第8話 「相談」それは本音

「さて、何食べる〜?私のこのデミグラスハンバーグハンバーグにしよかな〜」

いつも通りの陽奈先輩。


「せあ兄、私はチーズinハンバーグ」

少し機嫌の悪い妹、希空。


「お、俺は煮込みハンバーグにしよかな」

この気まずい雰囲気をなんとかしたい俺。


注文を終えた後、店員さんにサラダバーがあると言っていたので、サラダを取りに行く事になった。


「せあくんは何食べるの?」

少し体を寄せて言ってくる。

「俺はポテトサラダとコーンですかね。昔から好きなんですよ」

「いいね〜。私もポテトサラダ食べよかな〜」


近い距離で緊張するが後ろからの刺さるような視線でそれは吹き飛ぶ。


「せあ兄、私もポテトサラダ」

「りょ、了解」

「……ありがとう」


席に戻っている時に、陽奈先輩に袖を引っ張られる。


「妹さんっていつもあんな感じ〜」

「いつもはもっと元気なんですけど…」

「もしかして、私お邪魔だった」

「そんな事ないと思うんですけど…」

「いやこれは、たぶん私のせいだね。なんかごめんね。兄弟仲良くお出かけ中に」

「大丈夫ですよ。多分すぐ機嫌直しますよ」

「そうだといいんだけどね〜」


席に戻ってすぐに、料理が到着した。ご飯はなんと釜に入っている。


「おお〜、美味しそう。」

「ご飯も炊き立てだ。」


みんなは、手を合わせる。


「「「いただきます。」」」

ハンバーグを割ると中から肉汁が溢れてくる。

特性のソースをかけると、さらにおいしそうだ。


「せあくんの美味しそう〜。私の一口あげるから、一口ちょうだい〜」


すると陽奈先輩は、ハンバーグを一口サイズに切り分けるとフォークに挿してこっちに向けてきた。


「はい、あ〜ん」

「ちょ、陽奈先輩それは…」


さっき「私邪魔だったかな」なんて言ってたのにこの人反省してないだろ。

隣からは刺さるような視線が飛んでくる。


「何恥ずかしがってんの〜?女子では当たり前だよ〜」

「俺は男子です!」

「それもそうか〜。ごめんね」


そう言うと、俺のお皿にハンバーグを置いてくれた。俺も一口サイズのハンバーグを陽奈先輩のところにおいた。


「美味しそ〜。ありがとうせあくん」

「こちらこそありがとうございました」


すると希空に袖を引っ張られる。


「せあ兄、私のもあげる」

「ありがとう。俺のもあげるよ」

「…ありがとうせあ兄」

「妹さん。わたしにもちょうだい〜」

「……いいですよ」

「ありがとう〜」


みんなでハンバーグをシェアした後、少し気まずい中雑談し食べ終わった。


「ふぅーご馳走様。俺少しトイレ行ってきます。」

「いってらっしゃい〜。」


私、八神希空は困っている。せあ兄がトイレに行ったから、今は陽奈さんと2人きりだ。とても気まずい。


「妹さんは、せあくんの事好きなの?」

「………?」


突然の質問に私は思考停止した。そしてだんだん顔が赤くなっていくのを感じた。


「急に何聞いているんですか。好きじゃないですよ。実の兄ですよ」

「じゃあ嫌い?」

「……嫌いじゃないです。なんのですかこの質問?」

「妹さん私に嫉妬してるんじゃない」


私の心に刺さる言葉だった。


「え、何を言って…」

「私とせあくんが仲良さそうにしてるのをみて、モヤっとしたんじゃない?」

「誰と仲良くしてもせあ兄の勝手ですよ」

「私がせあくんにあ〜んした時はどうだった?」

「……少しした気がします。…そうですね。嫉妬してたのかもしれません。今まで他の人と遊ぶなんてほとんどなかったせあ兄が急に遅く帰ったり女の子と仲良くしてしているから、私に構ってくれる時間が少なくなると思ったんだと思います。」

「ふ〜ん、けどその心配はないよ」


私はそんな言葉が帰ってくるとは思っていなかった。


「とりあえず私は今せあくんに恋愛感情持ってないよ。さらにあんなに優しいせあくんが妹さんのことを無視することなんてしないよ。どんな子よりも妹さんの方がせあくんといる時間の方が長いんたがらどっちかと言うと、君に嫉妬する人の方が多くなるかもしれないよ」

「そうですね。せあ兄優しいですもんね。と言うか、私に嫉妬する人なんていませんよ」

「今はそうかもね」


ニヤニヤしながらこっちを見てくる。


「…というか、今は恋愛感情ないって言ってましたけど、今後持つかもって事ですか?」


陽奈さんの顔が少し赤くなり少し動揺する。


「そうだね。もしかしたら今後持つかもしれないよ。人生何あるかわかないから。恋に落ちるのは一瞬なんて言うしね。」

「まぁ、すぐに身体近づけたりあ〜んしたりする人にせあ兄は渡しませんよ。」

「……もしかして、妹さんから見て私の評価低い?」

「まぁ、悩み解決してもらったので高評価でも低評価でもないですね。」


俺、八神星空は考えている。どうしたら、あの気まずい雰囲気を変えることができるか。少し悩んだ結果。なにも思いつかなかったので、とりあえず二人の仲良くなるための架け橋になる事にした。席に戻ったら笑顔ではなしている2人がいた。


「そしたらさ、せあ兄がね〜……。」

「うんうん。それで……。」

「何俺の話してるんだ?」

「今ね、せあ兄は家ではどんな人かを話してたんだよ。」

「おいおい恥ずかしい話してないよな。」

「うん。何も話してないよ。」


すごく笑顔だ。希空め、何を話した。


「というかいつの間にか仲良くなってるね。」

「女子トークしてたら仲良くなったんだよ〜。ねぇ〜希空ちゃん。」

「そうだね。陽奈お姉ちゃん。」


呼び方まで変わっている。仲良くなってもらえて何よりだ。


「陽奈お姉ちゃん。やはりお姉ちゃんはいい響きだ。」


陽奈先輩は、陽奈◯◯と呼ばれるのが好きなようだ。

全員食べ終わったみたいなんでお会計をして、お店を出た。もちろん希空のは俺の奢りだ。


「美味しかった〜。それじゃ私は家に帰るね。配信の準備しなきゃ。」

「今日は昼から配信するんですね。いつも夜に配信してるのに。」

「夜は今日後輩たちの初コラボ配信だからね。

先輩として見ないといけないよ〜。」

「余計なことしないでくださいね。」

「勿論!何もしないよ〜。」

「それじゃ私はこれで、デート楽しんでおいで〜。じゃあね、希空ちゃん。」

「デートじゃないです!」

「バイバイ陽奈お姉ちゃん。」


そのまま陽奈先輩は駅に向かって歩いて行った。俺たちも目的のパソコンショップへ歩き出した。しかし俺には1つ気になった事がある。


「なんで陽奈お姉ちゃんと呼ぶことになったんだ?」

「…じゃんけんで負けた。」

「なるほど……。」


じゃんけんに負けたことで姉(仮)を手に入れた希空であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る