学校では優等生だから初日から遅刻なんてできないよ」
そう言うと、冷蔵庫からエナジードリンクを持ってくる。
「さぁ今日は私とオールだよせあ兄〜」
エナジードリンクの力を借り、朝ごはんを食べ、身支度を済ませて7時30分に家を出た。
ちなみにエナジードリンクと菓子パンの組み合わせはとても美味しくなかった。
「せあ兄久しぶりに学校まで送っていってよ」
「いいぞ」
希空の中学校は家から歩いて15分の所にある。
方向が一緒のため前は一緒に登校していたのが、配信を始めてからは一緒に登校していなかった。
「朝の風が気持ちいな。目が覚めてきたよ」
「私も〜」
まだ少し冷たい風を受けながら学校を目指す
校門に着くと希空の友達らしき人が手を振っている。
「おはよう希空ちゃーん」
「おはよう。風香さん」
友達と話している希空は急に人が変わったみたいだった。
「それじゃ行ってきます。お兄ちゃん」
急なお兄ちゃんと言われてびっくりしたと同時になんか嬉しくて懐かしかった。
「お兄ちゃんって呼び方、凄いダメージ受けるな」
桜の花びらが風で舞っている中俺は自転車にまたがり高校へ向かった。
「ねぇねぇあの人は希空ちゃんのお兄さん?」
「そうだよ」
「とても優しそうだね」
「お兄ちゃんは、とても頼りになって優しい人だよ」
希空とその友達の中で少し株が上がった星空であった。
次回から学校生活スタート。星空は青春を謳歌することができるのか。
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