第4話 「出会い」それは始まり①

「Live withの2期生に超人気V配信者、椿るのん、夜廻せあが入りまーす」


昨日のRENの重大発表でSNSでは「Live with2期生」「るのん事務所入り」「せあ事務所入り」の3つがトレンド入りし、ネットニュースにも取り上げられた。


そして昨日言われた通りに今日も「Live with」

の事務所に来ていた。着くとRENさんに連れられて、休憩所で少し話すことになった。


「やぁせあくん。昨日配信はどうだった?」

「どうもこうもありませんよ。同期がいるなんて聞いてませんよ」

「いや〜最近ドッキリとかしてなくてついね。

家での反応を見てみたいものだ」

「おかげでコーラ吹きかけましたよ」

「そうかそれはよかった」

「どこがだよ」


RENさんは配信している時もしていない時も雰囲気が変わらない人だなぁと思った。さらにそう言う人柄だから、ここまで大きくなれたのだとも思う。


「このまま話に花を咲かしたいところなんだか、るのんちゃんが電車の遅延で遅れているみたいなんだ。その間に僕は仕事してくるから、

事務所ないをぶらぶらしてなよ」

「え、今日椿るのんさん来るんですか?」

「そうだよ。リアルでの初顔合わせだ」

「聞いてないですよ」

「言ってないからね」

「おい」


この数分でこの人がどんな人かを理解した気がする。


「そうだ。事務所の案内人を呼ぼう。そこで寝ている子いるだろう。あの子にお願いしな。後これ俺のIDね友達追加よろしく〜」


そう言うと休憩室から出て行った。

友達追加した後に俺の座っていた2個奥の机で寝ていた子を起こそうとした。しかし俺は緊張している。無理もない。だってそこで寝ているのはとても可愛い女の子だからだ。

机に伏せて寝ている女の子の綺麗な赤色髪は腰近くまで伸びていて、静かに寝息をたてながら寝ている。この光景をまだ見ていたいという気持ちを抑えて起こすことにする。


「あのーすいませ〜ん」

「う〜ん」


すると彼女は、少しずつ身体を起こして、ゆっくりとこっちを見る。


「う〜よく寝た〜。超絶美少女ひなちゃんの寝起きを見ているあなた誰〜?」


少し、顔が近かったので、照れそうなのを隠しつつ話した。


「Live withの2期生になりました。夜廻せあです」

「あ〜君が昨日社長が言っていたーせあくんだね。私、ここの一期生の陽奈ひなこと、来栖くるすひなだよ〜。よろしくねせあくん。」

「よろしくお願いします。陽奈さん」


挨拶すると少し不満そうにこっちを見てくる。


「……陽奈先輩がいい」

「え……?」

「陽奈さんじゃなくて陽奈先輩がいい」

あ〜わかりました。陽奈先輩」

「陽奈先輩うん、いい響きだ」


その時のひな先輩の顔はとても笑顔で、思わず見惚れてそうになるものだった。


「それでせあくん私に何の用?」

「そのRENさんにひな先輩に事務所案内してらえと言われました」

「なるほど〜それならひな先輩に任せなさーい」


と勢い立ち上がるが、ふらっとすぐに座ってしまう。


「ちょっと待って立ち眩み」

「……ちゃんとしてくださいよ」


少し休憩した後事務所紹介が始まった。


「それじゃ気をとりなをして事務所を紹介するよ〜。まずは、私達がいる休憩室。なんとここのドリンクバー飲み放題だよ。おすすめは、オレンジジュースかな。」

「少し移動して、スタジオ。3D配信とかすることあったらここだね。」

「その隣が配信室。ここで配信したりする事もあるよ。」

「さらに移動して、会議室。打ち合わせとかは、基本ここだよ。会議室は3室あるから、間違えないように」

「ここが化粧室&更衣室。着替える時に使ってね〜」


すると陽奈先輩は僕の顔をじーと見つめてくる。照れそうなのを隠しながら質問する。


「顔になんか付いてます?」

「いや〜せあくんって顔とか整っているのに、髪がボサボサだからさ。しっかりセットすれば、かっこよくなるのに」

「あー、俺そういうのに詳しくなくて……」

「なるほど…ちょっと待っててね〜」


そう言うと、走って陽奈先輩は、何かを取りに行った。少ししたら、帰ってきた。


「お待たせ〜」

「何取りに言ってたんですか?」

「ヘアスタイリング剤だよ」

「何ですかそれ?」

「簡単に言うとワックスかな。まぁ言うより使った方が早いよ。はい鏡の前座って。」


陽奈先輩に言われて鏡の前に座る。すると陽奈先輩は後ろに回って、くしで俺の髪を梳きだした。


「せあくんって髪以外と柔らかいんだね〜。でも将来すぐハゲそう〜」


笑いながらとんでもない発言をする。


「え!?マジっすか?」

「冗談だよ〜」


後ろで髪を梳いていのだから、距離は30センチ物差しよりも短い。さらになにか、とても良い香りもする。洗剤だろうか。だんだん勝手に照れ臭くなって少し自分の顔が赤くなっているのがわかる。鏡を見ると後ろの陽奈先輩はニヤついている。


「せあくん。もしかして照れてる〜?」

「い…いやそんなわけないですよ」

「いいんですよ〜照れても。仕方ないですもんね〜こんな超可愛いひなちゃんが髪を梳いてあげてるんだから〜」


ニヤニヤしながら髪を梳いている陽奈先輩に俺は下を向いて黙ることしかできなかった。


「じゃワックスつけるね〜」


すると俺の髪の毛を撫でるようにワックスをつけ始めた。手は思ってたより小さく可愛らしい手だった。俺の髪の毛をを丁寧に整えて5分もしない間に完成する。


「はい。完成で〜す」


鏡を確認すると自分のイメージが変わっていた。


「前とは全然違う。髪整えるだけで凄く変わるんですね」

「そうなんだよ〜。今度やり方教えてあげるよ〜。じゃあとりあえず写真一緒に撮ろう」

「え、なんでですか?」

「カッコよくなった記念だよ。はい顔近づけて」


すると陽奈先輩が近づいてくる。隙間なんて数センチしかない。


「はい取るよ〜。はいチーズ」


シャッター音が鳴った後スマホを確認すると、陽奈先輩は笑い出した。


「せあくん顔少し赤くない?」

「……気のせいです」


陽奈先輩はニヤニヤしながらコッチをみる。


「そっか、気のせいか〜。これも思い出だね。それじゃ休憩室に戻ろうか」


歩いて休憩室に戻ると携帯が鳴ったRENさんからだ。


「少し電話でますね」

「了解〜」

「はい。せあです」

「事務所はどうだった?なかなかいい所だろう。ところで、いまは陽奈ちゃんと一緒にいる?」

「はい。いますよ」

「じゃ第1会議室にくるよう伝えてくれ、彼女今から打ち合わせなんだ。俺も第1会議室にいるから一緒に来てくれ」

「わかりました」


電話を切ってに言われた事を陽奈先輩に伝えようとした。


「陽奈先輩今から……」

「スゥースゥー」


「寝るの早っ」と心の中でツッコミを入れ、再度起こそうとする。


「起きてください陽奈先輩今から第1会議室で打ち合わせあるみたいです」

「うーん第1会議室?ちょっと遠いな〜。せあくん。おんぶして〜」

「……え、何言ってるんですか。と言うか俺男ですよ」

「私は気にしないよ〜」


机に手と頭をつけ、少し眠そうな顔でこっちを見てくる。


「俺が気にするんですよ」

「さっき髪の毛やってあげたじゃん」


それを言われると返す言葉がない。俺は渋々承諾することにした。


「わかりましたよ。じゃ背中に乗ってください」

「うーんありがと〜」


すると先輩が俺の背中に乗る。俺と身長は少ししか変わらないのに、とても軽かった。歩きだすと、首は先輩のきれいな髪で少し、くすぐったく、髪を梳いてもらった時より密着しているので、さっきよりもっといい匂いもした。さらに背中には、柔らかいものがくっつく感覚があった。これはあれなのだか、考えると恥ずかしくなってきそうなので、考えないようにした。少し歩くと、第1会議室に着いた。幸い他の人とすれ違う事はなかった。


「陽奈先輩着きましたよ」

「うーん。あ、着いた〜?ありがと〜」


陽奈先輩を下ろして扉を開ける。扉を開けるとRENさんがいた。


「せあくんご苦労様。じゃ隣の会議室行こっか。それと陽奈ちゃん。もう少しでマネージャー来るから、ちょっと待ってて」

「わかりました」

「了解でーす。それじゃまた今度ね。せあくん」

「はい。陽奈先輩」


そして俺は会議室を後にした。


私、来栖ひなは、少し反省している。

初めて出来た後輩だったし、かわいい子だったから最後少し甘えてみたけど、少しやりすぎたと後悔している。


「流石にあって初日におんぶ願うのは違ったなぁー。さらに胸当たってたし、せあくん気づいていたよね。あ〜今更恥ずかしくなってきた〜」


そんな独り言を言っていたら扉が開いた。


「すいません陽奈さん。少し遅れました」

「あ、マネージャーおつかれ〜」

「……あの陽奈さん何かありました?顔赤いですよ?」

「あ…えっと…この部屋少し暑いなと思って」

「それでは窓開けますね」

「うんありがとう」


あやゆくマネージャーにバレそうになった陽奈先輩であった。

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