オープニング(3)
* * *
パレッティア王国にはある〝王女〟がいる。
パレッティア王国史最強の問題児、王国一の
彼女が行う奇行の数々は月日を重ねる
曰く、
曰く、王都から新たに道を
曰く、
正に〝キテレツ王女〟。
しかし、それとは別に彼女を言い表す言葉がある。
──〝誰よりも魔法を愛し、魔法に愛されなかった天才〟と。
この国では王族や貴族が当たり前に使える魔法を使えない王女。それがアニスフィア・ウィン・パレッティア王女。魔法を使えないからこそ〝魔法科学〟、
* * *
(えーと、これは
私、アニスフィア・ウィン・パレッティアは考えた。目の前には
私に向けられる視線は奇異の視線そのもので、正直に言えば
ちょっと飛行
そんな事を考えながら飛行用魔道具の〝
改めて会場を見れば、自分と同じ血を引く弟、アルくんがいた! うーん、アルくんは私の事を苦手にしてるから悪い事をしちゃったなぁ。
(ん? なんでアルくん、そんな守るように私が知らない
アルくんの婚約者の筈のご令嬢は、なんか見下ろされる位置にいるし。んん? これはどういう状況? 気になった私はつい声に出して聞いてしまう。
「ちょっとアルくん。どうしてユフィリア嬢がいるのに別の女性を
「……ッ、
うん、とても
私が〝王族として
「えぇと、ユフィリア嬢? これはどういう事? あれ、
ユフィリア・マゼンタ
まるで白い月の光を吸い込んだような、薄い銀色の
「え……?」
アルくんから視線を移して呆気に取られていたユフィリア嬢へと問いかけてみる。すると、
「? どうしたの?」
「いえ、その……」
ユフィリア嬢までどうしたの? 思わなかった反応に私は目を丸くしてしまう。大人にも
なのに今にも泣きそうというか、あれ、もしかして実際に泣いてた? そんなに私がいきなり窓をぶち破ってきたのが
……いや、なんか
「……あぁ、成る程。言いがかりでもつけられて
「──ッ!?」
何故、と言うようにユフィリア嬢が視線を上げる。その瞳は
えぇ、どうしてさ。〝前世〟ではそういう〝お話〟があったのは知ってたけど! 実際に現実でも起きるような事なの? いやはや世界はいつだって
「んー、状況を見る限り、ユフィリア嬢が
「え、あの、なんで」
「うーん……よし、決めた!」
女の子、
状況がよくわからないけど
「さてユフィリア嬢、行こうか。私が
「……え?」
「ユフィリア嬢は私に攫われるので、何の責任もなし! さぁ、行こう、すぐに行こう!」
「え? ……え? あの……?」
「という訳で、アルくん! この話は私が持ち帰らせて
そのまま呆気に取られたままのユフィリア嬢に近づいて、
私がユフィリア嬢を抱えると、ユフィリア嬢が間の
「待て、姉上──」
「──それじゃあね、アルくん!」
アルくんに見せ付けるように笑みを浮かべて、私はユフィリア嬢を抱えながら走り出す。
一気に
「ぃ、いやぁぁぁああああああああッッ!?」
「楽しいノーバンジージャンプだよ! 空の旅へようこそ、ユフィリア嬢!」
手に持った〝魔女箒〟を足にひっかけるようにして摑む。同時に勢い良く魔力を注ぐと、そのまま空を
ユフィリア嬢が悲鳴を上げたままだけど、このまま父上の所に訪問と行きましょうか!
* * *
魔法に愛されなかった王女がいた。王族や貴族なら
だけど、それでも彼女は魔法を愛した。そして彼女が行き着いたのは〝魔法と同じような効果を、
これは後の歴史で様々な
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