オープニング(2)
* * *
「──この場を
高らかに力強い宣言が
まるで陽光を思わせるような白金色の
アルガルド様の口から
私、ユフィリア・マゼンタは
私はパレッティア王国のマゼンタ
「……アルガルド様。何故、婚約の破棄を?」
ようやく
それでも私達の結婚は国王によって定められたもの。国の為には必要な婚約なのです。だから私は、いつかはアルガルド様にご理解頂けると。そう思っていました。
正直な気持ちを話せば、国王の責務を背負う事になるだろうアルガルド様へ
そう信じて、たとえ
「貴様は我が婚約者に
レイニ・シアン。そう呼ばれた少女がアルガルド様の
そんな彼女の容姿はとても愛らしいと表現すべきでしょうか。
何故、私が彼女の事を知っていたのかと言うと私の婚約者であるアルガルド様が気にかけていたご
恐らくそんな私達の関係が良くなかったのでしょう。シアン男爵令嬢は私にはない
愛嬌の良さ、愛らしい少女としての
そんな彼女の面倒をよく見ているのがアルガルド様だと、そう
ただ、それでも私とアルガルド様は婚約している身です。婚約者がいる男性への過度な
「もしもレイニ嬢に対する苦言の事を
むしろ
そんな事をアルガルド様が理解出来ない筈もないのに、どうしてこんな行動を起こしたのかが私には理解出来ないのです。
「アルガルド様。もしやとは思いますが、この話は陛下に
「父上には後で
「何故、親が定めた婚約を
「父上にも母上にも文句は言わせない! 私は、私の意志で己の道を定める!」
アルガルド様の反論に私は息を
「それは守るべき節度があってこその話です! お考え直しくださいませ、アルガルド様! よもやそこまで
「言うに事を欠いて盲目だと!? 盲目は貴様だと知れ、ユフィリア! 王妃の地位
「ですから、心当たりなど……!」
私が弁明しようと声を上げましたが、
「レイニに対する過度なイジメ、所持品の
アルガルド様から
「証言します。
アルガルド様の横に並ぶように男達が並びました。その並んだ姿に私は思わず
「ナヴル・スプラウト様、モーリッツ・シャルトルーズ様、サラン・メキまで……!」
並び立った方々はこの国でも注目を集める地位の子息様達でした。
ナヴル・スプラウト様は王都を守る
横に並ぶのは神経質そうな青年。
そんな二人から一歩、引くようにして立つ
大人しく落ち着いた色合いの
いずれも学院では注目を集める者ばかりで、息を吞んでしまいました。唇を嚙んでしまいそうになりながら私は彼等を睨むように
彼等がアルガルド様に
「レイニは確かに平民上がりで貴族としての振る
「えぇ、えぇ。𠮟責というのにはあまりにも
「レイニもまた努力をしていたのに……幾ら身分の
首を左右に振りながら残念そうに告げるサランに、一部同意するような声が
それが切っ
「私は、シアン男爵令嬢を指導しただけで傷を負わせようなどとした覚えはありません!」
「それが貴方の
非難するかのように叫ぶモーリッツ様の声が私の耳によく通りました。すると会場内から同調するかのように、そうだ、と続く声が嫌でも耳に入ってきます。思わず私は周りの声に信じられない思いで視線を
「それでも! それに私は
「見苦しいぞ、ユフィリア嬢! 貴方に指示されたと、そう
一体、何故このような事になったのかわかりません。ただ周囲には私への
広がり続ける空気に私はそれでもやっていないと、そう訴えようとしました。しかし、
「残念だ、ユフィリア」
「アルガルド様……」
「今までの行いを
何を謝罪すると言うのか。私には、もうわかりませんでした。何が間違いなのかすらも。自分の無実を訴えなければとは思うのに、声は引き攣ったまま出てきそうにありません。
私は今まで様々な
(でも、私は……本当に、皆の規範となる令嬢として振る舞えていたのでしょうか……?)
一度、疑問に思ってしまったら私の
自分に不利な事はありました。陥れようとする悪意に立ち向かった事だって初めてではないのです。けれど彼等に悪意はなく、
それが私には理解出来ません。だからこそ衝撃を受けて立ち
……そんな時でした。この場の空気を一変させる気配が
「……ん?」
その気配に気付いたのは私だけではなかったのでしょう。アルガルド様も
それは、何と言えば良いのでしょうか。風を勢い良く
「──ァァァアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!?」
悲鳴そのものでした。そして悲鳴だと
「……は?」
私は力が抜けそうだった事も忘れて棒立ちになってしまいました。窓を
「いたたた……
ぱんぱん、と
身に
どこか幼げな顔は
彼女は足下に転がっていた
そして、その
「貴方は……!」
そんな彼女の姿を見て、震える声で反応を示す者がいました。それはアルガルド様です。
その表情は
まるで今までの
「あー、アルくん! ……これは、もしかしてお
「ッ、姉上ッ!!」
どこまでも場に似つかわしくない彼女、パレッティア王国きっての〝問題児〟の
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