転生王女と天才令嬢の魔法革命【増量試し読み】
鴉ぴえろ/ファンタジア文庫
転生王女と天才令嬢の魔法革命 1
オープニング(1)
これより語られるのは、ある王国の王女様のお話。
時に人を
これは、そんな物語の始まり。
* * *
ただ〝魔法〟という言葉が好きだった。
ふと、ひょんな事からそんな〝前世の記憶〟の事を思い出した。
私の名前はアニスフィア・ウィン・パレッティア。パレッティア王国の第一王女。
魔法があるなら空を飛べるのに。
そう思ったのは、はて、どうしてだろうか? 疑問を思い起こした時、私の記憶は忘れていたものを思い出すように前世を取り戻した。
パズルのピースが
それは私にとって未知でしかない。私が今生きている世界には飛行機もなければ自動車もない。空を飛ぶのは鳥や魔物であって、道路だってアスファルトではないし、走るのは自動車じゃなくて馬車だ。貴族なんてお話の中の存在でしかなかったけど、私は王族のお
「……困ったわ」
口にしてしまう
でも、共感が
「まぁ、良いや!」
私は深く
「そう、だってこの世界は〝魔法〟がある!」
この世界において魔法は
火を
魔法が使えれば空も飛べるかも知れない。そんな魔法があったのなら。思えばもう止まらない。想像が
「善は急げだね」
私は
「ひ、姫様!? 廊下を走ってはいけません!?」
後ろから
メイドが離すまいと力を
「あら、イリア。ごめんなさい、ちょっと急いでるの」
「だからといって、お城を走り回るだなんてはしたないです」
「うぅ、いけず……」
「いきなりどうしたのですか、姫様」
「父上に
「じ、直訴……?」
「魔法を学びたいと直訴するの!」
「……はぁ、魔法をですか」
ふんぞり返って言う私にイリアは、なんでまた、と言いたげな
「イリア、私は魔法を使いたいの」
「
「空を飛びたいと思ったの!」
「はい?」
「空を飛ぶの!」
「魔法でですか」
「飛ぶのです!」
イリアに何を言ってるんだろう、という顔をされてしまう。それもそうだと思う。魔法で空を飛びたいなどと、私が知る限りは前例がない事だから。
「それはやりたいことの一つで、魔法を使えるなら良いのです。魔法を使って悪い
「それはそれは。立派な夢でございますわね。しかし、陛下もご
「むぅ、仕方ないわね。ここはイリアに
「ありがとうございます、姫様」
さて、部屋に連れ戻された私に出来る事はない。アニスフィアとしての記憶を
後の
私はなります! 憧れの魔法使いに!
* * *
そうして、少女の目覚めより時は流れた。
パレッティア王国。それは魔法によって発展した大国である。そんなパレッティア王国には国が運営している貴族や王族が通う学院が存在する。その名もパレッティア国立貴族学院。他国からの留学生も招き、学院という小さな社会を形成した社交界の縮図である。
身分が高い者には人が集まり、身分が低い者はそんな身分が高い者に取り入らなければそもそも学院内での地位や居場所を失うなどよくある事。
かといって親が子供の争いに
さて。今日は学院にとっては
楽団による優美な音楽が
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